自然療法というものは、ご自身の治癒力の発揮が主目的となります。現代医療（三大療法）は大なり小なり、必ず治癒力および生命力は削がれます。両者は方向性が真逆になるため、自然療法と現代医療が相いれることはありません。そして、現代医療の方が圧倒的に力は強いので、自然療法は容易に負けてしまいます。

そしてなにより、自然療法は往々にして悠長です。始めたなら３ヶ月は経過を見ましょう。この期間は治癒力が発揮され、体調や病状、血液データなどが良い方向へ向かっているのかを見極める為に必要な期間です。３カ月続けて良い方向性が得られない場合、効果がないと判断する勇気も必要です。

ですから、現代医療と自然療法を同時に行うとしたら、その意味を正しく理解して用いて頂きたいと思います。例えば手術をすると決めました。傷の治りを早くする自然療法を事前に始めておくことはいいでしょう。抗がん剤で免疫を下げながら自然療法で免疫を上げようとしても困難極まりない。火に油を注ぎながら火を消そうとする事態になるのですが、使うと決めたなら免疫力を含む治癒力が下がりきらないように自然療法で踏みとどまろうとすることは、、まあ、、良しとしましょう。

要は「分かって種々の療法に関わっていく」ということです。以前にも記述致しました「現代医療の引き際をどう見極めるか」です。

そして、自然療法にも落とし穴があることを知っておきましょう。風邪の引き始めにサウナが良いというネット記事を見た高熱SARS-2患者さんがサウナに入り、容態を悪化させて受診されました。なんてことを、と、たまげました。他にも、ネット検索で症状を調べて異様に不安を増長させて受診される方も多いなと感じます。ネット情報の盲進は今どきですね。して、温熱療法や温泉、断食など、これらは自然療法だし良さそうだと思うわけですが、病態によっては消耗だけして状態を悪化させることがあります。鵜呑みは問題です。理解と状態状況把握は必要です。

先ず、消耗する自然療法を行う際に大切なことは、自分の体力が充分に温存されているのかどうかです。ネット情報を鵜呑みにしてはいけません。ケースバイケースがあるのです。

温泉を思い浮かべて下さい。湯治で有名な温泉もございます。湯治士と呼ばれる温泉の入り方の指導をする人がいらっしゃる温泉もございます。日本三名泉の草津・下呂・有馬温泉は泉質が割と強いですし、経験的にも強さを感じます。泉質が強ければ湯あたりを起こす事がありますし、単に湯に浸かりすぎれば湯疲れを起こしてグッタリすることもあります。せっかく温泉に来たから長く浸かって夕食前に逆上せて食欲を失う、なんてことをやってませんか？　それ、健康的ではありません。
　＊逆上せ：お湯に浸かりすぎて血管が拡張しっぱなしでフラフラ
　＊湯疲れ：同上＋脱水＝ほぼ熱中症（意識朦朧、吐き気など）
　＊湯当たり：泉質が体に合わず体調不良〜療養泉のこと多し（好転反応のこともある）

自然療法は全て体に優しく安心安全ではなく、中には体力を消耗する方法が存在する、ということも知っておきましょう。ギリギリの体力で消耗する療法を取り入れることは諸刃の剣で自分を切ってしまうことがあります。断食も同様で、がんに限らず様々な難病を治すことで有名ですが、栄養を身体に送らず、体内にあるものだけで生存させ、生命が危機を感じて治癒力のスイッチが入るという手法と呼んでいいのかな。。ホルミシス効果を強制的に呼び起こそうとする方法とも言えます。

断食は細胞のクリーニングとも言われ、日常的に取り入れることはノーベル賞にもなったオートファジーが作動して、取り敢えず体内に保管してあったものを使い果たす。これは、長年住んで物に溢れた家でライフラインが停止し、家の中にあるもので飢えを凌ぎ暖をとる。生きるのに最低限必要なものだけとなり、モデルルームのように物だらけの家がスッキリと甦る、というイメージを全身の細胞で起こると考えれば理解しやすいかと。

要するに、その手法、体力の落ちた方に行っても大丈夫なのか？　です。温泉の湯治、高熱タイプの岩盤浴、42度超えまで上げる温熱療法、断食、など、体力を消耗する方法を行う場合は必ず専門科が付きっきりで状態を把握して引き際を見極められる環境に身を置く必要があります。やれば良くなるからと、体調不良を押してでもやらせようとする療法家がいた場合、要注意です。逃げて下さい。
※ 実際に医学的に状態悪化が確認されている方の中に、自然療法家が好転反応で押し切って続けさせていた事例を複数経験しております故。

温めることは大切なことなので、冷やさない努力も大切なことです。ちゃんとしたマクロビオティックの料理はよいと思います。何事も「ちゃんとした」です。なんちゃってヴィーガンは単なる偏食になる場合があります。知識を持つか、知識人に指導を受けるかしましょう。

個人的にお勧めだなと思う温熱療法は、ヨモギ蒸しかなあ〜〜と。あれだけ汗をかいても異様な清々しさを味わえる不思議な方法だなあ〜〜と。薬草成分の経皮吸収もあるし、けっこう病みつきですよ、これは。真剣に家に買おうかと思ったくらいです。置き場所がないと妻に叱られ買ってませんけど。

…つづく