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期限一週間の願い事

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期限一週間の願い事 第9話(最終話) 結末(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第9話(最終話) 結末(全9話)【小説】

第9話(最終話) 結末

最後の願いを叶えられる日の朝、斎賀は、ビジネスホテルで目を覚ました。
時刻は、午前7時。
ゆっくりと出勤の準備をして、8時過ぎには会社に着いた。

役員たちは、すでに仕事を始めているらしく、会議室には明かりが灯っている。一応、顔だけ出して挨拶したあと、社長室に向かった。

特に何か、やらなければならないことがあるわけじゃなかったが、ふと思い出した。自分が就任式で言った言葉

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期限一週間の願い事 第8話 選択(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第8話 選択(全9話)【小説】

第8話 選択

「内野社長、どちらに……?」

夜。
会社を出て行こうとする内野に、常務取締役の山中が言った。
昼間判明した問題に対処するために、役員が集まって話をしており、まだそれは終わっていない。にも関わらず、会社の外に出ようとしている内野を疑問に思ったらしい。口には出していないが、顔に出ている。

「大事な約束がある。
 あとで戻る」
 
「会社の問題よりも大事な約束ですか?」

「そうだ。

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期限一週間の願い事 第7話 問われるもの(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第7話 問われるもの(全9話)【小説】

第7話 問われるもの

斎賀は、頭を抱えていた。

前社長の不祥事で失った、会社の信頼を取り戻すために奮闘している中、まったく予想もしなかった問題が発覚した。それは、簡単に言えば、会社の売上を粉飾していたというもので、どうやら厳しいノルマを達成するために、営業部門のマネージャーが、経理のマネージャーと話をつけて、他の誰も知らないまま、積み重ねられていた。

厳しいノルマを出していたのは前社長だから

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期限一週間の願い事 第6話 ギャップ(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第6話 ギャップ(全9話)【小説】

第6話 ギャップ

斎賀は、何となくスッキリしなかった。
社長としての業務に追われていると、他のことを考える余裕もなくなるが、モヤモヤとしたものはずっと心の中に残っていた。昨日出会った女性と、あれ以降接触がないのはなぜなのだろうか。

(まさか、あれで終わりってことはないよな……? そういう仲になれるかどうかは自分次第っていっても、あれじゃあどうしようも……)

「あ、そろそろ会議か。
 さっき終

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期限一週間の願い事 第5話 変わりゆく日常(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第5話 変わりゆく日常(全9話)【小説】

第5話 変わりゆく日常

「社長、おはようございます」

仕立てたばかりのスーツを身に着け、ミリアルに行くと、入り口で三人の男が頭を下げてきた。

「あ、おはようございます……」

斎賀は、どう対応していいか分からず、ぎこちなく挨拶を返した。
そして、気づいた。
この三人は、ミリアルの副社長、専務、常務だ。
何回か見たことはあったが、話をするのは初めてだった。

「歩いていらっしゃるなんて……明日

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期限一週間の願い事 第4話 もう一つの興味(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第4話 もう一つの興味(全9話)【小説】

第4話 もう一つの興味

BARファータスに着くと、斎賀は待ち合わせですと言って、テーブル席に座った。
店員は快く対応してくれ、少し嬉しくなった。昨日の服装で、一人できていたら、たぶん怪しい目で見られただろう。

このBARは少し料金が高めの店で、お客も全員、それなりに見える。
しかも、金があればいいというものでもなく、品性を求められるため、いわゆる成金が来るような店ではない。

(でも、俺も成金

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期限一週間の願い事 第3話 変化(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第3話 変化(全9話)【小説】

第3話 変化

3億円を手に入れた翌日。
斎賀は朝7時に目を覚ますと、髭を剃って、髪をセットし、出かける準備を整えた。

朝がこんなに清々しいのは久しぶりで、昨日までとは別の世界にいるのではないかとさえ思えてくる。
外出用の服装に着替えると、斎賀は家を出て、銀行に向かった。ATMで一日に引き出せる額は100万円。1回に引き出せる額は50万なので、別々のATMで、2回に分けて100万円を引き出した。

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期限一週間の願い事 第2話 ある紳士(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第2話 ある紳士(全9話)【小説】

第2話 ある紳士

自分の気分が暗いときは、同じ景色でも違って見える。
斎賀慎は、夜の街を歩きながら、何とも言えない居心地の悪さを感じた。自分だけモノクロの存在のようで、周囲から存在を認識されていないのではないかとさえ思えてくる。

(やっぱり来るんじゃなかった……)

ドンッ!

「あ……すみません……」

俯き気味になっていたせいか、前から歩いてきた人にぶつかった。

「大丈夫かね?」

「…

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期限一週間の願い事 第1話 二人の男(全9話)【小説】

期限一週間の願い事 第1話 二人の男(全9話)【小説】

第1話 二人の男

斎賀慎(さいが まこと)は、疲れ切っていた。

会社を辞めて二ヶ月。
今のところ、貯金で生活できているが、まだ次の仕事は決まっていない。
探す気力もなく、朝起きて食事をして寝るだけの日々で、疲れが溜まる要素はないのだが、疲れ切っていて、動く気がしない。

「……」

部屋にある棚の上に置かれた観葉植物は、一部は俯き、一部は茶色になっている。なんだか、鏡に映った自分を見ているよう

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