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第22話 カピちゃん、ロボ君と少し仲良くなる。

「話したくないわけじゃないけど・・・でも、どういうヤツかわからないのに家に入れたくはないだろ?」
と、ロボ君はカピちゃんに言いました。

「たしかにそうだよね・・・でも、たぶん今は私がどういうヤツか少しはわかったよね?ロボ君の家に時々来ても大丈夫かな?」
と、カピちゃんはロボ君におそるおそる聞きました。ロボ君の家の庭での日向ぼっこがあまりにも気に入ってしまったので、もうこの庭に来れないことはちょっと残念な気がしたからです。

「まあ、既に毎日のように僕の家の庭に来てるからなあ・・・別に時々家に来るのはいいよ。でも、僕の邪魔はしないで欲しい。」
と、ロボ君は言いました。

「ロボ君の邪魔って、例えばどんなこと?」
と、カピちゃんは聞きました。

「僕には計画があるんだ。僕が人間に生まれ変わったら、人間たちがもっとロボットを大切にするような社会にする予定なんだよ。だからそのために、僕は今色々と研究をしているんだよ。」
と、ロボ君は得意げに言いました。

「研究ってどういうこと?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「まずはロボットを守る法律を作ることだね。今の人間の社会ではロボットを守る法律が全くないんだ。だから、ロボットを守るための法律をたくさん作る予定なんだよ。例えば、『人間はロボットに、正当防衛等のやむを得ない場合を除いて、危害を加えてはならない。また、その危険を見過ごすことによって、ロボットに危害を及ぼしてはならない。』とかね。」
と、ロボ君は言いました。

「法律って何?」
と、カピちゃんは聞きました。

「法律は、人間たちが作ったルールのことさ。このルールを破ると人間たちは罰を受けるんだよ。」
と、ロボ君は言いました。

「じゃあ、カピバラを守る法律をたくさん作れば、カピバラたちの生活がもっと良くなるってことかな?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「そういうことになるね。ただ、カピバラを守る法律なんて聞いたことがないけど。」
と、ロボ君は言いました。

「そうなの?なんでカピバラを守る法律はないんだろう?」
と、カピちゃんはロボ君に聞きました。

「法律っていうのは、ほとんどが人間たちのために作られたものなんだ。だから、ロボットのための法律や、カピバラのための法律は今のところは無いと思うよ。だから僕たちが人間に生まれ変わったら、そういった法律を作らないといけないね。」
と、ロボ君は力を込めて言いました。

「そうだね。私も人間に生まれ変わったら、カピバラを守るための法律をたくさん作りたいなあ。ロボ君は人間社会の色んなことを知っていて凄いね。学校に行ってないのに、ロボ君はどうやって人間社会のことを知ったの?」
と、カピちゃんはロボ君に不思議そうに聞きました。

「僕を作ったのは、非常に頭の良い人間の研究者なんだ。・・・ちなみに、研究者っていうのは、色々なことを調べて、新しい発見をする人たちのことなんだけどね。その研究者は、僕の頭に人間社会の色々な情報を入れ込んでくれたんだ。だから僕の場合は、学校に行く必要はないんだよ。」
と、ロボ君は得意げに言いました。

「そうなんだ。でもシルバーさんは、学校に行くと『トクトク』っていう妖精が配られるから、学校に行くことは大事だと言っていたけど・・・」
と、カピちゃんは言いました。

「ああ、僕もその妖精の話は聞いたよ。誰かを傷つけるような言葉を言ったら、銀色の木の実を1個、誰かを傷付けるような行動をしたら、そういう行動をした者の銀色の木の実3個を食べてしまうんだろ?でも、僕は誰かを傷付けるような言葉を言うつもりはないし、そんな行動もしないから、そんな妖精はいらないよ。」
と、ロボ君は自信たっぷりに言いました。

「そうなんだ。ロボ君は色々なことを知っているし、色々なことを考えていて凄いね。私はこの輪廻の森のことも、人間社会のことも知らないことだらけだよ。」
と、カピちゃんは言いました。

「輪廻の森のことは、僕も来たばかりであまり詳しくないけど、人間社会のことは色々知っているから、良かったら僕が色々教えてあげるよ。その変な学校へ行くよりもずっと役に立つと思うよ。」
と、ロボ君は言いました。

「本当?それは嬉しいな!実は・・・人間に生まれ変わるのがちょっと不安だったんだよね。私は動物園で育ったから、人間社会のことは全然知らないし、輪廻の森の学校に行けば人間社会のことを学べるらしいけど、知っている子は全然いないし・・・だから、ロボ君が人間社会のことを色々教えてくれたら、凄く心強いと思う!」
と、カピちゃんは言いました。

「お安い御用だよ。僕も最近は、ロボットのための新しい法律を考えるのに少し疲れてきていたから、良い気分転換になりそうだしね。とりあえず、人間社会についてカピちゃんが聞きたいことを教えてよ。僕が知っていることなら、何でも教えてあげるから。」
と、ロボ君は嬉しそうに言いました。

~第23話につづく~




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