第一印象は「会って数秒で決まる」ものだ
そうです。

そして多くの人が感じているように、その
第一印象は後々まで続くものです。

この記事では外国人との初対面での表情に
ついて考察します。

日本でも同じですが、メールや電話でのやり
取りがあっても、実際にその相手に初めて会
うときは

「どんな人なんだろうか・・・？」

と楽しみでもあり、不安でもあります。

仕事関係ではじめて人に会うとき、あなたは
どんな表情で挨拶を交わしますか？

おそらく少しぐらいは微笑みを浮かべている
のではないでしょうか？

相手も微笑みを浮かべたり、笑顔で名刺交換
をしたり、握手の手を差し出してくれること
がほとんどではないかと思います。

ところが、

微笑みどころか、むっつりと、無表情で、
睨むような眼でこちらを見ながら握手の手
を差し出す外国人もいます。

私も中東にやってきて、そういう人が多く
最初は戸惑いました。

なにせ、これまで付き合ってきた日本人、
外国人のほとんどが「初対面は笑顔！」で
したから。

初対面のときは

「あなたに会えて本当にうれしい」
「私は明るく、ナイスな人間です」

ということを笑顔で示す。

それが「普通」だと思っていたので、仏頂面の
相手を見て

「あれ？この人、今日は機嫌が悪いのかな？」

「なにか、アポの取り方がマズかったのかな？」

「実は私と仕事したくないんだろうか？」

とあれこれ考えたものです。

仏頂面の相手をみて、まだ挨拶しかしていない
のに、いきなり相手にシャッターを閉めて追い
出されたような感覚になりました。

外国人との関係構築の仕方は、異文化マネジ
メントの重要なテーマの一つとして多くの
研究があります。

異文化研究者のエリン・メイヤー氏の著作
『異文化理解力（英知出版）』によると、

初対面の場で「笑顔を見せないことが当然」
の地域があり、特に中東やロシア、東欧、
フランス、ドイツなどでその傾向があり、

それらの地域では、身内以外を簡単に信用し
ない習慣が身についた人が多いそうです。

私の経験ではベトナムの北部の方も南部の
人達と比べて無愛想な人が多いなと感じた
記憶があります。

彼・彼女等が冷血で笑顔も見せない人々と
いうのではもちろんありません。

彼・彼女等にとって大事なこと。

それは特にビジネスの場で相手と関係を築く
のに多くの時間をかけるということです。

簡単に見ず知らずの人を信用しない、だから
初対面では笑顔を見せず、警戒心を露わにし、
相手に付け入るスキを見せないのです。

ここヨルダンでも「最初からヘラヘラしてい
る奴は全く信用できない」という同僚が実に
多いです。

しかし逆に、一旦確固とした関係が構築され
ると、

これまでのことがウソのように笑顔を向けて
くれ、どんな相談や話にも乗ってくれるよう
になります。時間はかかりますが、そういう
人達が多くなってくると仕事もまわり始めま
す。

私もいつからか、ここヨルダンで仕事で初め
て会う人には仏頂面で対応することを意識し
てやっています。

「さすがに笑顔見せなさすぎたかな」とか、

「相手にものすごいマイナスのイメージを与
　えたのではないだろうか」と、

最初は心配でたまりませんでしたが、これま
で特に支障はありません。

ここには仕事をしに来ているわけですから、
こちらのことを信頼できる仕事相手として
付き合ってもらわなければ困ります。

日本なら

「さわやかさ爆発！」
「にこやか、癒やし系」
「感じの良さそうな人」

の顔をした人達を多く見ますし、日本で仕事
をしている限り悪い印象は与えないでしょう。

しかしここではそんな人を見た瞬間に

「なんだ、こいつ・・・キモッ！」

としか思われないのです。

笑顔を見せても相手にその意味が伝わらない
のであれば、あえてこちらも作った笑顔なん
か見せず、

仏頂面で「ハロー」と言う方が初対面の所作
としてふさわしいと考えています。