見出し画像

第24話 カピちゃん、生きていた時にやりたかったこと等をロボ君に伝える。

「生きていた時にやりたかったことかあ・・・そういえば私、山に行きたかったんだった!」
と、カピちゃんは言いました。

「山?どこの山に行きたかったの?」
と、ロボ君はカピちゃんに聞きました。

「動物園から見える山だよ。私はその山に行くために、動物園を抜け出したんだ!」
と、カピちゃんは言いました。

「へえ~山に行くために動物園を抜け出したんだ。ちなみに、その山には辿り着くことができたの?」
と、ロボ君はカピちゃんに聞きました。

「ううん。山に辿り着くことはできなかったんだ。途中で『車』というものにぶつかってね・・・暗闇の中でピカピカ光る変な生き物だった。気が付いたら、この輪廻の森に来ていたんだよ。」
と、カピちゃんは悲しそうな顔で言いました。

「車にぶつかったのか・・・それは残念だったね。生まれ変わったら、車には十分気を付けた方がいいよ。車にぶつかると、ほとんどの動物や人間は死んでしまうからね。僕のようなロボットでも、車にぶつかると壊れてしまう可能性が高いんだ。」
と、ロボ君は言いました。

「そうなんだね・・・全然知らなかったよ。人間の社会には、他にも危険なものがあるのかな?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「人間の社会に危険なものはたくさんあるよ。銃やナイフ・・・これは人間も動物も殺せる道具だね。それから、戦争や犯罪・・・これは人と人が殺し合ったり、悪いことをしたりすることを言うんだけどね。そういった危険なものがたくさんあるから、人間に生まれ変わった時には、十分注意しないといけないね。」
と、ロボ君は言いました。

「人間たちは、なんでそんなに危険なものをたくさん作るんだろう?」
と、カピちゃんはロボ君に不思議そうに聞きました。

「人間たちが危険なものを作る理由か・・・僕の知る限りでは、人間たちは最初は危険なものを作るつもりではなかったんじゃないかな。例えば車なんてものは、人間たちが早く走るために作ったものなんだよ。だから、最初は危険なものを作るつもりじゃなかったんだ。ただ、その車にぶつかってしまうと、人間や動物が死んでしまうことがわかってね。そこから、『車は危険だ』ということになったのさ。」
と、ロボ君は言いました。

「そうなんだ・・・人間たちは、最初は危険なものを作るつもりじゃなかったんだね。でも、車が危険だとわかったのなら、もう車を作らなければいいんじゃない?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「たしかにね。でも人間たちは、車の便利さを知ってしまったから、手放すのが惜しいと思ったんじゃないかな。人間たちの作るものは、びっくりするほど便利なものが多いからね。僕自身も人間に作られたロボットだからわかるけど、人間たちの生活は、車やロボット等の発明品無しでは、もう成り立たなくなっているからね。」
と、ロボ君はちょっと得意げな様子で言いました。

「人間たちの生活は、車やロボット等の発明品無しでは、成り立たないんだね・・・。それってカピバラたちの生活とはだいぶ違うなあ・・・。カピバラたちの生活は美味しいご飯と、気持ちの良い寝床と、遊べる場所や遊べる友達があれば大丈夫だからなあ・・・。」
と、カピちゃんは不思議そうに言いました。それを聞いて、ロボ君はクスクス笑いながら言いました。

「たしかに、カピバラたちの生活と人間たちの生活はだいぶ違うだろうね!カピちゃんが人間に生まれ変わったら、その違いにビックリすると思うよ!でも、もしかしたら・・・人間たちが求めているものも、カピバラたちとそう変わらないかもしれないな・・・。美味しいご飯と、気持ちの良い寝床と、遊べる場所や遊べる友達か・・・。人間も動物もロボットも、その4つさえあればけっこう幸せかもしれないな・・・。」
と、ロボ君は最後の方は独り言のような口調で言いました。

~第25話につづく~


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?