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自分が欲しいものだけ創る!

スープストックトーキョーの株式会社スマイルズにて、クリエイティブディレクターとして入場のある本屋「文喫」など、顧客企業の新事業づくりを手掛けている野崎 亙さんの著書

デザインコンサルティング会社での経験と、スマイルズでの実績を経て、リアルながらも再現性のある思考法と実践術がつぶさに、肩肘張らずに描かれています。本好きなので文喫のツクリテのアタマを覗けるだけでも有り難い

従来型マーケティングと違うマーケティングについて語るものなので、立場を問わず、事業開発や価値創出で壁にあたっている人、悩んでいる人にぜひ一読して、事業の現場で実践してもらいたい

という想いのつまった本なので、けっこう惜しげもなく全てを出し尽くしている内容なので、ピンク色のキャッチーな色と奇妙な自画像?がかかれた表紙で偏見をもたずに、ぜひ多くの人に読んでほしい

これまでは統計的に論理的に”まちがいない”調査結果をベースに、N数を数多く積み重ねて意思決定していくことが当たり前でしたが、彼が提唱し実践しているのは「N=1」の、個人の感性と行動の発意に徹底的に向き合い、共感から新たなものごとを造っていく、”自分自身やちかしい誰か”から始める新規事業をメソッドの根幹に据えています

「自分が欲しいものを創ろう」という発意がそこにあるかどうか。その違いがイノベーションを生み出せる企業とそうでない企業を分かつような気がします

タイトルもあるように、だいじなのは出発点となる、自分たちが”やりたい”、”これがいい”という想いにある。スープストックの100本のスプーンもジラフのネクタイも海苔弁専門店も、「世の中の体温を上げる」という理念に共感し集まった社員の、発意から生まれています

発意の心構えをもった上で肝心なのは、「課題の設定」にあるといいます。

どんな企画であれ事業であれ、とにかく課題の設定がキモ。それは問題の解決策を導くコンセプトとなるもので、課題の設定が斬新であれば、解決策もユニークなものになるからです

問題を発見し 課題を特定し 解決策を導き出す

問題は「何らかのネガティブな状況で解決すべき事柄」。課題は、「問題の解決アプローチで解決のために成すべき方針」と定義し「問題と課題は別物」と分けていることがポイントです

例えばエレベーターの待ち時間が長い、という問題も、「待ち時間が長いと感じることを解消する」という課題設定にすれば、心理的なコストを軽減するためにエレベーターホールに鏡をつけて時間をつぶしてもらう、とう解決策につながります

ユニークな課題設定はユニークな解決策を生み出す

人の行動や心理という”非科学的で非合理的”な事柄に向き合うことで、いまある「なんでこうなっちゃうの?」を捉え直し、「ほんとうはこれを解決したかった?」を導き出す。多くの人が”課題をどう解決するか”というソリューションのユニークさに注目するなかで、課題設定に重心をおく考え方に強く共感させられました

問題・課題・解決策の3ステップをさらに外的要因と内的要因で肉付けし、多くの人に説明しやすい全体像を示すための思考法も「ナインセル」と名付けて紹介してくれています。これはすぐに活用できそう。。。

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コトバによってやるべきことを縛っていくよりも、イメージによって妄想を拡張していく方がプロジェクトの初期には有効なんですよね
ユニークなアイデアを因数分解してみると一つひとつは普通で、誰もが経験のある事象だったりします。(略)だから普通✕普通=ユニークネス
細部に分け入って価値を作るには、お客様の微細な心理の動きを感知しなければならず、それを実行するためにはまず自らの心の動きを観察し、精緻に捉える必要があるんですね

文脈から価値を生み出す、抽象から具象ではなく具象から抽象、外的要因より内的発意、自分を知ることで他者を理解する、などなど。紹介しだすとキリのない、”アタマで理解して実践できるクリエイティブ”が中盤に多数紹介されています

多くの企業が本業の新たな方向性の設定に苦労しているように思います。いまの時代に合っている自分たちの存在意義、価値観のあり方とは。その1つの考え方を「5章 関係性のブランディングの作法」で解き明かしています

関係性のブランディングとは、「ブランドとステークホルダーとの関係性に注目し、ありたい信頼関係を構築するためのアプローチ」のことです。(略)顧客との結びつきのあり方を考え、それを作っていくことが大事になります

「ブランドは人である」というスマイルズのスタンスを前提に、ブランドと人との関係を4象限で分け、どのような関係性でありたいかの方針ギメをしやすくしています

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ここで共感的関係の事例として村田製作所の「ムラタセイサク君」が紹介されています。自転車に乗って細い坂を登るロボットのムラタセイサク君は、たまに失敗して落ちます汗 それを周りで応援したり、人がなんとか受けとめて歓声が上がる。。そんなどこか愛される愛嬌とか、抜けているところがあるところに、人々が価値を感じていると

どの関係を目指すかどうかは、経営者や現場の理想もありますが、活かすべき特徴から方向性を見出すことを提唱しています

事業者としての自分ではなく、生活者としての自分だったら、その特徴は勝ちとなりえるのか、どのようにコミュニケーションをとれば価値に変換されうるのかを意識しなければなりません

最終章には本と出会うための本屋「文喫」が生まれるまでのリアルな物語が描かれていますが、それはぜひ本書で読んでください!p200にある「クリエイティブのたしなみ」も、おっ!いい!と思いましたが、本書でぜひ