土岐七郎

東京都在住のアラフィフ。男性。令和4年1月に抑うつ状態と診断され、5カ月ほど休職しまし…

土岐七郎

東京都在住のアラフィフ。男性。令和4年1月に抑うつ状態と診断され、5カ月ほど休職しました。復職した現在も投薬治療やカウンセリング、リワークプログラムを実施しています。ここでは、リワークプログラムの一環として行っている写真撮影の成果や美術鑑賞の記録、執筆したエッセーなどを掲載します

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    美術展覧会の観賞記録です

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レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ― ウィーンが生んだ若き天才@東京都美術館

 東京都美術館で開かれた「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」を観賞してきました。日本国内で彼の作品を収蔵している美術館は少なく、また、これまでに僕は、エゴン・シーレの作品をじっくりと観賞したことがありませんでした。東京では30年ぶりとなる大規模展で、彼の画業を一気通貫で見られるまたとないチャンスと思ったのが観賞のきっかけでした。ゴツゴツした線描や大胆にディフォルメされた形状、独特の色遣いを直接、肌で感じてみたい期待もありました。  シーレは1980年に生まれ、28歳で亡く

    • ティルマンスの「Moment of Life」@エスパスLV東京と、奈良原⼀⾼の「Fashion」@amanaTIGPをはしご

       東京・表参道で開かれているヴォルフガング・ティルマンスの写真展「Moment of Life」と、六本⽊での奈良原⼀⾼の写真展「Fashion」をはしごしてきました。きっかけは、懇意にしているカメラ卸の担当者の「奈良原は好きな作家ですが、ティルマンスという名前は初めて聞きました。どのような写真を撮っているのですか」の⼀⾔でした。ティルマンスについては、渡部さとるさんの動画や大和田良さんの著書などで予備知識を持っていたのですが、作品を直接、観賞したことがなく、答えに窮してしま

      • 佐伯祐三 ー 自画像としての風景@東京ステーションギャラリー

         佐伯祐三といえば、パリの街並みを描いたことや、ブラマンクの叱責を受けて作風を変え続けたこと、若くしてパリで亡くなったことぐらいで、彼の作品をしっかりと見たことはありませんでした。短いが、濃密だったといわれる画業を、東京では18年ぶりとなる回顧展を観賞することで深く知ることができるかもしれないと思ったのがきっかけでした。「風景としての自画像」という企画展のタイトルにも、どこか心が魅かれるものがありました。  フライヤーによると、夭折した画家の代表作を一気に展示し、その生涯を

        • ピカソ 青の時代を超えて@ポーラ美術館

           令和5年で初めて鑑賞した展覧会「ピカソとその時代―ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」からの帰りに、「ピカソとしっかり向き合ったことが少なかったな。もっとたくさんの作品に触れてみたい」との思いが浮かび上がりました。そして展覧会「ピカソ 青の時代を超えて」を開催していたポーラ美術館に訪れることを思い立ちました。  制作プロセスに焦点を当て、ピカソの作品を初期から捉えなおそうとする企画趣旨にも心ひかれるものがありました。サラリーマンの僕には、職業画家がどのように作品を作ってい

        レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ― ウィーンが生んだ若き天才@東京都美術館

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          ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展@国立西洋美術館

           皆さんは、令和5年最初の美術展にはどこに行かれましたか? 僕は西洋美術館で開かれていた「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」でした。  これまでの僕は、ピカソの作品をしっかりと鑑賞する機会が少なく、むしろ敬遠していたといっても良いでしょう。なぜならピカソは、極めて多作で、作風が目まぐるしく変わる上、作風の変化ごとにエピソードがあって、しかも神話化され過ぎていると感じていたためでした。  メンタルクリニックでの診察を終えた後、ぽっかりと時間が空いてしまっ

          ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展@国立西洋美術館