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所得格差は広がっていない~日本が迎える残酷な未来

下記は先月のYahooニュースの記事ですが、
いよいよ映画チケットの価格が2,000円に値上げになりました。

記事のコメント欄でも、「このご時世だから仕方がない」という声が上がっていました。

確かに、そうなのかもしれませんが、僕には違った見え方というか、とても恐ろしい未来を想像してしまって、ゾッとしてしまいました。

それは、限られた人間しか、こういった娯楽を楽しむことができなくなる未来です。

それは、この日本で所得格差が広がる、という事ではありません。
むしろ、もっと残酷な未来です。


◆日本の所得格差は広がっていない

上の記事では、他の先進国と比べても、実は所得格差は広がっていない、という記事になります。
以下のリンクの画像は、日本の所得階層ごとの所得の推移を表したグラフです。

https://diamond.jp/mwimgs/0/b/-/img_0bf2e24025d884628bffb1bb03db7c0b178570.jpg

下位階層の所得はさらに上がっていないのは勿論なのですが、驚くべきことに、上位階層の所得もあまり上がっていないのです。

この現象について、イェール大学助教授の成田悠輔氏はこう語っています。

「アメリカやイギリスといった国に比べると、実は日本の格差の広がり方ってすごく緩やかです。格差が広がる局面って、たとえば新しいビジネスや産業が作り出された時に、それによって生み出された富を一部の人々に分配する、結果として格差が広がる、これがよくあるパターンです。一方、日本はここ数十年間で大きな産業、新しい富をほとんど生み出せなかった。なので、格差を生み出すっていうことがすごく難しいんですよ。お金持ちも貧乏人も同じように貧乏になっていて、ある種の“一億層貧困社会”みたいなものが生まれてしまっているんです」

つまり、日本においては所得格差が問題なのではなく、そもそもの日本人の所得全体が縮小傾向にある事が問題なのです。

◆国民総貧困時代へ

経済成長を順調に続けている状態において、セーフティーネットを構築し、そのうえで平等な競争環境をつくるのならわかるのですが、成長が鈍化している状態において、格差を是正する事ばかりにフォーカスし、「結果平等」へと邁進するのは、資本主義国家というより社会主義国家へと進んでいるようにも思えます。

経済成長を実現できない現状のまま、分配だけが進めのであれば、中国の掲げる「共同富裕」ならぬ、「共同貧困」への道を進む可能性があるのです。

それに加えて今年4月、政府はある方針を示しました。
それは、外国人労働者の在留資格の対象を拡大するという方針です。

◆移民依存社会➡移民国家へ

この方針によって人手不足を手っ取り早く解決できるかもしれません。
ですが、それによって「ウチの業界も対象に!」との声が続出し、移民依存社会になってしまう可能性は否定できず、低賃金で雇える外国人労働者ばかりが増えて日本人の賃金も上がらない、という状況を作り出す恐れもあります。
また、白昼の宝石強盗が発生するなど、貧困による治安悪化が叫ばれる中で、移民国家になってしまえば、さらなる治安悪化は避けられないでしょう。
一旦入れてしまえば、今後は選挙権を与えるべき、といった意見も出てくるかもしれません。

実際、移民流入により欧州では社会の分断が拡がりました。
移民に対する考え方を見直す国も少なからず出てきています。
それもあって、本件に関してはSNSなどでも批判的な声が多くあがっていました。

これは実質的な「移民解禁」ですし、移民がすべて悪いとは言いませんが、本来は選挙を行って民意を問うべき問題だと思います。
ですが、岸田政権にはそのつもりがないようです。

◆日本は税金や社会保障負担が大きい「重税国家」

日本は税金も高いです。

よく欧州との比較で、「税金が高いのは日本だけではない」という意見がありますが、欧州は総じて社会保障や教育のサービスレベルが日本より格段に高い為、比較対象としては的確ではないかもしれません。

例えば、スウェーデンは自国民であれば、私立大学でも公立大学でも学費は無料、ドイツも公立大学は無料、フランスは政府が大部分の学費を負担してくれる仕組みになっています。
イギリスは地域ごとに大学の年間授業料が異なっており、イングランドでは上限が9250ポンド(約150万円)と高額ですが、スコットランドの住民は域内の大学の授業料が無料となっています。

ちなみに2015年のOECD加盟国で、GDPに占める小学校から大学までの教育機関に対する公的支出の割合は、日本は2.9%で、比較可能な34カ国中で最下位でした。

また、厚生労働省年金局が2018年7月30日に発表した「諸外国の年金制度の動向について」という資料によると、公的年金の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する公的年金給付の割合)は、日本が34.6%であるのに対して、イギリス22.1%、ドイツ38.2%、アメリカ38.3%、スウェーデン36.6%、フランス60.5%となっているそうです。

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000339624.pdf

スウェーデンには公的年金のほかに、義務的に加入する私的年金があり、それを加えた所得代替率は55.8%となっています。
イギリスも義務ではないのですが、多くの人が加入する公的年金給付を超える私的年金があります。

つまり日本は、社会保障や公的サービスの給付水準が低いのに、税金や社会保障負担が大きい、「重税国家」になっているのです。

◆静かな増税が続いている

日本では「控除の縮小」も相次いでいます。

給与所得控除も、以前は給与収入に応じて無制限に増えていましたが、2013年分からは、給与収入1500万円を超える場合の給与所得控除に245万円の上限が設けられました。
配偶者控除は2018年から、夫婦どちらかの年収が1120万円を超えると減額になり、1220万円を超えるとゼロに。
相続税増税に至っては、控除額が4割減となってしまいました。

社会保険料の負担も増えています。

日本では、社会保険料と税は異なるものと認識されていますが、賃金が税源という点では社会保険料も税も同じものです。実際、アメリカでは高齢者医療や年金の財源は「給与税(payroll tax)」と呼ばれています。

勤労者世帯の家計を31年前と比較すると、世帯主収入は474万円から533万円へと12.5%増えているのですが、所得税と住民税を合わせた直接税は4万円増え、年金保険料や健康保険料などの社会保険料は41万円、111.3%も増えています。

税金と社会保険料を合計した税社会保険料負担は45万円、50.1%増と、収入を圧倒する伸びを示しています。その結果、手取り収入は14万円、3.8%しか増えていません。

これらは実質的な増税です。

ちなみに、社会保険料を財源に求めるというのは、高齢世代の反対が少ない、ことが一番大きいと考えられます。

そして、社会保険料の引き上げは、結婚予備軍、出産予備軍の若い独身者や子なしカップルには、独身税、子なし税として機能するので、少子化が加速する可能性もあると思います。

メディアも社会保険料は税ではないかのような政治家、財界人、識者の意見を垂れ流すのはやめるべきです。

◆優先順位が違う

このように、実質増税が続く中、社会保障は縮小傾向にあるわけですが、
消費税などは本来少子高齢化に備え、安定した社会保障の充実の為、増税した分は社会保障に回すと言っておりましたが、2014年に8%に上がった際に確保した財源8兆円のうち、社会保障に回したのは十数%。
そもそも、社会保障に回すつもりなどなかったのでしょう。
消費税は上げて、法人税を下げたのもそういう事だと思います。
結果、経済が活性化されたわけでもなく、国民の所得も増えていません。

税金の使い道の優先順位もおかしいです。
少子化対策や経済支援策の話になると決まって「財源が~」と否定的な意見を述べる一方で、防衛費増額やウクライナ支援に関しては議論もそこそこに、ほぼ無条件で決定しています。

防衛費増額に関しては、必要ではあると僕も思いますが、国民の生活以上にまず優先すべきことでしょうか?
また、家庭の負担増になるとしても際限なくウクライナを援助することを、国民は支持しているのでしょうか?

◆限られた人間とは

僕は冒頭で、「限られた人間しか、こういった娯楽を楽しむことができなくなる」という話をしましたが、
その「限られた人間」とは、恐らく日本人ではありません。

それは、日本にやってくる海外の富裕層です。

僕が以前に東南アジアに旅行をしていた頃は、「物価が安くていいね」なんて言ってましたが、今では「日本は100円で良いものが買える」なんて言われています。
実際、今は東南アジアに旅行するより、国内旅行の方がまだ安いです。
(以前は逆でした)

昨年にディズニーランドに行った際も、今年USJに行った際も、来場客の多くを海外の観光客が占めていました。
つまり、かつての東南アジアの地位に、日本が徐々に近づいているという事です。

そのうち、日本のアミューズメントパーク、高級ホテル、高級料理店など、そういったささやかな楽しみすら許されず、日本を”割安”でお得と感じた海外の富裕層が街にあふれる時代が訪れるかもしれません。

◆海外富裕層が日本を買い占める

余談ですが、円安が続く中で、東京の都心を中心に日本国内の不動産を海外富裕層が買い占める動きもあります。

実際、昨年まで働いていた前職の秋葉原オフィス周辺でも、コ〇ナ禍で空きになったテナントが中国系企業に次々と買われていました。

新宿歌舞伎町でも、空きテナント続出で中国企業の買収が加速しているそうです。

近未来サイバーパンクなアニメや映画などでは、中国語が並ぶ無国籍感のある都市が描かれていることが多いですが、日本はまさにそうなりつつあるのかもしれません。

日本はまさに今、消滅しつつあるのかもしれません。
そんな未来を想像して、僕は身の毛がよだちました。

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