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【自由詩】りんご箱〜シロクマ文芸部〜

りんご箱を実際に
まじまじと見たことはない
だけどそれらしきものが登場する話には
いつだってずいぶんと心踊らされた
 
たとえば
ヨーロッパのどこか田舎町の
古い建物の一角にある殺風景な部屋
そこに居候している主人公が
使い古された木箱をひっくり返して
友人が持参した高価なワインを開ける
揺らめく蝋燭の光にいい男が二人
極上のワイン香るリンゴ箱テーブル
絵になる 絵になりすぎる
 
だけど待って
もし私だったら?
ちょっといいなと思った彼の部屋に
招待されてりんご箱だったら?
たとえその日は夢見心地でも
明日も明後日もりんご箱だったら?
 
そう 夢なのよ夢
刹那的だからきらめくもの
非日常の魔法がかかってときめくもの
究極の対比がもたらす相乗効果
薄ら汚れた木箱は
それ以外の演出が完璧な中でこそ花開く
そこんところ履き違えてはいけない
 
だからりんご箱に恋したあなたは
生まれ変わったそれを愛でたらいい
削り直した木肌にぜひ
感嘆の吐息を捧げよう
 
もちろん
ひっくり返しただけのりんご箱で
私を永遠に魅了してくれるなんていう
甘いささやきが聞こえてきたら
今すぐ飛んでいくけれど
それこそ夢のまた夢?
いや 夢見るならそれくらいがちょうどいい


今週は甘〜く夢見心地で文芸部に参加です!
りんごですからね、あっ箱ですけどね。

床に座って足を投げ出し、りんご箱を挟んで乾杯!
そんなワイルドでセクシーな夜を
ぜひとも過ごしてみたいものです、一晩は。
ええ、一晩。ひ・と・ば・ん。そこ大事です。


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