【息ぬき音楽エッセイvol.23】The Smithsとエリザベス女王 by 村松社長
みなさまこんにちは。カロワークスの村松社長です。
いつまでも暑いな…と思ったら突然冬のようなお天気になったり、寒暖差が激しい毎日ですが皆さまの自律神経はお元気でしょうか?
ご存知のとおり、イギリスのエリザベス2世が今年9月8日に亡くなりましたね。96歳。私事ですが、昨年亡くなった我が祖母も同じ年。
王室への賛否はまた別の話として、エリザベス女王はイギリスの音楽を考える上でもかなり重要な存在でした。ということで、普段あまり社会性のある話題に触れないこのエッセイですが、今回は触れざるを得ません…!
訃報を聞いて改めて驚いたのが、70年代のイギリス・パンクシーンを代表するSex Pistols「God Save The Queen」の”Queen”と、同じ人なんだよね…ということ。当たり前なんですが、一瞬「え、あの時からずっといるやん…」って思いません?
Sex Pistols「God Save The Queen」1977
イギリスでは最長の在位70年だったので、それもそのはず。この曲は女王の在位25周年というタイミングで発表されました。
考えてみれば1952年の即位から、イギリスのロックやパンク、ポップスの歩みとともにあったと言えるのかもしれません。
ピストルズの他にも、女王が登場するイギリスの曲はたくさんあります。The Beatles「Her Majesty」、Queen「Killer Queen」、The Stone Roses「Elizabeth My Dear」、Primal Scream「Insect Royalty」…。
しかしながら社長にとって、真っ先に脳内再生されたのはThe Smithsの「The Queen Is Dead」でした。
ザ・スミスはボーカルのモリッシーと、ギターのジョニー・マーを中心とした、泣く子も黙るイギリス・80年代を代表するバンドでございます。
ちょっとスミス愛が溢れそうなので語らせていただきますと、社長が中学時代に「外国のちょっと変わった音楽」を聴くようになったきっかけになったのが彼らでした。
リアタイ世代ではないのですが、たまたま購入したファーストアルバム『ザ・スミス』の衝撃と、黒縁のメガネでグラジオラスの花を振り回しながら歌うモリッシーの写真に一発でやられてしまい、しばらく同時代・同世代の音楽から背を向けたひねくれ者になるハメに…。
「スミス」という、イギリスで最もありふれた名字をわざとバンド名にするところや、メンバーが全員労働者階級出身ということ、モリッシーのこじらせまくった歌詞、ジョニー・マーの前髪(前髪…!)などなど、名実ともに中二病だった社長には、当時テレビやラジオから流れてくるどんな音楽よりも心に刺さるものがありました。おそらくリアタイだったイギリスの中二たちはさぞかしだったろうと思います。
さて先ほどの「The Queen Is Dead」という曲は、1986年にリリースされた3枚目のアルバム1曲目に収録されたタイトル曲です。
そもそもタイトルが「女王は死んだ」ですし、歌詞を見ると心配になるくらい批判的なのですが、こういった批判や風刺も大きく受け止めるくらい、社会が成熟してるな〜と、中学生ながらに感心した覚えがあります。日本で同じことをしたらどうなるんでしょうね…。
The Smiths「The Queen Is Dead」1986
モリッシーの嫌味たっぷりな歌詞の中でも、お気に入りがこちらの2つ。
一見するとジョークのようですが、モリッシーの王室嫌いは当時から相当なものなので、だいぶガチです。2016年にプリンスが亡くなった時なんて、「プリンスは女王よりもずっと王家らしく気高い。彼女よりもはるかに哀悼されるだろう」とコメントしちゃってますからね…。
中二社長の後日談としては、1996年に『The Queen Is Dead』発売10周年を記念してリリースされた『The Smiths Is Dead』というアルバムをリアタイで購入しました。PlaceboやTherapy?、The Boo Radleysなどがカバーしていて、曲順も元のアルバム通り。
「ザ・スミスは死んだ」…。たった10年で、何とも時代の流れを感じる良いタイトルです。
ちなみに、モリッシーという人も触れるにはいろいろと複雑で多面的なところがあるので、最後にこちらの本を紹介しておきますね。2017年にブレイディみかこさんが書かれた本です。
それではまた次回〜!
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