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「今はいない」のその先に

この世界には「(彼氏・彼女)いますか?」といった恒例の脈アリ質問に対して、「今はいません」と返答する輩が必ず存在する。

これは現実世界でもそうだし、ドラマの中でもよく見られる回答方法だ。おそらく非リアの人たちに対しパートナーが存在するかといった質問をした場合、その半数以上が「今は」といった余計な修飾語を付属させることだろう。

読者の皆さんも一度胸に手を当てて思い出してほしい。きっと一度は言ったことがある台詞なのではないだろうか。

僕はこの回答方法を行う人に対して思うことがある。

何ですかそのプライドは、と。

いるかいないかといった、とても簡単な質問なのだから「いない」でいいではないか。

彼らは何でもかんでも質問の答えに「今は」という修飾語を付属してしまう性分なのだろうか。

例えば携帯電話の充電を聞かれて「今は34%」と答えるのか。

身長を聞かれて「今は173センチ」とまだ身長が伸びることを信じているのだろうか。

体温計を見て、「今は36.4」と平熱という概念を持たない平温動物らしからぬ発言をするのだろうか。

「贔屓にしている球団?今はタイガース」と浮気性または強いチームが好きというミーハー感を自ら誇示するのか。

そんなことはないだろう。

なぜわざわざ「今は」といった修飾語を付けるのかといえば、それは醜いプライドが彼らにこびりついているからだ。

実はこの「今は」の後には僕たちに見えない言葉が続く。大抵の場合、この余計な修飾語を付属させて答える人間は、

「今は(一人寂しいソロ生活を送っておりますが一人というのも割と楽しく気楽で自由なものであるし、またつい数ヶ月前まではパートナーも存在していた私は人並みに恋愛経験があるし、恋人なんてつくろうと思えばいつでもつくれるのですが、たまたま今時分においては)いないです」

( )は僕たちに見えざるプライド

のように表面的には見えないプライドが背景に存在する。僕としては「今は…」と返答する人間のプライドがついチラチラと垣間見えてしまうから、何だか頭痛がしてくる。

いや、そもそもそんな腐ったプライドがあるから彼らは現在パートナーがいないとも考えられる。

「わたし、〇〇君のこともう分かんないよ…」

と言われて振られた彼らはまだ気づいていない。この決め台詞の「こと」というのは「腐ったプライド」のことなのである。

プライドに振り回された挙句破局にもつれた彼らは今日もどこかでこう口を開く。

今はいません

ではそんな筆者は現在パートナーがいるのかというと、「今は」いないです。

(2023.5.12 8:49 現在)


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