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Backnumber『水平線』~失われた夢と言語に救われて~



最近、YouTubeでハマっている動画がある。

Backnumberの『水平線』を3か国語(日英仏)で3人の人が歌うものなのだけど、とても美しくて、素敵な動画だ。


◇◇◇

高校時代、大流行だったBacknumber。

『クリスマスソング』を仲良い子と口ずさんで「あれ~?誰のこと考えてるのかな?」なんて笑い合いながら、廊下を駆け抜けたのが懐かしい。

いたるところで、Backnumberが流れていたあの時代は、私にとって大切な大切な青春の1ページだった。


◇◇◇

そうして、2020年にリリースされた『水平線』。

歌詞もメロディも、全てが美しすぎて綺麗で、なんどもなんども曲を奏でた。



2020年。新型コロナウィルス流行真っ只中。あらゆる大会・ミュージックフェスティバル・試験が次々と中止の音を上げた。五輪のマークを掲げる国際大会でさえ、なくなってしまった。

「長年の努力がすべて水の泡になってしまった」

行き場のない呟きと、悔しさが溢れかえる世の中。

こんな時こそ、"upset"(怒りと悲しみがまざったような感情)という英単語が他のどんな感情を表す言葉よりも的確だと、私は思った。


そんなときに、リリースされた『水平線』。

水平線が光る朝に
あなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に
誰かが綺麗と呟いてる


美しすぎません?

ずっと叶えたかった夢、努力してきたもの、それらが目の前で崩れ去って打ちひしがれているときに、粉々になった夢の欠片はどうしようもなく綺麗で痛くて、遠い誰かが心を揺さぶられる。

努力は無駄じゃないんだよ。と言ってくれるように聞こえた。

たとえ、不本意に夢が叶えられなくなっても、夢に立ち向かった姿は、誰かを勇気づけてくれるんだよって。だから、無駄じゃないんだよって。

2020年。前を向けば向くほどに忘れ去られていく年であるけど、沢山のものを犠牲にして、沢山のものを失ってしまった年でもあった。

大事な大学の青春時代。私の記憶は、大学2年生で完全に止まってしまっている。どんなに思い出そうとしても、大学1、2年生のキャンパスしか思い出せない。必死にあらゆるものに蓋をして、一生懸命時間を進めてきたけど、かけがえのない2年間は取り戻せない。ふと、思うこともある。


ねぇ、綺麗だったかな。

私の、私たちの、散ってしまった夢や青春、思い描いていた時代は。


ここの歌詞を、先ほど紹介した動画では、英語でこう訳されている。(3:28〜)

Morning comes to horizon shine
(水平線が光る朝に)
Your one last hope never sees the light
 (あなたの最後の希望は光を浴びることができなかった)
No matter how much I shed my tears
(でも、私がどれだけ涙をこぼしたとしても、)
The world moves on to another morning 
shine
(世界は新しい朝へと移りゆく)


最後の一言を"The world moves on to another morning shine"

と訳してくれたことで、救われた気持ちになった。

消化しきれない想いを抱えても、涙をのみこんでも、世界は変わらず次の朝日を迎えてくれる。

叶えられなかった夢も、失った日々もたくさんある。でも、私たち、ちゃんと進んできたんだよ。

頑張った自分たちを、認めてあげていいんだよ。


違う言語に救われることがある。

この世に、言語が沢山あって本当に良かった。


◇◇◇

出来るだけ嘘は無いように
どんな時も優しくあれるように
人が痛みを感じた時には
自分の事のように思えるように

 忘れないでいたい優しさ。

「優しいと損することもあるけどね。」

この前、友達がふとそんなことをこぼした。

優しさなんて、捨ててしまおうかと思うことさえある。

人の痛みを感じとってしまっていたら、こんな激動の世の中で、自分の心が持たなくなってしまう。

でもそう思うたびに、やっぱり、優しくありたくて、正直でありたいと、この歌詞を握りしめるんだ。

それは、絶望に打ちひしがれたとき、私が守るべき最後の一つの砦かもしれない。



◇◇◇

透き通るほど淡い夜に
あなたの夢がひとつ叶って
歓声と拍手の中に
誰かの悲鳴が隠れている


なぜか、ここの歌詞がどうしようもなく好きだった。

痛い。同時に、見えないものをいたわる美しい歌詞だと思う。

心臓をわしづかみにされて、心が割れてしまいそうだ。


表舞台で、まばゆいスポットライトと歓声を浴びる勝者。

その背後で、暗い舞台裏で涙をぬぐう者。

勝者がいれば、必ず敗者はいる。

それは逃れようのない世の中の法則だ。

敗者は、忘れられがちだ。


ねぇ、「勝ち負けが全て」なんですか?

「結果を出さないと意味がない」

そんな言葉が世界一嫌いなのに、世界一正しいと思ってしまうこの矛盾を抱えながら、今日も息をしている。

でも、忘れないでいて。

「勝ち負け」という一つのステージに、無数の人の想いと日々が潜んでいることを。そこに散りばめられた一人一人の努力や夢は、優劣なんて絶対につけられない尊いものである、ということを。


◇◇◇


やっぱり、美しい歌詞だ。

私は英語と日本語しか解釈できないけど、3か国語で歌われたこの曲を見て、心が締め付けられるくらいに揺れ動いた。


日本語の透き通るメロディ。

英語の、痛みを溶かしていく歌詞。

フランス語の力強くて前向きな歌声。


1つの言語で、あるものを解釈・表現できない時に、別の言語に救われることがある。

”upset”という単語があって良かった、と何度も思うように。


だから、私は表現の幅を増やして、手の平からこぼれ落ちていく想いや、悔しさとともに呑み込まれる想いを、少しでも救えるように、今は英語を一生懸命頑張りたいって思うんだ。


◇◇◇


読んで下さりありがとうございます!

Backnumberの話から、最後の方は言語の話に移り変わりましたが、仕事で使うこともあって最近英語の勉強が本当に楽しくて、暇があれば英語の勉強をしています(笑)

Backnumber、好きな曲は『sister』『ハッピーエンド』『わたがし』です!

ぜひ聞いてみてください♫




あこ





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