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EPSだけを見る弊害

決算を見る肝としてEPSと売上成長性を主に見てきました。ただ、最近になってその弊害があることに気づきましたので書いていきたいと思います。

まず、前提のお話ですが、投資家としてEPSの成長性と売上高の成長性を見ることは鉄板というか、まず基本のキだと思います。なぜなら、EPSのE(Earnings)とは、当期純利益までの最終的な損益であり、それを一株当たりにしたものですので、株主の一株あたりの価値(最終利益)という意味でごまかしようがないからです。

ということで、株主にとっての「万能指標」のような扱いで、多くの投資家(以前の私も含め)はこのEPSとRevenueにつき、アナリストの事前予想から上振れたか下振れたか、またその推移(上昇傾向か下落傾向か)で投資の良しあしを判断しているわけです。言い換えると、この最終成績表であるEPSとRevenueという抑えるべきポイントでいい点をとっていたら、あとは会社が何をしていてもよいぐらいのスタンスという一般投資家も多いと思います。

ただ、では本題で、EPS分析の穴なのですが、それはEPSは絶対に自己資本比率や発行済み株式数と合わせてセットでみないといけないということです。説明していきます。

具体例があったほうがいいかとおもいますので、CBIZ(ticker: CBZ)という企業を見ていきます。

バフェットコードより
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図が細かくて恐縮ですが、要は売上高もEPSもきれいな右肩上がりというわけです。

左下のEPSは文句なく右肩上がりです。
ここで買いだ!と判断するのは早いです。
(私はなりかけましたが笑)

右上の営業利益などの利益のグラフを見ると、あら不思議、なぜか直近期とその前の一期で利益は横ばいで増えてません。

ではなぜEPSは直近期も上がってるのでしょうか?

それは自社株買いでEPSの分母である発行済み株式数を減らしたからです。

どんな理由でもEPSが上がってればええやん、と思うかもしれませんが、そうとはなりません。

一言で言うと、会社としての利益総額が増えることによるEPS増加の方は継続できるが、発行株式数をいじる(自社株買い)ことでのEPS増加は継続性がないと私は考えます。

自社株買いも永遠に行えばEPSを永遠に上げ続けられるようにも思えますが、自社株買いをするにはキャッシュが必要で、そのキャッシュはどう得られるかというと、①創出される利益を通してか②借入金です。

そもそも利益が成長していれば自社株買いをする必要がないため、①を除くと、結局②なんですね。つまり、自社株買いの小手先テクニックでEPSを上げている会社はたいてい②の借入金で得たキャッシュで自己株式を買って、EPSを上げているわけです。

先ほどの例に戻ると、CBIZの直近期で利益総額が増えていないのにEPSが増加している摩訶不思議な現象はこれで説明つくわけです。

上記キャプチャの右下のグラフでも、直近期で自己資本比率が下がってる、つまり借入金が増えていることが確認できます。この借入金で得たキャッシュを自社株買いに充ててます。

逆に言えば自社株買いしてEPSをお化粧するぐらいなら、借入金を返済して財務健全性を良化してビジネスを進化させてくれよ!というわけです。(と長期投資家なら言うべきです)

我々が汗水たらして本業で稼いだ数千万を投資するわけですから、単にEPSが増加傾向にある会社の株を買うのではなく、さらにもうワンステップ超絶エリート投資家の道を進んで、『良い理由で』EPSが増加傾向の会社に資金を託してください。

まとめになりますが、良い理由とは全社的利益の増加によるEPS増加です。
わるい理由というのは、借入金による自社株買い小手先テクニックによるEPS増加です。

EPS増加傾向の会社を見つけたらもうワンステップの判定をご判断プロセスの中に組み込んでみてください。


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