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ジーンとした話

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嬉しかったり切なかったりしんみりしたり、ちょっぴり心震えたお話をまとめています。
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記事一覧

「悔やまない」と「悔いのないように」

店を始めてまだ間もなかった十数年ほど前、知人が劇団四季の『コーラスライン』を観に連れて行…

nakazumi
2か月前
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お姉ちゃんの選択

5歳の頃から、2歳年上の姉とピアノを習っていました。 ピアノ教室は家から5キロほど離れた街の…

nakazumi
4か月前
83

思い出のクリスマス

その年の12月は、山に暮らして2年が経った頃で、はじめて一人で迎える山の冬でした。 今は隣に…

nakazumi
4か月前
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旅先珈琲

普段暮らしている場所が山間部の雪が多い寒い地域なので、旅はたいてい海のある、暖かい地方に…

nakazumi
5か月前
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嬉しい再会

数年前の出来事です。 爽やかによく晴れた日のオープン直後、その日の風のように爽やかな美人…

nakazumi
11か月前
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手紙

棚の整理をしていた時に、30年ほど前の手紙の束が出てきました。 20代の頃に受け取った何通か…

nakazumi
1年前
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新しい何かを始める人に

店を始める少し前に、「高原で喫茶店をやろうと思う!」と思い切って知人に打ち明けた時、「やめなって。あんな山の中、誰も来ないよ」と言われました。 新しい何かを始めようという時に、悪気はないとわかっていてもネガティブな助言を受けるのは、そこそこのダメージを受けます。 もちろん、「やめておいたほうがいいよ」「食べて行けるの?」「最初は良くても続けていくのは厳しいよ」等々、大変ごもっともで、だけど出鼻をくじく言葉を発する人たちは、心配してくれているんです。新しく何かを始めるということ

疑心暗鬼のほぐし方

現在暮らす高原に移り住んで16年目。 今ではご近所には親しい友人たちがいて、オープン以来の…

nakazumi
1年前
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憧れのお店

そのお店は、A市の駅前裏通りにあります。 気軽に楽しめるフレンチの小さなお店で、ご主人が作…

nakazumi
1年前
43

祖母の言葉を思い出す

もう20年近く前のことですが、イラクで日本人が誘拐されるという事件が度々起こった年がありま…

nakazumi
1年前
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ちいさな神様

14年前の夏の夕暮れ時のこと。 閉店後の片づけをしていると、店のドアが開きました。 CLOSEDの…

nakazumi
1年前
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「余り」の人生

15前に亡くなった祖母は大正9年生まれで、第二次世界大戦中の昭和18年に結婚して満州へ渡りま…

nakazumi
1年前
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はじめての山と谷

「山も谷もあります」。 友人夫婦の結婚記念マグカップに、登山靴と一緒に書いてあった手書き…

nakazumi
1年前
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空席に珈琲があったら

店をはじめてから、必ずしていることがあります。 15年間で、14回ありました。 それは、亡くなったお客様に珈琲を淹れることです。 訃報に接した日、その方を思い出して珈琲を淹れて、よく座られていた席に一日置いたままにしています。 訃報を知ることができた場合だけなのですが、それでも15年間で14回ありました。 お客様と喫茶店の店主という関係は、友人とは言えないし、もちろん親戚でも同僚でもありません。 苗字は知っていても、下のお名前を知らない方もいらっしゃいました。 不思議な距離