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ざわつく年末年始 気軽に「メンタル」言うなかれ

「脳腸相関」をご存じだろうか。

腸活ばやりの昨今,イケてるあなたなら,ご存じやも知れず。

え?ご存じない?いやいや,それもけっこう,結構。コケコッコー。

どうも朝イチの「モーニングノート」(朝いちばんにデジタル媒体を経由せずに,手書きで文字を書く朝活)を5日ばかり続けているのだけど,すこぶる頭の回転が「緩んで」よろしい。OK牧場だ。

デジタル化が進み過ぎて,頭の回転数(サイコパスおじさんのオタキング先生いわく「トルク」)と手先など感覚神経の齟齬が起きている昨今,こうして意図的に回転数を落とす,修正は必要だ。

だって,パソコンって超高速でキーボードを操作できちゃって,思考スピードが手先に追いついていない気がするのだ。

思考ってそんなに高速する必要あるっけ?わたしは,スーパーコンピューターの演算子でもないのに。

そもそも,思考速度は,歩くスピードが良いことは,よく言われている。だから,「歩く瞑想」もあったり,いろんな方向からの「メンタル改善アプローチ」が「ある」。

もとい,脳腸相関。

脳と腸は相関関係にある。

うん,そうだ。

だけど,腸さえ改善すれば,脳はOK牧場なのか。

違うだろう。

「相関関係」と「因果関係」は違う。えっと,この2つの違いがそもそもわからないならば,心理統計学を勉強し直して欲しいなぁ。

心理学は,数字で証明する科学なんだわ。エビデンスベイスでモノを言って欲しいんだわ。ふわっと言って欲しくないんだわ。

「メンタル改善」って,気軽に言ってくれるじゃぁないですか。

はい,あたくし,ケンカ売ってますよ。

と,心理士魂がうずくのだ。ごめんやっしゃ。誰もそんなもん,求めてないのはわかる。だがしかし,細川たかし。言わせておくれ。

わたし,大学1年生から4年生の学部4年間と大学院修士課程の2年間と博士課程の3年間,心理学の研究生活を大学・大学院通して9年間,そして,大学院修了後の臨床現場で仕事して,心理士の最上位資格の公的資格の「臨床心理士」と後発の国家資格「公認心理師」を取り,専門学校に通って精神科退院後の社会復帰のサポートをするケースワーク国家資格「精神保健福祉士」も取りました。

その間,教授に言われて,数々の学会資格もとりましたが,更新がめんどくさくて更新せず(臨床心理士資格があれば事足りる),臨床現場で働きながら,研鑽も今も続けています。

国家資格がなによ。資格が何よ。

はい,そうかも知れません。

国家資格の公認心理師資格は,ここでは書きませんがかなり問題が多い制度設計なので,臨床心理士資格がなければ,公的な仕事であったり,病院臨床では心理の仕事に就けません。

「あなたは臨床心理士ですか?公認心理師ですか?」なんて,聞くクライエントさんはそう多くないと思いますので,独立開業すれば関係ないですが,厳しいようですが,心理職として「メンタル改善」の実績のない人にメンタルケアのクライエントは来ないでしょう。

てか,軽い気持ちで「メンタル改善」と書いているかもしれないけれど,バリバリの精神科領域のお悩みを相談されたら,どうするのでしょう。

自分の手に負えないクライエントさんが来たらどうするのでしょう。医療機関にちゃんとリファー(連携)するような関係性はありますか?

心理相談だからメンタルだけを扱っていればいいのではありません。

脳腸相関とは,脳も腸も体の臓器の一部であり,脳だけ,つまりメンタルだけが体から切り離されているわけではないのです。

インテーク(初回の受理相談)は,相手のお話を聞きながらクライエントとして,お引受けできるか否かの見極めをします。表面はメンタルのお話であっても,裏には内的な体の疾患が隠れている場合も想定してのインテークですし,たくさん診るところがあります。

精神科に勤める駆け出しの心理士は,インテーク相談をたくさんやらされますが,いわゆるベテランとなった今でも,わたしはインテークは緊張します。
(わたしは病院臨床から離れていますし,個別の心理相談は対応しておりませんので,ご相談はご容赦下さい)

メンタルというと,外科的な疾患でもないし,気軽に思われるかもしれませんが,命に関わる重さは同じです。

これから,年末年始は,精神的に落ち着かなくなるシーズンです。われわれメンタルに関わるものは,戦々恐々としたものです。

メンタルクリニックに勤めていた時,院長が暮れの何日まで開業するのか,心理士同士で噂し合ってました。

心理士は女性が多く(大学院まで進学し高学歴低収入の仕事ができる高等遊民はどちらかと言えば太い実家のある女性に限られてしまうでしょう),金一封がもらえたり,年越しそばをふるまってもらえたり,かなりいい感じの年末体制なのは,スタッフの緊張をほぐすためだったのかも知れません。

年の瀬に思い出すのは,出前の鍋焼きうどんです。

おっと,ほっこりと話を結びそうになりました。

でも,大事だから今一度言いたい。

気軽にメンタルメンタル言うなかれ。あなた,プロならば,相談者のメンタルを引き受ける覚悟できていますか。




論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。