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所得減税4万円、非課税世帯7万円給付 岸田政権の真の狙いとは?

政府が11月上旬にもまとめる経済対策で、税収増の一部を国民に還元する具体策として、所得税を定額で4万円減税し、住民税が課税されない低所得者世帯に7万円を給付する案が浮上しました。

そもそも還元と言いながら、税金をより多く払った人たちに還元されるわけではないので、交付というのが正しいのですが、それは置いておいて、

岸田政権の狙いはどこにあるのでしょうか?


◆来年夏の選挙対策?

「税収増の一部を国民に還元する」というのがこの政策の名目ではありますが、前述の通り、全く還元とは言えないようで、しかも税金を納めている層よりも、納めていない層が得をするような内容になっています。

なぜこのような内容になっているかは、後述するとして、
結論から言うと、この政策の狙いは来年夏に行われると見られている衆議院解散とその後に行われるであろう総選挙でしょう。

時事通信が6~9日に実施した10月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の26.3%でした。
今年1月の26.5%を下回り、岸田政権で過去最低を更新し、政権維持の「危険水域」とされる2割台を記録するのは3カ月連続になります。

首相自身も24日夜のテレビ東京情報番組に出演した際、まず「先送りできない課題の処理に専念すること以外考えていない」と早期解散説を否定し、その上で、来年9月の任期満了に伴う自民総裁選まで解散しない可能性についても初めて言及し「来年については、今は考えていない」と語っていました。

しかしながら、自民党内からも、今回の政策が来年夏の選挙を見越したものであるような発言が出てきています。

ではなぜ、今回の還元策、もとい交付策が選挙対策になるのでしょうか?

それは、党を支持する層の年齢層が高齢であることが挙げられます。

◆自民党を支持する高齢者

前述の世論調査でも、内閣支持率を世代別に見ると、シニアが比較的高く、男女別では、男性が女性を上回っている事から、高齢男性に主に支えられる政権の実態が浮かび上がっています。

29歳以下の支持が極端に低く、また、不支持率が最も高いのは「30歳代」の54.8%に上ります。

一方、不支持率が低いのは「70歳以上」の41.6%、
また、男女別の内閣支持率は、男性29.9%に対し、女性22.5%で、7.4ポイントの差があります。

◆みんなが幸せになると、特定の党が支持されない

極端な話をすると、国民全体が幸せになるような政策を行うよりは、党を支持する層だけが幸せになるような政策を行う方が、党の支持につながります。
また、そうでなければ選挙に投票に行く意味がなくなります。

これは分割統治という方法で、ある者が統治を行うにあたり、意図的に対立構造を作る事で、統治者に矛先が向かうのを避けることができると共に、確実な支持層を獲得する事ができます。

例えば、今回の政策でいうと、国民を住民税を課税される人とそうでない人に分けるとして、住民税が課税される世帯は、60歳以下の現役世代で、何もしなくてもとりあえず働き続けはしますし、税金を払わないというのは不可能です。
一方、7万円が給付される、住民税が課税されない低所得者世帯というのは、全体の8割以上が65歳以上の高齢者です。
彼らのほとんどが収入が少なく、年金をもらって暮らしています。
(但し、現役世代と比べて貯蓄は多く、高齢社会白書によると、そのうち68.5%が経済状況について「心配ない」と答えています。)

もともと自民党の支持者が多いこの世代は、年金に加えて給付金までもらえると聞いて、当然この政策を支持するでしょうし、元々投票率の高いこの世代は選挙が行われれば票を入れるでしょう。
なので、彼らを味方につける事を優先したわけです。

◆岸田政権は日本の未来など考えていない

つまり、今回の政策には、党の支持を期待できる高齢者を優遇し、若者を切り捨てる事により、確実に選挙に勝とうという戦略がある事は一目瞭然です。
岸田首相の言う経済対策など、全く考えられた政策ではないのです。

以前書いたかもしれませんが、国内の経済を回すためには国民の消費が活発いなるしかありません。
ですが、現状のまま、むやみに最低賃金を上げたり、平均給与を上げようとすれば企業は雇用を控えます。
雇用を控えれば、正規雇用は増えず、雇用が安定しない為、消費は増えません。
この悪循環を断つには、一旦消費税などを減税するなどして、一時的にでも国民の負担を減らすことで消費を促すしかないのです。
たった4万円の所得税減税や、一時的な給付金では効果は薄いです。

私はこれまで、どの政党を支持すべき、とか、特定の政治家を応援したいとか、政治思想について語った事はありません。

ただ、一つだけ言える事は、今の政治の中心にいる人々が国民に目を向けていない事だけは確かです。
今回の政策は、その証拠と言っても差し支えないと思います。

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