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ため息204:愛着を感じる

紺屋の白袴:「長年の愛着がある。変えたくない」

現在の事業分野に限界があることが明らかになり、創業20年になるこの会社は新規分野を事業の柱に加えることによって、生き残りをねらいました。そこで、これからはちがうぞということを、目に見える形で表現しようと社名変更をすることにしました。社名が変われば当然ロゴマークも変わります。
ところが、情けないことがおきました。何と20~30代の若手システムエンジニアから反対の声があがりました。従業員の30%が現状のままを希望しました。社歴5年の若者が、現在の社名・ロゴマークに愛着があるので変えてほしくないというのです。

この会社は、企業の情報システム開発を生業としています。日頃、ビジネスプロセスの革新とかいって、抜本的な経営革命を今実行しなければ生き残れないというテーマで売上と利益を増やしてきた会社のひとつです。
既存の情報システムを次期システムに置き換える、または経費削減のため、その場しのぎの接着剤を使って多様なシステムの統合をはかることを、顧客に提案しながら、一方で自分の会社は5年10年前と同じでいいと、社員は考えているわけです。
これから新しい事業分野を担っていく若い技術者が、入社時の会社のイメージに愛着をもち、変化を嫌ったのです。

ボトルネック
このケースは、世の中ITということで注目され、それを商売にしている情報処理産業の従業員の、お寒い精神構造の実態をあらわしているということで片付けては不十分です。既存システムを否定するところから、商売がなりたつ会社の従業員、それも若手の社員に自分の会社は「従来どおりがいい」「愛着がある」といわせた裏には、何かがありそうです。
経営サイドからの断片的な指示や情報開示では、社員は変化に対応することができません。

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