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認知症の母 物置部屋で蛾が大発生!

 20年前に父が亡くなり、母は一人暮らしとなりました。使用してなかった北側の洋室は物置部屋となり、様々な物が置かれるようになりました。
 2019年に母が認知症とわかる前から、雑貨、雑誌、食料品等が入り混じった状態で、その物置部屋の床に置かれた段ボール箱にどんどん入れられるようになりました。
 段ボールの一つを見てみると、開封済みの賞味期限が1年以上前に切れたお菓子、同種の洗剤の詰め替え5個やらが混在。部屋の出窓にはパンや果物が置いてあることもあり、傷んだ食料品を母が食べないように、虫が発生しないように、実家を訪れる度に私が目に付く範囲で古い食料品は処分するようにしていました。

 2021年8月上旬、チェックのため物置部屋に入ると、蛾が何匹も部屋の中を飛び回り、壁やカーテンを幼虫が這い上がっていました。床には蛾の死骸が沢山落ちています。悲鳴をあげそうになりました…。
 母を呼び、「ちょっと見て!今まで気が付かなかったの?蛾が大発生しているよ!」母は言われて驚きはしましたが、飛んでる蛾に気がつくと、その1匹を捕まえることに気を取られ、他を見ようとしません。見て見ぬふりをしているのか、本当に視野に入ってないのか、よくわかりません。蛾が他の部屋でも繁殖するとまずいので、部屋を閉め切り、バルサンを買ってきて、焚き、しばらく様子を見ることにしました。

 この大発生した蛾は「ノシメマダラメイガ」で、穀類他なんでも食べる繁殖力の強い蛾で、一度発生すると何度も繰り返し発生する、という厄介なものでした。
 バルサンを焚いた直後はほとんどいなくなりますが、1週間もしないうちにまた大発生、2回ほどバルサンを使用しましたが、巣を見つけ撲滅しないと同じことをずっと繰り返すことになる、と判断しました。

 物置部屋には大量に物が溢れており、すべてをチェックするのは無理。母が食料品をよく突っ込んでいる、床置きした段ボール6~7個に限定し、中の物すべてチェックし、巣を探す。その際、物はすべて廃棄することにしました。すべて廃棄するのは、あらゆる物に蛾の卵や幼虫、さなぎがついている可能性があるからです。
 また、蛾が住処として好みそうな物も可能な限り廃棄することにしました。私一人ではとてもやりきれません。私はアレルギー体質なので、長時間蛾の発生した部屋に籠り続けるのは危険でもあります。息子に協力してもらい、2人で一気に作業をすることにしました。

 8月末に1週間前にバルサンを焚き、多少蛾を落ち着かせた状況で、作業をすることに。
 母は「今はもう蛾はいないからやらなくていい。」言いますが、蛾は飛んでおり、幼虫が数匹が壁を這い上がっています。壁にとまった蛾を私がばしっと叩くと、「壁に黒い跡が残ったから、綺麗に拭いて。」と母は言います。床には蛾の死骸が沢山落ち、とても汚いのに、それには気づきません。母に何がどこまで見えているのか、わかりません。

 私も息子も蛾でアレルギーを起こさないよう、真夏でしたが長袖長ズボンに履き替え、軍手をし、しっかりしたマスクを装着し、大型のポリ袋に大量の物を分別し、廃棄しながら、巣を探しました。
 窓は開けてはいましたが、他の部屋に蛾が移動しないようドアは閉めたままです。暑い中、息子と互いに脱水には注意しながら作業を続けてました。
 母には「蛾の巣を見つけ、撲滅するために、段ボールに入っている物を捨てます。蛾の卵、幼虫、さなぎがついているので、すべての物を捨てます。捨てないとまた発生します。」と説明しましたが、どんどんごみ袋に物が入れられ、マンションのごみコンテナに運ばれていく様子を見て、「捨てないで」を繰り返します。「物に卵やさなぎがついていて、それが孵化してまた発生するから捨てます。」と何度も説明することになり、うんざりしました。蛾を発生させたのはあなたでしょう、こんな作業を私たちにさせておいて、つべこべ言うな~!と心の中では怒りまくってました。

 作業を始めて1時間後くらいに、ビニール袋いっぱいの蛾の巣をようやく発見。中では幼虫がうごめき、さなぎもいました。元はビニール袋に何が入っていたのか、全くわからないくらい立派な巣と化してました。たぶん米や小豆とかが入ってたのではないかと思います。
 まずは巣を大きなビニール袋に入れ、巣にゴキブリ用殺虫スプレーをしっかりかけ、袋をしっかり縛り、2重に包んで廃棄しました。
 この巣を見て、私も息子も気持ち悪くなり、今度また発生したらお金を払って業者にやってもらおう、お金はばあさんが当然払う!と、息子と決めました。

 巣を廃棄した後も、他にも巣がないか別の段ボールも確認し、物と段ボールを廃棄。他にもまだまだ荷物はありましたが、今回は食品が入っていそうな箱のみ!と自分にいい聞かせ、作業を終了しました。息子と2人で、3時間半くらいかかりました。

 母は大好きな孫である息子には、「ありがとう」と何度も言いますが、私には一言も言いません。物を捨てた事への私への恨みすら感じられました。
 息子が見かねて「おばあちゃん、蛾が発生したのに気がついて、作業もしたのは母さんだよ。俺より母さんにこそありがとう、って言いなよ。」と母に言うと、仕方ないから言ってやるという感じで、明後日の方を向き「ありがと」とさらっと一言。こんなこと言ってくれる息子に心の中で拍手し、ものすごく嬉しかったのですが、母の言葉はまったく心に響きませんでした。

 この年はこの後にバルサン数回利用で、蛾の再発生を抑えることが出来ましたが、翌年の夏にまた発生しました(涙)。それにどう対応したかについては、またの機会に。

  この一件で母が何か異常が起きた時にそれを認識し、私や近所、消防、警察等々に知らせることができない可能性が高いことがわかりました。私のかわりに頻繁に、母や実家の様子をチェックする存在が必要な段階になっていました。「放置できず訪問サービスを開始」に続く。

 
 

 

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