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おどれ生きとったんかワレ!(レビュー:『カミングスーン』)

オススメ度:★★★☆☆

映画館で映写技師をしているシェーンは、金に困り同僚と一緒に新作ホラー映画「復讐の霊魂」を夜中に上映し、それをビデオに録画して流出させるという犯罪に手を染めてしまう。だが、その作業中に同僚は失踪し深夜の映画館では映画の内容と同じような奇怪な現象が次々と起こり始める。

 先々週の『女神の継承』に続きタイホラーである。

 光るところのある作品ではあった。しかし一方で、全体として進行がのんびり目であり、90分足らずの尺にも関わらず間延びを感じてしまうことも。リアリティの面でも一歩足りず惜しい。

 本作はある意味では「呪いのビデオ」である。もちろん古典的ホラー作品『リング』のアレだ。見たら呪われる映画があって、あろうことか映画館スタッフの主人公が新作のその映画を流出させようとしてしまう(「STOP!映画泥棒」のアレ)。

 というわけで、この主人公が呪われるのだが、いかんせん、この主人公、ヒロインの元彼らしいのだが、犯罪はするわ、ギャンブルはするわ、ヤクは打つわ、ヒロインの私物を質に入れるわ、ヒロインにDVはするわで数え役満級のダメ人間である。あらすじにある「失踪した同僚」とはヒロインの兄であり、彼も主人公と共に流出犯罪を行っていた。アレな連中がロクでもない目に遭う作品なので見ていてだいぶ平和だ。(老人介護ボランティアをしている善意100%の人間がメチャクチャ呪われる『呪怨』とか本当にひどいよな!)

 しかし、見ているとやはり疑問符で頭がいっぱいになる。「ホラー映画いうても所詮フィクションなわけで、なんで呪われにゃならんの?」と。その答えがまず示される。実は作中作は実話を元にしたホラーなのだ……! その作中作は「狂った老婆が子供をさらって、自分の子供だと思い込み、子供たちの目玉をえぐって食卓に付かせる」という、悪魔のいけにえ的な内容であった。狂った老婆は怒った村人によりリンチされて絞首刑で死ぬ。だが、その老婆の怨霊が生き残った人たちに襲いかかる……といったモノだ。

 ということは、その老婆の怨霊をどうにかできれば何とかなるかも……と考えた主人公とヒロインは、惨劇の舞台となった老婆の家へと出向く。だが、そこで彼らは衝撃の真実を知ることになる。実はその老婆は……

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