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【G】新ユニフォームを観察しよう!【巨人篇】

 昭和9年に産声をあげた巨人軍が、来季には90周年を迎えるようだ。NPBの歴史は巨人軍の歴史とよく言われるが、全くその通りで同時にNPBも90周年を迎える。今回は、そんな記念すべきアニバーサリーイヤーに新調された巨人軍の新戦闘服を観察しようではないか。

ホーム・ユニフォーム

 やはりこちらはいかにも「巨人のユニフォーム」と言った感じの間違いのないデザイン。デザインの面で今季のものから変わった点は、袖ラインが袖の縫い目の位置から縁に来たことと、左腕に「TOKYO」と花文字の腕章が入ったことぐらいであろうか。こちらはスッキリとさせながらも、「東京の巨人軍」であることを強調できていて素晴らしい変更である。

 そしてもうひとつ、今季まで使用していたシャツの生地にはシャドーストライプのような柄がついていたのだが、これがなくなりキメの細かい純白の生地となっている点に目がいく。メーカーがナイキということで、本場のMLBと同じ生地が使われていたら素晴らしいだろう。向こうでは多少の機能性を殺してでも、「プロの重み」をかなり重要視している印象だ。巨人は屋内の東京ドームが本拠地なので、灼熱の環境でプレーすることがない。それならば盟主としての風格を大切にしたのだろう。これは素晴らしい変更である。

ホーム用帽子

 まさか、ここを変えるとはという驚きを覚えた。巨人が伝統のYGマークを一新し、それぞれのアルファベットのツノを切り落としたようなデザインに変更したのだ。ティファニーが新しいものをデザインしたようだが、果たしてこれは90年の歴史を持つ巨人軍がやることなのだろうか。もちろん、YGマークは阪神のHTマークや中日のCDマークと同じく時代と共にデザインを変えてきている。いわゆるON砲の全盛期である、9連覇を達成した時代のYGマークはGの字が少し小さく、Yの字が大きいことが目に見えてわかるだろう。しかしながら、根本的にデザインを変えたのは今回の変更が初めてのことである。

 これには賛否両論あるのだろうが、個人的には巨人軍が消滅してしまうその瞬間まで今季までのYGマークを使って欲しかっただけに残念である。MLBのニューヨーク・ヤンキースは、ベーブ・ルースが被ったものとほぼ同じデザインの帽子をアーロン・ジャッジが被ってるのだ。これは本当に素敵で、素晴らしいことなのではないだろうか。巨人軍も同じように、長嶋茂雄終身名誉監督が現役時代に被ったものとほぼ同じデザインの帽子を岡本和真が被る。これが素晴らしい事だっただけに、としみじみと感じる。自分が応援している球団が派閥争いのために意匠に関する伝統がほとんどなくなってしまっただけに、この思いはひとしおである。

ビジター・ユニフォーム

 一目見ると、やはり伝統のユニフォームなのかとの推測が簡単に立った。昨季より阪神とのコラボで、戦前のユニフォームを復刻しており、それと告示したデザインであったからだ。オレンジは一切使用せず、上下グレーでラインは白と黒の完全なモノクロユニフォームである。

 来季が90周年なので、伝統を重んだユニフォームを着用しようということなのだろうが、やはり「巨人軍」を見に来た人達は皆、オレンジ色の入ったユニフォームを見に来るのではないか。僕が応援している中日も、平成26年に昭和29年の紺色とグレーのビジター・ユニフォームを採用したものの、俗に「ドラゴンズブルー」と呼ばれているロイヤルブルーを排除したデザインはファンの間で大いに不評。「ドラゴンズブルーを取り戻せ!」というウェブサイトまで作られる事態となってしまったのだ。それだけ、長年親しまれていた意匠や色使いを変えてしまうというのはリスクが伴うものである。今回の変更でも、沢山の批判が集まるのではないか。

ビジター用帽子

 こちらはYGマークを捨てて、TGマークを使用。「Tokyo Giants」の頭文字を取ったのだろう。こちらもユニフォーム同様に、黒と白でデザインされているがために、どこがニューヨーク・ヤンキースやシカゴ・ホワイトソックスを想起させるようなデザインである。従って、街で着用できる帽子を目指したのだろう。

 ここまで読んでいただいた方はもうお分かりかと思うが、こちらも「巨人らしさ」がないので少し寂しいデザインである。せっかくならば、ユニフォーム諸共TGマークが採用された昭和28年のユニフォームをオマージュしたデザインにしたら良かったのではないか。

↑訃報からの引用となってしまい申し訳ないが…昭和28年の巨人のビジター・ユニフォーム。TGマークである。

最後に

 少し辛口で、楽しく読むことができない投稿になってしまい申し訳ない。しかしながら、巨人軍が90年をかけて積み上げてきた伝統を壊すような、継ぎ足しの秘伝のタレが入ったバケツを排水溝の上でひっくり返すかのようなユニフォームである。来季の開幕前にも、「独断と偏見でユニフォームランキング」を発表する予定ではあるが、巨人は間違いなく順位を落とすことだろう。

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