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【2023 夏 高校野球 3回戦】広陵vs慶応 どこよりも詳しく見どころ解説 

2023年 夏の甲子園
第105回 全国高校野球選手権大会 3回戦

広陵(広島) vs  慶応(神奈川)

優勝候補、早くも激突!
ハイレベルな打撃戦か!? 
2年生エースの投手戦か!?
予測のつかない好ゲームに期待!!

ともにセンバツに出場し、今大会でも優勝候補に挙げられる両チーム。
投打ともに力があるが、攻撃のタイプは少し異なる。
一言で言うならば、機動力の広陵vs破壊力の慶応

今大会の流れを占う上でも、どちらが勝ち上がるか非常に興味深い一戦だ。

広島vs神奈川


広島代表と神奈川代表の甲子園での対戦は、春夏ともに6回ずつ。
いずれも4勝2敗で神奈川が勝ち越しており、春夏トータルでは神奈川代表の8勝4敗となっている。

直近の対戦は2年前2021年の夏の1回戦で、横浜が広島新庄を相手に9回2アウトから緒方選手の3ランホームランで3-2のサヨナラ勝ちをおさめている。

都道府県レベルで見ても非常にレベルの高い両県の対戦。
投攻守にわたりハイレベルな好ゲームが期待される。

チーム紹介

広陵(広島)

「サクラの広陵」と言われる通り、春のセンバツでは3回の優勝を誇る名門校だが、意外な事に夏の甲子園での優勝経験は無い。
夏は過去に準優勝が4回と、あと一歩のところで優勝を逃してきた。
今年のチームは高尾・真鍋とプロ注目の投打の柱がおり、十分優勝を狙える戦力である。

初戦は島根の立正大淞南との隣県対決を制しての3回戦進出となった。
中盤に逆転を許しビハインドのまま折り返す苦しい展開となったが、6回に相手のミスにも乗じて一挙5得点を挙げて試合を決定づけた。

勝因はエース高尾の粘りの投球と、相手の隙をついて一気に集中打を浴びせた打線だろう。

エース高尾は2年生で147km/hのストレートに注目が集まるが、最大の武器は広島大会で36イニングを投げて46個の三振を奪いながら、四死球が2つだけと言うコントロールの良さだ。初戦の立正大淞南線は調子が上がらないなか、悪いなりにも試合を作れるという安定感が目を引いた。

リリーフで秋にエースナンバーを背負っていたサウスポー倉重が控えているのも心強い。身長182㎝の長身からの変化の大きいスライダーが武器だ。
他にも初戦で登板した背番号16の堀田、1年の秋に大活躍した3年生左腕・岡山も控え、失点が計算できる強力な投手陣だ。

打線の軸は今大会注目のスラッガー真鍋。
花巻東の佐々木麟太郎と並んで、今大会屈指のスイングスピードを誇る強打者である。まだ甲子園でのホームランがないだけに、この一戦での爆発に期待したい。

もう一人キーマンを挙げるなら、1番を打つ田上に注目したい。
下級生時代から打撃センスは注目を集めており、3番の真鍋・4番の小林とともにU18侍ジャパンの候補メンバーでもある。隙が無く、走力も考えると真鍋よりも抑え込むのが難しいとも受け取れる好打者だ。

各人が低く強い打球を心掛け、与えられた役割をきっちりこなす緻密な攻撃が広陵打線の大きな特徴である。
ただあえて懸念点を挙げるなら、初戦の立正大淞南戦ではフライアウトが11個とやや詰まらされる打球も多かった。ここがどう改善されているかも注目のポイントだ。

慶応(神奈川)

対する慶応は、昨年の秋の段階から春のセンバツにかけて「打力のチーム」と言うイメージが強かった。

チームが自信をつけたのは、何と言ってもセンバツの初戦の仙台育英戦だろう。ここで背番号10を背負った2年生の小宅が仙台育英を相手にタイブレークまでもつれ込む好投を見せた。
1-2で敗れたものの不安定だった秋とは見違える姿を見せ、センバツの経験からこの夏は一気に注目の2年生エースへと成長した。

慶応は初戦で福井の北陸と対戦し、9-4で勝利を手にした。
序盤から積極的な打撃でペースをつかみ、相手のミスもあったものの12安打で9得点をあげた。
5回までに9-0とリードを広げ、試合の大勢を決めたと言えるだろう。

勝因は何と言っても、切れ目のない打線である。
1番の丸田から続く打線は下位まで非常に不利が鋭く、どこからでも長打が打てる打線である。
中でも3番渡辺、4番加藤は迫力があり、相手投手にとっては脅威だろう。
また北陸戦では、2回裏の下位打線による3連打が一気に流れを引き寄せた。

投げては2年生エースの小宅が140キロを越える伸びのあるストレートと、キレのある変化球のコーナーワークが素晴らしく、昨秋の北信越チャンピオンでもある北陸打線を7回4安打無得点に封じた。
何より四死球ゼロという安定感が光る投球だった。

また慶応には代打の切り札として清原和博氏の次男、清原勝児選手が控える。この夏まだヒットが出ていない清原にヒットが生まれると、一気に球場のボルテージがあがるはずだ。

慶応は球場を味方につける、アルプス席の大応援団からの声援も大きな特徴となっている。この声援が1本のヒットでチームが勢いづく「導火線」の役割を果たしているとも言えるだろう。

一方でこちらもあえて懸念点を挙げるなら、打線は北陸戦の大勢が決まった終盤3イニングで3者凡退が続いた点か。このあっさり終わった攻撃が相手のリズムを生み、9回の北陸の反撃を生んでしまったとも言える。

そして9回に登板したリリーフの松井が4安打4失点を喫した点。
秋はエースナンバーを背負った右サイドハンドの好投手だが、初戦では力を発揮できなかった。3回戦に向け、どう調子を上げてくるかに注目したい。

この試合のポイント

実力差はほとんどないと言える両チームだけに、わずかなミスや四死球が試合の流れを決める可能性がある。

走者をためると大量得点を奪える力のあるチーム同士の対戦なだけに、無駄な出塁・進塁は避けたいところだ。

勝ち進む上で山場となる大事な試合なだけに、この試合は両チームとも2年生エースの高尾・小宅両投手の先発が予想される。

チームの特色を考えると広陵の中井監督としては3~4点以内の投手戦、慶応の森林監督としては5点勝負を望んでいるのではないだろうか。

投手力ではわずかに広陵が上回るだけに、1番のポイントは
広陵のエース高尾を慶応打線がどう攻略するか
と言う点になるだろう。

高尾投手が大きくコントロールを乱すという展開になる可能性は低いであろうことから、慶応はファーストストライクから積極的に振っていき、広陵バッテリーにプレッシャーをかけたい。

逆に広陵バッテリーとしては、初球の入りには特に気を付けたいところだ。
甘いストレートで不用意にストライクを取り行って痛打を浴びると流れが慶応に傾く。

エースの高尾・小宅、そしてスラッガーの真鍋・渡辺とタレント揃いの両チームだが、意外にもキャッチャーのリードが勝敗を分けるのではないだろうか。

優勝を狙える戦力を持つチーム同士の
熱い熱い戦いに期待したい。

甲子園ラボ






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