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20年ぶりに筆をもつ(by 上井草太郎)

昨年末のコミックマーケット101において、「セル画ラボ」は初めて世に出ることになりました。セル画時代の経験がある職人が、デジタルの現場でまだ現役として活躍されている、このタイミングでその技術を若い人たちに伝える場=ラボを作りたい、という思いからアニメタウンに通い始めました。

少しずつですが新人も入り、ベテラン職人に筆使いを教わる、修行の日々です。

ハンドトレスに挑む新人

ベテラン職人も20年ぶりに筆を取ったわけですが、すぐに手が感覚を思い出し、セルの上にカブラペンで見事なハンドトレス(トレスマシンを使わずに手描きでトレス線を書くこと)の線が蘇りました。この職人は若い頃、毎日セルの上に線を引く、という修行をしていたそうです。手で覚える技は、小脳で記憶するのだそうで、一生忘れることはないそうです。

色トレス作業中のベテラン職人の手元

コミケから一月半が経ち、有名作品のスタッフも集まりはじめ、その技術を受け継ぐ、新人も日々、育ってきています。

色問題は課題が山積み

日が暮れて、帰路につくのですが、20代前半と思しき、カット袋を抱えた制作さんとすれ違いました。30年前、私もさっきの子のようにカット袋を抱えて、何かを思いながら、このアニメタウンを歩いていたんだよなあという、思いに耽ります。多分、アニメはまだ20年は続くと思うのですが、その頃はずいぶん様相が変わってるんじゃないかとも思いますし、本質は何も変わってないのかもしれません。また、一人の天才が現れて、アニメを盛り上げてくれるかもしれませんし、AIがもっとアニメを底上げするかもしれませんし、しないかもしれません。そんなことを考えながら、今日もアニメタウンをあとにします。

日が暮れるアニメタウン

次は3月25日のアニメジャパンで新作セルのお披露目を予定しています。
スタッフ一同、頑張ります。

上井草太郎



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