音楽教室の宿題

前回にも書きましたが、幼稚園から小学5年生ぐらいまで、音楽教室の
グループレッスンに通い、並行して、小学1年生頃から、ピアノの個人レッスンへも行きました。
小学生からは、商店街の中にある楽器店でのレッスンになり、その帰りに,
母と喫茶店でケーキを食べる日もあるので、ちょっと得した気分でした。

その頃のレッスンになると、オルガンを弾いたり、歌ったりではなく、エレクトーンで、作曲などの自ら作っていく内容も増えていきました。
始めは、四小節ぐらいのメロディが既に印刷されている楽譜で、”この続きを作ってみましょう!”となり、メロディの続きを数小節ぐらい作っていく、というのをやっていたように覚えています。
平行して、音楽の土台である和音も学んでいくので、講座の流れからいくと、皆何かしらの曲を作るのであります。

私は、この作曲がイヤでイヤで…。
何がイヤって、書いた曲を皆の前で発表しなきゃいけない。普通は作ったんだから発表するものでしょうが、発表すると思っただけで、脳が固まってしまいました。単純に恥ずかしい、という気持ちが先立ってしまうのです。
宿題だからひとまず作ったものの、出来た曲に納得いかないし、書き直せる程創作意欲に溢れているわけでもない(苦笑)。
いつも自分以外の皆は、ちゃんと出来ている(ように私には聴こえる)ので、暗澹たる気持ちで、自分の順番を待つわけです。
今もその時の気持ちを思い出すと、キュ~となってしまいます。

印象深い宿題は、既に存在する曲の替え歌、オリジナルの詞を作って、皆の前で歌うのです。
「そうだったらいいのにな」という歌があるのですが(NHKの子供番組などでも歌われている曲)、
それを自分の”そうだったらいい”と思う歌詞を作るワケです。
またここで私は、悩む→それを見ている母がイラつく、という、ある意味ルーティンシチュエーションなんですが、抜け出せない迷路の様な心持ちになって、楽譜を前にしていました。

早く作らないとレッスンに間に合わないと思った母は、こう歌ったらええやん、と歌い始める。
”お菓子の国の王様は~うちの優しいパパだった~”(この後、そうだったらいいのになぁ、という歌詞が続く)
いやーこんな歌詞浮かぶお母さんステキ!って感じに思えますよね。

…ウチの事情をばらしてしまいますが。父母はかなり不仲で、そのかなり、のレベルも本当にかなりでして…毎日口喧嘩は当たり前、
そのせいで、住んでいたマンションの隣の部屋の家族が引っ越したのでは?というレベルだったのです。
(当時は笑えなかったけど、今となっては笑うしかない…ご迷惑をおかけしました。)

そんな母から、この愛とファンタジー溢れる歌詞が出てきたことに、幼心に衝撃で、”宿題できたけど、お母さんんん⁈⁈”と少々混乱した気分になりました。
もちろん、レッスンで歌いました。
恥ずかしさ+自分で作っていない後ろめたさ+母が作ったと思えない内容、
という三重苦。お化け屋敷で目をつぶって通り過ぎる気分で、歌い切りましたよ。。。

大人になり、自分がレッスンをするようになると、子供の積極性が外に表れない子の親御さんは、
「この子はこんなにおとなしくて大丈夫でしょうか…」とか「練習しなくて…」と仰る傾向があります。
ウチの母もこんな風に先生に言ってたんだろなー、と思いつつ、お話しています。ハキハキと受け応えが出来るとか、毎日きちんと二時間練習できる、とかでなくても、子供なりには思いがあって生きている。そういう中で、
いつ感性のツボが刺激されるか。
今日のレッスンで出来たことを一つ一つを喜びながら、見守っています。







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