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耐震等級3でも制震ダンパーってつけたほうがいいの?について考えてみる

先日、営業中のお客様にこのようなことを言われました。
耐震等級3だけでは不安です。御社では制震ダンパーは標準仕様に含まれていますか?」

最近では耐震等級3は住宅業界のスタンダードになりつつありますし、その必要性は家を買う人の間でもよく知られてきていますよね。

では「耐震等級3あれば本当に十分なのか?」と聞かれるとなんとなく自信をもって、絶対に大丈夫!とは言いにくい気がします。

ということで今日は「耐震等級3の性能があっても制震ダンパーが必要なのか?」という点について考えてみます。

先に結論が知りたい人のために、僕なりの考えを伝えておくと「もちろんあった方が良いが、必須ではないと思う」です。

以下に、その理由を書いていきます。

まず制震ダンパーの必要性を考えるには、耐震等級3は地震に対してどのくらいの効果を発揮するのかを知りたいですよね。

それを知るためには、見たことがある人も多いかもしれませんが熊本地震の
データを見ると参考になります。

一般社団法人くまもと型住宅生産者連合会
「耐震等級3のススメ」より作成


このデータは、旧耐震基準(古い耐震基準)や新耐震基準(新しい耐震基準)の建物が熊本地震が起きたときにどの程度の被害を受けたのかを集計したものです。

熊本地震では、震度7の地震が立て続けに2回起きたり、その他に震度6以上の地震が5回、余震は地震発生から3ヶ月の間でなんと1888回も起きたりして度重なる余震が注目されました。

震度6弱以上の地震が7回も発生した地震は観測史上初とされています。
こんな大きい地震が何回も起こるなんて、とても恐ろしいですよね。

被害も凄まじいもので、上記のデータのように2000年6月以降に制定された新しい耐震基準の建物でも4割近くが大きく損傷してしまっていることが話題になりました。

一方で、新しい耐震基準の中でも耐震等級3の性能をもつ建物は87.5%以上が無被害、一部損壊・半壊が12.5%となっていて、熊本地震のような大規模な揺れが何度もやってくる地震にも耐震等級3は効果を発揮するということがわかりますよね。

ということで、建物の倒壊から自分や家族の命を守ったり、建物の大きな損傷を防いでそのまま住み続ける、ということを目的とするならば耐震等級3で十分に効果を発揮すると思いますし、

大きな揺れが何度もやってくる熊本地震のような震災が来る可能性は、かなり低い(熊本地震のような地震は観測史上初)ので個人的には制震ダンパーは必須ではない、という意見になると思っています。

ただ、それでもつけられるならばあった方がいい!と僕が思うのは、建物の寿命はとっても長いからです。

確かに熊本地震では耐震等級3の建物の多くが無被害でした。

とはいえ、本当に建物は地震が起きる前と全く同じ状況なのでしょうか?

そのことについて、こちらのYoutubeで構造のスペシャリストである佐藤 実さんが話しています。

こちらの動画では、佐藤さんも当初は耐震性能をひたすらに高めれば制振装置は不要と考えていたがある実験を見たときに、制振装置は必要だと考えるようになったと話されています。

その実験では柱梁に構造用面材をはりつけた耐震等級3の建物に対して、複数回の地震を与えてみる内容なのですが、

耐震等級3の建物でも何度も大きな地震を与えてみると、建物の見た目は変わらないものの構造用面材を剥がしてみると面材を止めている柱側の釘穴が横に広がってしまっていたということでした。

そうなってしまうと、面材がしっかりと止まっていないので徐々に耐震性能は低下してしまうことが想像できますよね。

一方で、制振装置をつけてもう一度同じ実験をしてみたところ、
釘穴は横に広がらずに丸いままだったらしいんです。

つまり、制震ダンパー(制振装置)は耐震等級3を地震から守ってくれるんですね。

そういう意味で、長く一つの住宅に住み続けていくなかで、もし大規模地震に複数回遭遇するという恐ろしい出来事があった場合に、耐震等級3だけではなく制振装置(制震ダンパー)もついていると安心だよね、という話でした!

わかりやすい!参考になった!という方はぜひスキをお願いします!

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