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これ読んでるの、あんたとちゃうやろ。司書の先生がするどい そして世界が広がるようにしてくれている

「これ読んでるの、あんたとちゃうやろ。」

「ぎくり。はい、夫とです。『また貸し』してます!すんません!」

司書の先生は笑いながら本の貸し出しの処理をしてくれた。
中高一貫校の事務をしていた時の話だ。
私は家で夫が読んでいる本のシリーズが図書室にあったので週を分けて借りていたのだった。

司書の先生ってすごい。
私が借りる本や話の内容、性格などからだいたい好みの本がわかるんだ。
確かに生徒にも紹介するくらいなんだからそりゃそうかもしれないが感心してしまった。

私は仕事の休憩時間には図書室へ行っていた。本もたくさん借りてよく読んだ。
校内に貼られている図書館だよりも読んでいたので新刊が出たり面白い記事があったらすぐに駆けつけていた。
そんなこともあって司書の先生方とよく話すようになった。
こんな本が今日入ったよと言いながら棚へ案内してくれる。私の反応を見て3人の先生たちは顔を見合わせて笑っていた。予想通りなのだろう。私はすぐ夢中になる。

1人の先生が、
「だからね、私は読んでる本って人に見られたくない時もあるなあ。だってさ、頭の中を見られてるようでさ。」

なるほど。
ってことは私の頭の中、覗かれ放題だったのね。

その後私は大学院で事務をすることになった。
そしてそこにある図書館へほぼ毎日行った。
今度は24時間開いてるから休憩時間はもちろん、就業後にも行けるから最高!
するとやはり司書の人に
「この辺りどう?」
と棚を案内された。
特に尋ねたわけでもなかったのに…。
私はきっとわかりやすいのかもしれない。

本を紹介してもらったり、
「ちょっと医学的で勉強っぽいけどこの本どう?できれば原文で。」
などと難しいと思う本にもチャレンジさせてもらったりした。ひいひい言いながら読んだ。
おかげで敬遠しがちだったジャンルへの興味も出た。
本のことであらゆる角度から教えてもらえた。

たまたま好みの本が似ていたせいか私が転職をした今でも連絡し合うようになった。
もう図書館へは通えないが会えば本の話をしている。

本ってつながりも広がる。
世界が広がる。

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