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世代間で乖離するキャリア観

副業、複業解禁というけれど…

経営者、人事との話の中で最近もっぱらの話題になっているのが、副業、複業問題です。

「働き方改革、副業解禁で、大手企業でも公式に副業をOKにした会社が増えてきているらしい」

「副業をするなんて本業に集中できないし、無用の話なのでは?」

「いやいや、副業はお金のためだけでなく、成長機会や社外を知る意味でも重要だと思う」

最近、こうした「副業」というキーワードに関するやりとりが注目を集め始めています。

特に、「金銭的な余裕を生むためにこっそりと副業をする」といったニュアンスだけでなく、働き方や会社と個人の関係そのものの変化だったり、現代の激しい変化を如実に反映しているトピックが、副業なのかもしれません。

「お小遣い稼ぎ、残業代の補填の副業」VS「やりがい、学び、社会的つながりの副業」

働き方改革にともない、残業規制が多くの企業で取り入れられるようになりました。

そのため、町ではフラリーマンという現象まで起きるようになりました。

退社後には家に帰らず、町中を徘徊するフラリーマンが増えているようです。

これをチャンスと捉えているビジネスパーソンも多くいます。

副業をしてキャリアの実績にするビジネスパーソンも増えています。

「なぜ副業をするのか?」という話になったとき、相談者から出てきたのは次のような話でした。

・金銭的な報酬よりも、仕事では得られない “社会とつながっている感じ” がほしいんです。

・自分自身がどんな立場にあるのか、何が好きなのかということを、仕事ではできないことに取り組むことで見極めてみたい。

 やりがいを探したい。

・社内では学べないようなこと、外の世界で何が起きているかを肌で感じて、本業でも活かせるようにしたい。

というように、お金以外のこれらの「副業」を通して得られることを「やりがい・学び・社会的つながり」を重視しています。

否定する管理職

平日の大半を過ごす「本業」の時間こそ、金銭的な報酬だけでなく、「やりがい・学び・社会的つながり」に満ちたものにしなければ本末転倒です。

これを個人に対して実現し、多くの時間に集中して高い成果を挙げられるようにするのが、本来のマネジメントが行うべきこと。

管理職の役割を威厳、権力と勘違いしている9割は否定的な考え方になります。

本来の管理職の役割というのは、部下の能力を最大限に発揮をさせることが求められるわけです。

プレイングマネージャーとして数字を追っているため、部下の行動に注力をしている時間がありません。

本業で取り組む仕事は、最初からやりがいや学びや社会的つながりを満たしているわけではかならずしもありません。

本人は目の前の仕事に集中して取り組み、試行錯誤することで成果を挙げ、周囲から信頼され始め、より大きな仕事をまかされるようになり、自分の強みを発見したり、仕事のやり方を変えたりしながら、仕事そのものを充実したものにしていく。

マネジャーは、そういうことができるように部下を支援し、育てていく。

これこそが、会社としてあるべき姿。だからこそ、集中して取り組む時間そのものを奪い、他のことにわき目を反らしてしまいかねない「副業」には否定的というのが、このタイプの人のスタンスでした。

ある意味「副業」に時間を割きたくなるというのは、その時点で「本業」が金銭的対価以外の魅力を失ってしまっているというのも、彼らの指摘です。

副業で本業の再発見、本業への相乗効果がある!

一方、こうした考え方におおむね賛成しつつも、「副業」の価値を認める大組織のマネジャーからは、副業することで、学びや刺激をもらい、結果的に本業の価値を再発見・再認識できることがあるんです。

自分が長年所属している組織でいつも同じ考え方、同じ価値観で仕事を続けていると、いつしかそのこと自体を認識しなくなっていることがあります。

例えば、「消費者そのもの、相手そのものに憑依して、その視点でモノゴトを考える」というマーケティング感覚が極めて強い組織で生きてきた人にとって、「自分が純粋に作りたいものをわがままに作り込む」という考え方は、まったく想像もつきません。

一方で、「副業」の時間を通して、そうした働き方をベースとする組織やチームに加わると、目からウロコの連続になります。

自分が本業で接しているパートナー企業がそうした考え方を持っていたり、あるいはセミナーや書籍でそうした考え方を知ったとしても、それほど影響を受けることはなかったでしょう。

報酬を受け取って「副業」を行うと、副業先のルール・文化に合わせようという意識は多くの人にとってより強いものになるというのがポイントです。

お金をもらっている以上、相手の組織に合わせよう、「プロダクトアウト」な組織のルールに従属的にどっぷりつかってみるかと考えてはじめて、「なるほどなあ・・・自分たちが作りたいものをわがままにつくり、相手がどのように受け取るかなんてことはノイズだと思って気にせず取り組むというのはこんな感じなんだ・・・」と実感できるようになります。

その結果、あらためて感じるわけです。「ああ、自分はやっぱり、相手がどういうことを感じ、考え、受け取ってくれるかを起点にモノゴトを進めるのが大好きだし、没頭できるんだ」と。

そうして気持ちを新たに本業に取り組んでみると、今までよりももっと鮮明に「自分は、自分の強みを活かしている。これこそが自分の “やりがい” の源泉なんだ」と再認識できるようになる。

金銭を受け取ることで、強制的に「副業」側の文化に従わなければならなくなることが、こうした学びをもたらすというのが、このパターンのポイントです。

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