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【女性に優しいサロン】海外での経験をひとつひとつ繋いで<前編>

月に一度、身近にいる働く女性にフォーカスし、
ざっくばらんにお話しを伺う連載
《女性に優しいサロン》

私の周りにはパワフルで
魅力的な女性がたくさんいます。
そんな彼女たちですが、
この数年を見ていると
「マインドや人生を変えた」
方々を多く見受けます。
自身もその内の一人。
リアルに体現しているからこそ、
彼女達も何故このタイミングなのか、年齢的なものか、
そしてどう変わっていったのかを
お聞きしたいと強く感じました。
仕事のことや身体のこと、
将来のことで
立ち止まって悩んでいる女性たちへ。
お話しの中からちょっとしたヒントを頂き、
人生の一歩を踏み出しましょう。
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第三回目のゲストは、ロンドンからお迎えしました。
『おなかに優しい料理研究家』の松田靖恵さん。
実は私が今一番気になっている女性です。
彼女とは10年程前、弊社ブランドの展示会に知人を通して遊びに来て頂いたのが知り合ったきっかけ。
当時とガラリと変わった人生を歩んでいる興味深い彼女とじっくり話す内容は、彼女のキャリアから現在に至るまで。

相変わらず、私の「へぇー」が連発します。

◼︎サロンオーナー(M)
お久しぶりです。今はロンドンなのですね。そしていつの間にか料理研究家として活動している。
ーどういった経緯があったのかな。

◼︎靖恵さん(以下Yさん)
Mさんと初めてお会いした時は、私が30歳の時でした。その時は日本に居ましたが、以前はフランスとドイツで幼稚園教諭として働いていました。

◼︎M
えっ!幼稚園の先生だったの?!しかも海外だったの!!

◼︎Yさん
はい。学生時代に児童教育を学んでいました。在学中に参加した海外研修プログラムがきっかけで、卒業後は米国留学し教育について学ぶ予定でしたが、ちょうどその頃、知人より「フランスのパリで教員を探している日本人幼稚園がある」と誘いがあり、フランスへ渡ることになりました。

◼︎M
日本の教員免許があればフランスでも教えることができるのですか?

◼︎Yさん
私が働いていた幼稚園は日本の教育をしていたので、日本の教員免許が必要とされました。そこには、在仏日本人家庭やミックスルーツの子どもたちが通っていました。

◼︎M
いきなりフランスだと言葉はどうしたのですか?

◼︎Yさん
「ウィ」と「ノン」と「ボンジュール」ぐらいしか知りませんでした(笑 
職場は主に日本語だったので、仕事をしながらフランス語を習得しました。

◼︎M 
パリでの生活はどうでした?

◼︎Yさん
初めての海外生活だったので毎日がとても刺激的でした。あと、とにかくパンがもの凄く美味しい!
パリに滞在していたのは1年ですが、想像していたよりも滞在ビザの更新手続きがスムーズに進みませんでした。職場の教育方針にも疑問を感じる部分があり、このまま滞在を継続できるか不安を感じていました。ちょうどそのタイミングで、ドイツにある日本人幼稚園とご縁があり、パリからドイツ・フランクフルトへ移住することになりました。

◼︎M
今度はドイツ語…また喋れないよね。

◼︎Yさん
もちろん喋れません(笑 
ドイツ語は語学学校へ通い勉強しました。フランス生活でもドイツ生活でも、趣味のバレエ教室へ通いながら、現地の友人を作るように努力しました。日本語以外で話す時間を増やし、語学を習得していきました。

◼︎M
本当にアクティブですね。ドイツでの生活はどうでしたか?

◼︎Yさん
ドイツでの教育環境をとても気に入っていました。「ドイツで働けてよかった!」と感じながら、充実した日々を過ごし4年経った頃、父親の病気をきっかけに28歳で日本へ帰国する事になりました。

◼︎M 
では、初めてお会いしたのはこの頃になるのかしら。NPOでも働いていましたよね?

◼︎Yさん
NPOで働いたのは、もう少し後になります。ちょうど30代にも突入し、色々な意味で変化の大きい10年間が始まりました(笑

帰国当初は、海外の教育方法を取り入れている幼稚園の職を探していました。ですが、そのような幼稚園の応募には、保育士免許が必須だったのです。私は教員免許しか持っていなかったので、一旦諦め、海外生活経験を活かせる場を探しました。そこで辿り着いたのが、語学スクールの運営スタッフです。カタコトの語学レベルから現地で言語を習得した経験もふまえて、これから海外渡航をする方や語学習得を目指す方々の通学サポートをしていました。
しかし子どもに関わる仕事はどこかずっと気になっていまして。
貧困家庭の子どもたちへ無料の学習支援を提供するNPO団体で活動することになった、という訳です。

◼︎M
当時その話しを聞いた時、本当に衝撃でした。豊かなイメージの日本の話し?と。松田さんは何故NPO団体で働くことになったのか、気になって…。
それから私の頭の片隅に残り、今日やっとその理由を知ることができました。

これまでのお話を伺い、様々なカタチの教育に携わってきたことを知ることができました。中でも特に気になった内容が、海外と日本の教育との違いについてだったのですが、どんな風に感じていますか?

◼︎Yさん
「違い」とイメージして初めに思い浮かぶのは、学生時代の研修の記憶です。プログラムの一環でアメリカの小学校教員をされている方のお宅へホームステイし、2週間子どもたちと活動時間を共にしました。
研修後、日本の教育実習に参加し、何となく違和感を感じてしまい...それは活動時間のほとんどが団体行動で、子どもたちが先生の指示通りに動く姿。自分も受けてきた教育のはずなのに...子どもたちがしたいことを自由に決められるタイミングはほとんどないんだなぁ、と。

例えば制作活動の時間は、先生の指示通りに同時におなじ物を作る。そこで団体行動が出来ない子は、注意を受けてしまう。何というか、ある意味 “よい子“ の定義が明確なのかもしれません。

◼︎M
たしかに、外国の映画の中で、生徒同士のディスカッションをしているシーンでは、先先主導ではないものね。日本で、あのような教育は受けてこなかった。

◼︎Yさん
実際にドイツで勤めていた日本人幼稚園では、ドイツ式の教育方法を多く取り入れていました。特徴的なところは、ひとつのクラスに様々な年齢の子どもたちを混ぜたクラス編成です。すると年長児が自然に小さな子たちの面倒を見たり、一人っ子の子どもたちは兄弟姉妹のような関係を体験できたりと、子ども同士の学びを感じることができました。
また、制作物などは子どもたちが個々に興味を持ったタイミングで取り組み、主体性を尊重します。お散歩へ出かければ、森から枝や木の実を拾い、それらを使った遊びを考えるなど、自然と芽生えた好奇心を育めるよう常に心がけていました。

◼︎M
へぇー、いいな。そういう教育を受けたかったな。
思い返すと、私は幼稚園~小学校低学年まで、体も小さく幼かったので、みんなとの団体行動が苦手だった。今からは想像できないと思うけど(笑 
内気で人と話すのが苦手。一人で遊んでいる方が楽みたいな子だったの。だから、学校が苦手で。だからその頃の自分が大嫌い。

◼︎Yさん
タイプは様々だと思いますが、実は意外とそういう子は多いような気がします。周りについていくのがやっとでも、それを表現する術がわからず我慢していたり。

◼M
やっぱり居るよね、そういった子供。私だけではなかったんだ。

◼︎Yさん
日本の幼稚園から転園してくる園児の中には、自由に遊ぶことに慣れておらず、しばらく私の隣に座って他の子どもたちの様子をじっと観察している子もいました。すると、側を通りがかった子たちが声を掛け、子ども同士でルームツアーをしてくれたりするのです。「したい事をしていいんだよ。」「先生に聞かなくてもいいんだよ。」などと伝えてくれていました。
自分の幼稚園時代の記憶では、トイレへ行ったりお水を飲んだりする場合も、必ず先生の許可を得ていたように思います。好きな遊びをしていた記憶はありますが、自由度はとても低かった。

◼︎M
たしかにね。
それって日本の教育は大丈夫なのかな。これからもっと世界と繋がっていかなければいけない時代に、自分の意思を強く持ち、自らで動くという教育をしていかないといけないのではないの?

◼︎Yさん
文化的背景が違うので比較しにくいですし…本当に難しい問題だと思います。
私自身は、日本人として生まれ育って良かったと感じる部分もあると思います。例えば、日本の社会でイエス、ノーをはっきり言ったり、自分のやりたいことばかり押し通すと、空気を読めない人になってしまう場合がありますよね。はっきりさせないことで相手を思いやったりすることが美徳や謙虚さ、奥ゆかしさに繋がる場合もあります。

一方でそのような環境に息苦しさを感じる人もいます。自分のように違和感を持っている人たちが、主体性を大切にできる社会になっていくと良いなと思います。

これまでいくつかの国で生活し、主体性ある行動とは、他者の言動を尊重することに関係しているのではないかと感じました。様々なルーツがある人同士がひとつの社会を築いていくためには、意思表示をはっきりし異なる価値観を共有することが必要なのだと思います。
そして、お互いの違いを知り尊重し合えるようなサポートをする教育が求められるのではないでしょうか。日本以外の国について知ることや母国語以外の言語を学ぶことは、それを知るための良い方法のような気がします。

◼︎M
なるほどねぇ。今回は、まさかの教育、社会論だね(笑 
料理の話しかと思っていたよww

後半へつづく…


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