いつ何時も穏やかに。

以前勤めていた会社に、私より少し年上で、いつも判で押すように正確に業務をこなす女性がいた。

私が知る限り、彼女に関して仕事上のミスを聞いたことがない。

性格もとても穏やかで、用事があって声をかけると、どんなに忙しくても、嫌な顔一つせず、手を止めて話を聞いてくれるような人だった。

デスク上での業務の他、庶務も担当していた彼女は、皆を陰から支える役も担っていた。

例えば、提出期限のある書類を未提出の人がいれば、数日前に教えてくれたり、給湯室の流し台をいつの間にか綺麗にしてくれたり、細々とした心配りに救われた人は大勢いたに違いない。

ヘッダー画像のタオルハンカチは、私が退職する際、その彼女がくれたもの。

そのタオルハンカチを見る度に、彼女の冷静さ、細やかさなどの美徳を思い出し、少しでも彼女にあやかりたいと願う私。

私自身、職場ではいつも穏やかに、皆が話しかけやすい雰囲気でいるよう心掛けているつもりだが…

業務量が多く、残業続きで忙しい日など、無意識にイライラしてしまう。

そんな時、『彼女だったら、どんなに仕事量が多くても絶対に間違えない。』と自分に言い聞かせている。

憧れや目標となる人がいることは、きっと大事なこと。

主婦でもあり、楽器の演奏が趣味だという彼女は、私生活も充実しているように見えた。

彼女が自分の結婚式で、長いベールのついたウェディングドレス姿で楽器を演奏している写真を見たことがある。

童話に出てくるお姫様のようで、職場の皆に好評だった。

私生活が満たされていると、仕事にも良い影響を与えるようだ。

彼女は私にとってのロールモデル。

彼女はきっと、今も変わらずに『職場の花』であるに違いない。