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母の日のカーネーション。

母の日。

小学生の頃の話。

母からおこづかいをもらったら、
斜め向かいのスーパーマーケットに隣接した
お花屋さんへ走って行って、
花屋のお姉さんにカーネーションくださいと言い、
100円で買えるだけの花を貰っていました。

だいたい、ひと枝だけのカーネーション。
でも、ホントはもっと高かったはず。
たまに、かすみ草を一緒にあしらってくれたこともありました。

ご近所だったので、
私がすぐそばの洋品店の娘だと知って
値引きしてくれたのだと思う。

ある年、
いつもと違うおばさんが花屋さんにいて、
100円を出してカーネーションを貰おうとしたら、
優しい声で断られました。

え?!100円では買えないの?
でも、いつも売ってくれたし
小さいリボンまで付けてくれたのに!!

結構ショックでした。

そして、どうしよう。。。

その姿を店から見ていたらしい母は、
心配になったのか、
気付いたら後ろに立っていました。

静かに、おばさんに
いくら足りませんか?と聞くと、
財布からお金を出して不足分を支払いました。

リボンのついた花を受け取った私は、
なんとも言えない気持ちになりましたが
母がとても大きなひとに見えました。

その後、しばらくして
いつもの花屋のお姉さんが、
母から受け取った代金を返しにきたそうです。

配達で忙しくしていて、
パートのおばさんに任せていたが、
私のことをすっかり話し忘れていて、大変申し訳なかったと謝っていたそうです。

母は笑っていました。

毎年もらうカーネーションは、
あなたと花屋のお姉さんから貰いよったがやね。と。

母が亡くなったのは、
私が中学3年の初夏でした。

大きく見えた母が私より小さくなってしまいましたが、
でも、まだまだ私は
母の懐の大きさにはかないません。

#エッセイ #母の日 #カーネーション #花の思い出 #母の思い出

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