エンタメスタートアップ1人目デザイナーの現実(シードラウンド編)
emole株式会社でプロダクトデザイナーをしています佐々木と申します。
ショートドラマ配信アプリ「BUMP」を開発しています。
最近イベントを通してたくさんのデザイナーの方とお話しさせていただいて、とても勉強になっています!
そこで弊社の話をすると、「そんなことまでやるの…?」と驚かれることが多く、アーリーフェーズのスタートアップがどんなことをしているのか皆さんイメージが付きにくいのかな?と感じました。
(やっとnote書きました笑)
「スタートアップ」の現実は「〇〇億円調達!」みたいなキラキラしている部分は少なく、泥臭いことばかりです。
胃が痛くなったり、寝れなくなったり、ストレスがかかっている状態で施作を打ち続けるしかない。
しかし、その施作のほとんどは当たらずに、ランウェイが減り、ストレスが増えた状態でまた施作を回す。
そんなスタートアップの現実を知ってもらえたら嬉しいなと思います!
初期プロダクト「emole」と第一次キャッシュアウト事件(2021年12月)
自分がジョインした時、emoleは受託制作の会社でした。
仕事でお世話になっていた先輩に、emoleと代表の澤村を紹介してもらったことがきっかけでした。
澤村は自社サービスをやりたいという思いをずっと持っており、「BUMP」の前に別の自社サービスをローンチしていました。
デジタル名刺サービス「emole」です。
クリエイターや役者が自分のポートフォリオをオンライン上で管理でき、案件とマッチングできるというサービスでした。
サービス公開後、ポートフォリオのリンクをSNSで利用してくれるユーザーが現れたり、ヒアリングさせていただく中で嬉しい声をたくさんいただいたり、公開直後は順調でした。
今考えるとユーザーの声が直接聞けたりなど、自分がC向けサービスを好きになるきっかけがこのタイミングだったのかもしれません。
その後、ユーザー数が伸び悩み、グロースしても将来性がないのではないか?と社内で話し合いクローズすることにしました。
自分がデザインに関わった自社サービスをローンチして、クローズするという初めての経験でした。
この時に強く感じたのは、「デザインの力だけで事業を伸ばすことはできない」ということでした。
僕のバックグラウンドと踏まえて、事業を伸ばしていけるデザイナーになりたいと考えるきっかけになりました。
(自己紹介noteも今度書こうと思います。)
その後、新しい事業アイデアを探しますが難航します。
「"好き"で生きられる世界をつくる」という当時のビジョンとビジネスとして経済的に成り立たせることができるアイデアが見つからなかったのです。
詳しくはこちら👇
また、同時に会社のキャッシュも少なくなってきていました。
自社サービスや自主制作映画「我が愛しの殺人鬼」の制作費が当初の予定より増えてしまっていたのです。
(残りランウェイが2〜3ヶ月くらいになってた気がします)
今考えたらランウェイ2〜3ヶ月はまだ余裕なのですが、この時はマジで会社潰れる。。。終わった。。。と絶望しながら手を動かし、知り合いに声をかけ営業し、やれることはなんでもやってました。
なんとか受託案件をいただきながらキャッシュは繋ぐことはできましたが、自社サービスのアイデアは全く生まれませんでした。
そんな中、転機が訪れます。
ショートドラマ配信アプリ「BUMP」の着想(2021年12月)
澤村とFさん(当時いたメンバー)と自分の3人でワーケーションをしよう!ということになりサウナに行った時のことでした。
この時、澤村がインディーズ映画のプラットフォームをやったら面白いのでは?というアイデアを持ってきました。
しかし、インディーズ映画は芸術性が高い作品が多く、一般受けしないのではないか?という仮説と、全く同じことをしているサービスがあったので諦めました。
その議論をしている時に、「テレビドラマの面白さのまま、1話の尺を短くできたら面白いんじゃないか?」というアイデアが生まれました。
これがBUMP誕生の瞬間でした。
emoleのビジョンを実現できる
ビジネスとして成り立たせる収益も見込める
当時はショートドラマが流行りきっておらず競合もいない
今までの短編映画の制作経験を活かせる
初期は出演キャストのファンにリーチを狙える
このアイデアが出た時、澤村と自分は絶対行ける!と話していたのを覚えています。上記を満たせるこれ以上のアイデアは絶対ないし、やるなら今しかないと。
しかし、Fさんは難しいのではないか?という意見でした。
上場に向けてやっていくのもFさんの個人的なビジョンと合わないということでBUMPの本格的なスタートを前にFさんは離れることになりました。
開発スタート(2022年4月)
emoleは澤村が元々プロダクトデザイナーということもあり、デザインドリブンで開発を進めていく文化です。
そのため、「BUMP」の初期のUIは比較的早い段階からできていました。
しかし、社内にエンジニアがおらず、開発の進め方はかなり悩みました。
当時の選択肢は3つでした。
正社員エンジニアを採用する
開発を委託できる会社orチームを探す
他社の映像配信サービスを使う
1のエンジニア採用に関しては時間とお金の制約から難しいと判断、3は最終判断として残しつつ、2の方向で進めることにしました。
しかし、シードラウンドで調達予定の金額では大きな開発予算を確保することは難しく、委託先を探すのはかなり難航しました。
開発案件のマッチングサービスに登録した澤村が、面談がめんどくさいという理由で自分に押し付けてきたのです。
やることは山のようにある中で少しイラッとしましたが笑、このサービスを利用したことで今の開発チームと出会うことができました。
全10社聞いた中で一番最後に話を聞いた会社だったので、最後まで諦めずにアクションを起こすことは本当に大切です。
第二次キャッシュアウト事件とシードラウンド資金調達(2022年5月)
無事にパートナーも見つかり、開発がスタートしました。
が、受託で繋いでいたキャッシュもとうとう底をつきます。
BUMPのビジネスモデルはスタートアップにしてはかなりお金が必要なモデルです。そのため、エクイティでの調達をする必要があり、シードラウンドでの調達活動に動いていました。
プロダクトなし
コンテンツなし
コンテンツ業界経験者0人
エンジニア0人
市況最悪な中でtoCエンタメプロダクトでスタートアップしようとしている
こんな状況で調達活動をしていたため、当初のスケジュールよりも遅れていました。
キャッシュがギリギリの中、うまくいかない調達活動。おそらく人生で3番目に辛い時期でした。
(1位と2位もこの後出てきますのでお楽しみに笑)
今進めている作業は調達できなかったら無駄になるのか?
調達できなかったらメンバーもバラバラになるのか?
モヤモヤした感情が常に頭の中にある状態で、手は動かさなければならず、それが本当にしんどかったことを覚えています。
辛い状況が続いていた中、
VCである千葉道場の石井さんに澤村がXでDMを送ったところピッチを聞いていただき、リードで出資していただくことが決まりました。
その後、もう一社のVCサムライインキュベートの坪田さんにもピッチを聞いていただき、出資していただくことになリました。
千葉道場さん、サムライインキュベートさんの2社から出資していただき、無事にシードラウンドで5000万円を調達することができました。
ここから本格的にスタートアップとして「BUMP」を開発していくこととなります。
シードラウンドで何をデザインしていたのか?
シードラウンドではプロダクトの0→1の立ち上げをしていたので、UXの5段階モデルの全てをデザインしていました。
代表と二人三脚でプロダクトを立ち上げる経験
シードラウンドの資金調達前からスタートアップのコアメンバーとして関わる
プロダクトで扱うコンテンツ制作に関わる経験
上記は誰でも経験できるものではないですし、今考えても貴重な経験ができたと思います。
より具体的なお話もできますので、お気軽にご連絡ください🙌
次のnoteチラ見せ
次のnoteではプロダクトリリースまでをまとめています。
以下の内容を検討しているのでお待ちください🙏(内容変わる可能性もありますがご容赦ください)
「地獄」リリース準備と「お通夜」のリリース当日
「バズるか、死ぬか」その行方
UIデザイナー、プロダクトデザイナー、PdM、エンジニアも積極採用中なので少しでも興味あればご連絡ください!
(正社員、業務委託、副業なんでもOKです!)
これからも定期的にnoteは発信したいと思うので、よろしければX、noteのフォローもお願いします🙏
X:https://twitter.com/PT_sasaki_free
note:https://note.com/cc720_emole
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