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第10話 カピちゃん、ロボ君に会いに行く。~その2~

「ロボ君の家ってどこにあるんですか?」
と、カピちゃんは自分の少し前を飛んでいる銀色の鳥に尋ねました。

銀色の鳥はすぐ近くにある木の枝にとまると、くるりとカピちゃんの方を向いて言いました。
「ロボ君の家は町にあるよ。輪廻の森に来た動物たちは、基本的に町に住んでもらうことにしているからね。もっとも・・・ロボ君を動物と言っていいのかどうかはわからないけどね。」

「『町』ってなんですか?」
と、カピちゃんは聞きました。動物園で育ったカピちゃんは、町というものを見たことが無かったからです。

「『町』とは、人間たちの間で使われる言葉なんだが、人間がたくさん住んでいる場所のことを『町』と呼ぶんだよ。ただ、この輪廻の森では『町』に住んでいるのはほとんど動物たちだけどね。人間は先生のトモ君だけだね。あと、最近はロボットのロボ君も住んでいる。もう少し進めば『町』が見えてくるよ。」
と、銀色の鳥は言って飛び立ち、また少し先の木の枝にとまると、くるりと振り返ってカピちゃんが来るのを待っているようでした。

カピちゃんは銀の鳥の後をトコトコと歩いてついて行きながら、変なところに来てしまったなあ、たくさんの動物たちが住む『町』ってどんなところだろう?、ロボ君ってどんな子だろう?、学校にいる猫ってどんな動物だろう?と色々なことを考えていました。

「ほら、『町』が見えてきたよ!カピちゃん見えるかい?」
と、銀色の鳥が言うのでカピちゃんが目をこらして見ると、森を抜けた遠くの方に色とりどりの屋根と、ガヤガヤとした動物たちのしゃべり声がかすかに聞こえてきました。

「あれが『町』ですか?」
と、カピちゃんは銀色の鳥に尋ねました。

「そうあれが『町』だよ。それから、カピちゃんにはこの輪廻の森のルールを話しておいた方がいいね。」
と、言うやいなや銀色の鳥は木の枝から飛び立って、カピちゃんのすぐ近くの地面に降り立つと、カピちゃんの顔をじっと見つめました。

「ル、ルールって、・・・輪廻の森のルールってなんですか?」
と、急に近くで見つめられたのでどきどきしながら、カピちゃんは銀色の鳥に聞きました。

「この輪廻の森にはいくつかルールがあってね、その1つ目はまず学校に行くこと。学校で人間に生まれ変わったらどう生きるべきかを学んでもらう。2つ目は仕事をすること。学校で学び終わったら全ての動物たちには仕事をしてもらうことになっている。カピちゃんは仕事の意味はわかるかね?」
と、銀色の鳥は穏やかな声でカピちゃんに聞きました。

「『仕事』・・・ですか?いえ、意味は全然わからないです。」
と、カピちゃんは首をかしげながら言いました。

「『仕事』というのはね、人間たちが作り出した食べ物を得る方法なんだ。食べ物だけではなく、気持ちの良い家や、面白い遊びや、ケガや病気の治療なんかも、『仕事』をして『お金』をもらうことで、人間たちは手にいれることができる仕組みになっている。ちなみに、カピちゃんは『お金』の意味はわかるかね?」

「『お金』・・・ですか?『お金』の意味もわからないですね。」
と、カピちゃんは困った顔をして言いました。

~第11話につづく~

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