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ときめきの原点

みなさんは、自分が人生で初めて感じた「ときめき」の原点を覚えていますか? 私がはじめてときめきを感じたものは、小さい頃おばあちゃんにプレゼントしてもらった瓶です。

中にはとろりとした透明の液体が入っていて、金銀青黄と、さまざまな色のラメがゆったりと夢らめいていました。中のキラキラに触れたくて、ずっと眺めていたのを思い出します。いつのまにかどこかにいってしまった大切な瓶。

そんな一生離れないときめきの原点を思い出させてくださったのが、asamiさんの「move」という個展です。

キャンバスから垂れてしまいそうなほど積み重ねられた絵の具の凹凸や、一粒一粒の気泡、細かいラメがギャラリーの白いランプの光に反射している様。

かさねられたインクをかき分けて奥を覗こうと思えば思うほど、昔感じていたときめきを思い出しました。

これから夏をむかえる若草色をした川、小さい頃夢見たお菓子だらけの世界、好きな人たちと歩いた真夜中の楽しい夜空。

そんな自分の中のキラキラを、記憶そのまま切り抜いてくれるような作品がたくさん並んでいました。イラストみたいにはっきりとした形があるわけではないけれど、じっと色をみていると、まるでカウンセリングでも受けているかのように、小さい頃の自然な気持ちがたくさん出てきました。ブラックな気持ちもキラキラ夢見がちな気持ちも、全部自分にとっては必要で大切なものだったんだね、とあったかい気持ちになれるような。

記憶の底に沈んでたおばあちゃんの瓶。あんなに大切で大好きだったのに、なんで忘れちゃったのかな。きっと、何も役に立たないと言われたことが悲しくて、探すのをあきらめちゃったのだと思います。キラキラのラメに素直に興奮していたあの時の気持ちを忘れたくない、自分でバカにしたくない、と思いました。

展示では紫色のステッカーを買いました。ステッカーにもちゃんと凹凸があって、触れられるのがとても嬉しい。これからもたくさん作品を見たいなと思いました。



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