見出し画像

「マクドナルド」の呼び方に個性を

言わずと知れた人気ハンバーガー店、マクドナルド。一般的に関東圏では「マック」、関西圏では「マクド」の愛称で呼ばれている。

僕は関東圏在住であるため、当然周りの人間たちはこの店を「マック」と呼ぶ。僕自身、小・中学生までは思考停止で「マック」と呼んできたが、天邪鬼的性格が最も顕著になった高校生くらいのときからこの呼称を変えた。

関東圏で「マクド」と呼ぶ決意を強固にしたのである。関東圏において「マック」と呼んでいたら埋もれてしまう。マクドナルドの呼び方ひとつ取っても、そこに僕の「個性」を見出したい。その思いから、僕の周りには誰一人いない「マクド」派の人間になってこれまで生きてきた。

稀に「マック」と関東人が素で出てしまうことはあるが、必ず言い直すようにしている。

「今日の昼、マッ……マクド行く?」

そんなときもある。

だが、最近切に思った。このまま「マクド」呼びを続けたところで関東の中ではマイノリティーになれるのかもしれないが、関西ではマジョリティーである。

つまり僕が関東在住者だからこそ「マクド」に個性が表れているが、関西の人たちからすれば全くの埋もれた人間であり、この個性は普遍化できない。

そこで、今回はマクドナルドの呼び方についてもう一度考えてみたいと思う。


①「マック」

圧倒的な支持を得ている呼称のひとつである「マック」。だからこそ一番これを使いたくないのが天邪鬼的思考である。

第一、僕がこの呼び方をやめたきっかけになったのは、パソコンに詳しい友人がAppleの PCであるMacBookのことを「Mac」と呼んでいたことである。MacとWindowsとの違いについてベラベラと話されたとき、そんなジャンキーでお手軽そうな名前のPCがあるのか…と思って話が全く頭に入ってこなかったし、これまで「マック」といえば「マクドナルド」という一般的な思考回路しか持ち合わせていなかったことに気づかされた。

それに現在、僕の中では「マック」といえば広島東洋カープの助っ人外国人「ライアン・マクブルーム」である。球場に行けば分かるが、カープファンは彼のことを「マック」と呼んで応援する。理由は簡単で、「マクブルーム」と声を発するのは長すぎて言いにくいからだ。

ちなみに2023年7月2日現在、マクブルームは2軍調整中である。

2023.7.2現在におけるマクブルームの成績(今シーズン)

打率、.215という打率を日本円に置き換えたとき、ハンバーガー(170円)やチキンクリスプ(180円)の値段よりは高いものの、この打率だとチキチーことチキンチーズバーガー(220円)を頼むことはできない。頼めるのはせいぜいチーズバーガー(200円)で、厳しい現状となっている。

カープを贔屓にしている僕からすれば、マクブルームはてりやきマックバーガー(370円)くらいの価値はあると信じている。彼の今後に期待しよう。


②「マクド」

関西圏ではポピュラーな呼び方である「マクド」。僕自身、前述したようにこの呼称で何年かやってきた。

しかし、先ほどマクドナルドの公式サイトのメニューを見ていて気づいたことがある。

これらのメニュー名が公式のメニュー名となっているのである。つまり、「てりやきマックバーガー」は「てりやきマクドバーガー」ではないし、「チキンマックナゲット」も「チキンマクドナゲット」にはならない。「マクドフライポテトのLサイズで…」と注文すれば、先生から罰をつけられるということである。

しかも、17時以降は「夜マック」と公式が定義している。もちろん、「※関西圏においては呼称が『夜マクド』となります」なんていう融通も効かない。マクド派にとってみれば生きにくい世界である。もっと多様性を尊重してほしい。

では、マクドナルドの呼称は「マック」が正解なのかといえば、やはりそこにはマクブルームの存在が…… 広島で「マック行こう」と言うものなら、それはマクブルームへの応援なのである。

やはり、関西圏や中国地方においてマクドナルドは「マクド」と呼ぶしかないのだろうか。


③「マクドーナー」

留学から帰ってきた人間が総じて言いそうな呼称こそ、「マクドーナー」である。おそらく、正しくは「マァクドォーナァーッ」であるが(知らんけど)、記述が面倒なのでここでは「マクドーナー」として書き進める。まあ1番の理由は正しい発音が分からないから、であるが。

いずれにせよ僕がこれを使ったところで、留学に行ったことがないので留学かぶれだと思われることはないだろう。

それに、

「ねぇ、今日マクドーナーでもどう?」

と言えば、必ずツッコミが入るだろう。

「ん?留学帰り?」

「いや、留学行ったことないんだけど被れてる」

と返答すればその場が盛り上がること間違いなし。あわよくば、ベーコンレタスバーガーを奢ってもらえるかもしれない。もし奢ってもらえなくても、ナゲット1ピースくらいはもらえるだろう。

しかし、「留学帰り?」というツッコミが無かったら地獄である。

「ねぇ、今日マクドーナーでもどう?」
「………いいね」

この後どんなに高いメニューを奢ったところで、あるいはマクドナルドではなくモスバーガーに行き先を変えたところで僕のニックネームは「マクドーナー」か「ドーナー」になってしまうことだろう。「マクドナルドの呼称を変えたら私の呼称が変わりました」ではリスクが大きすぎる。

それに、よく考えてみれば「マクドーナー」と呼ぶ人口は世界規模的にみれば一番多いだろう。この呼称こそ埋もれてしまう。

却下。


④「M」

マクドナルドの頭文字を取って「M」と呼ぶ。なかなか秀逸な呼称だと思うし、かく呼ぶ割合はマクブルームの打率の100分の1くらいしかいないのではないか。

ただ、「M」とはさまざまな捉え方が可能になることが事実。

大学院修士課程1年のことを「M1」と呼ぶし、いじられることに嗜好性を感じる人を「M(マゾヒスト)」と呼ぶ。

そのため、「M行こう」はその対象となる人物・場所によって変わってくるだろう。ちなみに僕はSMクラブ的なところに行ったことはない。健全で真面目なM1である。

それに、アルファベット呼びはその代表格とも言える、ゴキブリのことを「G」と呼ぶ悪しき風習を思い出させる。

ゴキブリは英語で「cockroach」なのだから本当は「C」なのだが、やはり「C」といえば「カープ」だし、ジャイアンツの「G」と二重にかけてゴキブリを「G」と呼んでいるのではないかと考察している。

おっと、話が逸脱してしまったが、とにもかくにもこれからマクドナルドで食事をするというのにアルファベット呼びをしてしまえば、それは「ゴキブリ」や「ジャイアンツ」を連想してしまうためあまり適しているとはいえないだろう。


⑤「マクドナルド」

一周回って正式名称で呼ぶことはどうだろうか。胸に手を当てて思い返してほしいのだが、僕たちの周りにはパソコンを「パーソナルコンピューター」と呼び、コンビニを「コンビニエンスストア」と呼ぶ人間はいない。

「マック」でも「マクド」でもない。無論、「マクドーナー」でも「M」でもない「マクドナルド」こそ正当な呼称である。

僕たちはいつから織田信長のことを「ノブナガ」と呼び、松尾芭蕉のことを「バショウ」と呼ぶ馴れ馴れしい大人になってしまったのだろうか。

レオナルド・ダ・ヴィンチだって、「ダヴィンチ」と呼ばれることを望んでいないだろう。なぜなら彼は「ヴィンチ村」の「レオナルド」という意味の名前だからだ。

後世において僕の呼称が「サイトウ」でも「ナツキ」でもなく、「オダワラ」と呼ばれる日が来るのなら、僕は無名のまま忘れ去られる人間でありたい。きっと、レオナルドもそう思っていたはずだ。

やはり、正しく呼ぶことこそ正義である。それでいて誰も「マクドナルド」と呼びはしないのだから、正当かつ個性的な呼称である。

ちなみに僕の好きなメニューは「ビッグマック」……失敬、「ビッグ・マクドナルド」である。いや、好きなメニューが定番すぎるため、これからは「フィレオフィッシュ」にしたいと思います。

「好きなメニュー? フィレ。」



【追記】
巨人ファンの方、disってごめんなさい。
あと小田原市大好きです。オダワラと呼ばれる人間になれたらそれは本望です。


【参考文献】

・マクブルーム(スポーツナビ)
 2023/07/02閲覧


・メニュー(マクドナルド公式サイト)
 2023/07/02閲覧



この記事が参加している募集

習慣にしていること

多様性を考える

「押すなよ!理論」に則って、ここでは「サポートするな!」と記述します。履き違えないでくださいね!!!!