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色覚異常を告白したときのリアクション6パターン

「これ何色に見えてるの!?」

色覚異常者は基本的に、色覚異常であることをまわりに打ち明けません。そのため色覚健常者の人は、男性の10〜20人に1人という、結構な大人数が色覚異常であることを実感しづらいと思います。

何故オープンにしないかというと、非常に面倒くさい思いをするからです。そして、たまに嫌な思いもします

色覚異常者が色覚異常であることを健常者に伝えたときにどんなリアクションが返ってきて、思いでいるかをお伝えしたいと思います。


パターン1:「じゃあこれ、何色に見えてる!?」

ぶっちぎりNo. 1で多い反応が、この質問をしてくることです。
正直「またかよ」と思ってます。

すげぇ真っ赤なシャツを指差してこの質問をされたことがあります。
そこで私が「赤色。」と答えます。すると「見えてるじゃん!!(怒)」と決まって何故か怒られますが、怒られるまでがこのやりとりのセットです。

色を名前で質問することに、あまり意味はないと思います。なぜなら色の名前は、学習によって覚えるものだからです。
例えば、ほうれん草の色を見せて「これは赤色です」と覚えさせられた人間にほうれん草を見せたら当然「これは赤色だ」と答えることになります。

当たり前ですが、色の名前は色の本質ではないのです。

2003年に小学校での全員まとめての色覚異常検査が廃止になりました。多分原因は、色覚健常者の子供が、色覚異常の子供に対しておちょくって「これ何色に見える!?」を繰り返したことが当事者の苦痛に繋がったのではないかと思います。

「これ何色?!」という質問には、何の罪悪感も伴わないでしょう。ですから、本人はおちょくったという記憶もないかもしれません。


パターン2:「じゃあこれが灰色に見えているってこと!?」

最も多いリアクション第2位は一気に色が無い世界になっちゃうパターンです。それは流石に日常生活で周りも気づくやろ。

多くの色覚異常者は光の三原色のうち1つが感知しづらい状態です。感知できないというパターンもあれば、感知力が弱いパターンもあります。

日常の中で完全な赤、青、緑というものはあまり見る機会は無いでしょう。どんなものでも複雑に色が混ざり合って構成されていますので、何らかの色は見えています。

そして、その組み合わせによっては、灰色に見えてしまう色もあります。しかし、緑色が弱いからと言って全ての緑色が灰色に見えるわけではありません。

なお、色覚異常者の中には無彩色に見えている人も確かにいます。数万人に1人です。その場合、三原色を感知する錐体細胞自体がありませんので、そもそも視力がかなり低く、色がわからなくて困るというよりも、ものが見えづらく暗く感じることのほうが日常生活に支障をきたすそうです。しかも近視とはメカニズムが違うため、メガネによる視力矯正も行えません。


パターン3:「うちの弟もそう!焼肉の色がわからないんだよね?」

これは理解を示してもらえているパターンのやつです。協力者としてかなり期待できます。
身内に色覚異常者がいる場合、話が早くて助かります。

ただ、焼肉の色がわからないのは1型色覚異常の人たちなので、2型色覚異常である私は焼肉で困ったことがありません。紅葉もわかります。


パターン4:「赤系?それとも緑系?」

もうお前色覚異常者だろ、っていうパターンです。

色覚異常のなかで最も多いのは、赤色か緑色がのどちらかが弱いというケースですので「そのどちらが弱いの?」という主旨の質問です。

このような人にはほとんど会ったことがありませんが、カラーデザインをしていて色覚について勉強している人か、本人が色覚異常者の場合です。
後者の場合は協力してもらうことはできませんが、お互いに情報交換ができて励まし合うことができます。今まで会ったことはありません。

なお、この質問に「いや、青色。」と返すと、盛り上がること間違いなし。


パターン5:「ふざけないで!!!」

何故かキレられるやつです。意味が、わからない。

「わからないふりをして、私をからかわないで!」という面白くも無ければ誰も得しない嘘をついていると何故か思い込んでいるパターンです。

正直、これが一番最悪です。



パターン6:「わかった。色の判断に迷うときがあったらいつでも聞いてね。メールで写真を送ってくれてもいいよ。」

神様が人間のかたちをしているパターンです。

崇め奉ります。


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いかがだったでしょうか?

色覚異常者が「色がわからない」といっているときは、本当に色が全く見えていないという意味ではありません。その人の色覚の特性によって、ある程度規則的に色を混同してしまいます。

つまり「この色がわからない(灰色に見えている)」ではなく「彩度の低い黄緑かオレンジのどちらかだ」ということに迷っていることを、「色がわからない」と表現しているのです。

上記のように、理不尽にキレられたり、「何色に見える!?攻撃」を受ける可能性があることは経験上知っています。

それでも色覚異常であることを打ち明ける理由は、協力してほしいからです。自分が間違った色を選択することを避けるためには、協力者が欠かせません。

しかし誰にでも打ち明けるわけではありません。よほどオープンな人や、色について全くコンプレックスが無い人以外は、「この人なら自分の味方になってくれるだろう」と信じた人に打ち明けているはずです。

多くの色覚異常者が健常者の手助けがほしいシーンは、おそらく服を買うときかな、と思います。ネット通販なら色名がわかりますが店舗で選ぶとき、「これは薄ブラウンなのかカーキなのかどちらだろう?」というときがあります。

そんなとき、「これは何色?」と気軽に聞ける人が増えるといいなぁ、と思っています。

パターン6の人が増えますように!!

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