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第16話 カピちゃん、不登校のロボ君の相手をすることになる。

「ええ・・・ロボ君が学校に行くまで、私も学校に行けないんですか?それって・・・ちょっと困るんですけど・・・学校へ行かなかったら、何をしていればいいんですか?」
と、カピちゃんは困ったような顔で言いました。

「輪廻の森の動物たちは、飲んだり食べたりしなくても生きられるんだ。・・・何しろもうすでに死んで魂の状態になっているからね。だから、食事の心配はしなくて大丈夫だよ。好きなところに散歩に行ったりして、輪廻の森の世界を楽しむといい。ロボ君は家にこもってばかりいるけど、一緒に散歩に行ったら楽しいと思うよ。この森全体は1つの島になっていて、島の中であればどこへでも行っていいからね。」
と、銀色の鳥はニコニコして言いました。

「・・・僕がどうしてそのネズミの仲間と、行動を共にしないといけないんですか?だいたい動物のような野蛮な生き物と、繊細なロボットを一緒に生活させるべきじゃないですよ!僕のパーツが壊されたらどうするんですか?僕のことは放っといてもらっていいので、ロボットたちの魂をもっとこの森に集めて、ロボット専門の学校を作って下さい。そしたら、僕も学校に通いますよ。」
と、ロボ君は非常に不機嫌そうに言いました。

「ロボ君、魂を持ったロボットは非常に珍しい存在なんだよ。ワシにとってもロボ君が初めてのケースなんだ。だから、ロボット専門の学校を作ることは今は難しいんだ。それができるのはいつになるかわからない。だから、とりあえず今は動物たちと一緒に学校に通って欲しい。お互いの違いを認めて受け入れることも、輪廻の森で学ぶべき大事なことだからね。」
と、銀色の鳥は言いました。

「それができれば苦労はしませんよ。僕が家にばかりいるのはね、僕が外に出ると皆がジロジロ見るからですよ。この森にロボットがあまりにも少なすぎるからこういうことが起こるんです。この森にロボットがもっとたくさんいれば・・・もし住んでいる者の半分くらいがロボットだったら・・・こんなにジロジロ見られて嫌な思いをしなくてすむんですよ。」
と、ロボ君は憂鬱そうな顔で言いました。

「ああ・・・皆にジロジロ見られるのが嫌だったんだね。それは悪かった。皆にはあまり他の住人をジロジロ見ないように言っておこう。さて、だいぶ暗くなってきたので、そろそろカピちゃんは家に送り届けることにしよう。カピちゃんの家はロボ君の家の隣に準備したから、ロボ君も好きな時に遊びに来るといい。ちなみにカピちゃんには、ロボ君が学校に通う気になるまで、毎日ロボ君の家を訪ねてもらう予定だからね。よろしく頼むよ。」
と、銀色の鳥は言いました。

「ええ!!毎日ですか?私が?ロボ君の家に?」
話がどんどん勝手に進んでいることにビックリして、カピちゃんは大きな声で言いました。

「カピちゃんには迷惑をかけるね。ただ、輪廻の森では他の動物やロボットや人間と良い関係を築くことも勉強の1つだからね。そして、今回の問題を解決できたら、カピちゃんにもロボ君にも報酬をあげよう。ロボ君が学校へ通えるようになって無事に学校を卒業したら、カピちゃんとロボ君には銀色の木の実を3個あげることにする。ワシは輪廻の森で特別良いことをした者達には、時々報酬として木の実をあげることにしているからね。」
と、銀色の鳥はニコニコしながら言いました。

「勝手に話を進めないで下さいよ!僕はそのネズミの仲間とつるむ気はないし、学校へ行く気もないですから!」
と、ロボ君は怒った声で言いました。

~第17話につづく~





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