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【詩】幻の花はこの胸でほころぶ

幻ってなんですか?
私は聞いた。
夢でもない、奇跡でもない、幻って。
あなたがかすかに微笑んだ。
美しくて儚くて
けれど悲しみや落胆や
そんなものばかりでできてるんだ。
欲しくて欲しくてたまらないのに
こんなにもここでは鮮やかなのに
なのにちっとも本当にはならないものだよ。
あなたがぎゅうと胸元をつかんだ。
白くなる指先に私は自分の手を重ね合わせる。
だったら大丈夫。
もうここにあるのなら。
だって最後は自分で作り上げるもの。
あなたが作るからこそ
夢は本当になるのでしょう。
だから幻もきっと。
あなたの望む美しさをどうか私に教えて。
伏せられていた瞳に何かが芽吹き
震える指先を開いてあなたが私を包み込む。
その微笑みはもう揺るぎなく
私は明日花開くものを見つけたような気がした。

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