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「愛する」読者様へ❤︎脱北者より。#44

いきなりですが、小さいお子さんがいる方は雨の日どこで散歩をしますか?

我が家は近隣のお店にお世話になっています。ニトリ、西松屋、イオンなどなど子供が走り回れるぐらいの少し広めの場所にお邪魔します。

先日、いつもの流れでニトリに行きました。
子どもたちはソファに座ったり、ベッドに転がってみたり、自分が知らない小物を見つけては不思議そうな表情で触ってみたりと、いつもと同じように楽しみながらいろいろなコーナーを回りました。

そして、ランドセルコーナーでふと思ったのです。

いよいよ新学期の時期だと。

ニトリのランドセルは2万〜3万円後半くらいで、他社製品に比べるとリーズナブルな印象です。本革ではありませんが、価格の割にしっかりと作られていて、デザインも豊富で可愛い。
水色とピンクが好きな娘は、好みに合いそうなランドセルを見つけては背負うことを繰り返し、楽しんでいました。

日本のランドセルは本当に素晴らしいですね。耐久性や豊富なデザイン、軽さなど通学用カバンとしては世界最高峰のクオリティではないでしょうか。

以前、甥っ子が小学校へ入学する際、ランドセルについて調べたことがありました。その時に初めてランドセルの値段を知り、ビックリしたのをよく覚えています。

小さい子どもにこんな高価なバッグを持たせるなんて、”この国で親になるのは大変なことだ”と改めて気付かされる機会になりました😯

意外に思われるかもしれませんが、北朝鮮にもランドセルはあるのです。

前面のロゴは少年団のパッチで「いつも準備!」と書かれています。金一家にいつ呼ばれても問題ないように準備されている子どもに育ちますとの決意の意味です😥
私も使っていたので懐かしく思いました。
いつもベルトのところが切れてしまい使えなくなることが多くありました。

こちらはラクマ(hao00ex12さん)で売れ切れた品物ですが、写真をお借りしました。

懐かしいです。

こういうものが日本で販売されているとは驚きですね。私が北朝鮮で暮らしていた当時、赤・青・茶色と3種類のカラーバリエーションがあったように思います。

そして、このランドセルはなんと無料なのです🤩

…が、質が悪いです。
半年もしないうちに使えなくなることが多く、結局は市場で中国製のカバンを購入して使うようになるのが一般的でした😛

こういったものを、とある年代の”運の良い”子どもたちだけが(制服と靴も同様)もらうことができます。
ここで”運が良い”というのは、新学年に上がる子どもたち全員ではなく、数年に一度(年度はランダムで、おそらく国の経済状況によると思います)に全ての小中高の子どもたちに配布されるのです。 
ランドセルは小学生にだけ配布された記憶があります。

10年近く配布されず、卒業するまで一度も受け取ることのない子どもも多くいます。

制服や靴に関しては、数年に一度、子ども達の採寸をします。しかし、採寸から配布まで長い時間がかかることも多く、受け取る頃にはサイズアウトというケースも多々でした(意味なし‼︎)

さて、北朝鮮の新学期といえば、親が避けては通れない風物詩があります。

それは、以前の記事でもお伝えしたことがありますが、学校で使う教科書を手に入れることです。

新学期が始まってしばらくすると、古紙と先輩が使った古い教科書の交換が始まりますが、その時期は決まっていません。

そのため、必然的に教科書なしで授業を受ける期間が発生します。
教科書がなければ隣の子があれば見せてもらいますが、それも難しければ教科書を丸写しするしかありません。

丸写しと一言で書くと何でもないように思えますが、手書きでするしかないので大変な苦行です。

まれに新しい教科書が配られることもありますが、その時期も新学期に一斉配布とは限らないので、学年が終わる直前に配られることもしばしば。

また、今となっては信じられないことですが、新しい教科書が配られないのに教科書の内容が変更されることも珍しくありません。

少し分かりづらいので、実際の例を挙げてみます。金日成の歴史を習うときに登場する人物が何らかの理由で後ほどスパイとか反党反革命者とかで処刑になったりするケースがありました。

そういう時はその人が登場する書籍を全て印刷し直す経済力がないため、個々人が持っている書籍に紙を貼ったりするのです。もちろん教科書も同じです(⌒-⌒; )

つまり、先生にだけ新しい教科書が配られるというパターンです。
授業が始まると「◯ページの◯行から◯行目まで変わったので、これから読み上げる文章を書き留めて貼り直してください」と言われます。
よくあることなので、みんな黙って書き始めます。書くことが遅い子は隣の子のノートを見ながら必死に書きます。

例年、新学期が始まるタイミングでは、入手可能な教科書の数がとても少ないため争奪戦が始まります。

経済的に余裕がある家庭では、市場で高値で取引される古い教科書を手に入れることもありますが、絶対数が少ないので”お金があっても買えない”という状況が起こりがちです。

印刷所の職員が転売目的で教科書を盗んだことが発覚され、公開処刑になるという事件もありました。危険を承知で入手を試みるぐらい、教科書は需要が高く利益も見込めるものであったことを物語っているように感じます。

新学期が始まる頃、教科書がすべて揃っている子はほとんどいません。
教科書を何冊持っているかが、各家庭の豊かさを表す。北朝鮮ならでは判断基準、独自の文化といえるような気がします。

他にあまり知られていないであろう北朝鮮の”特異な文化”といえば、
「愛する」という言葉を使う場面が極端に限定されていることでしょうか。

北朝鮮では「愛する」は金一家にだけ使うことが許されています。
恋人同士でも「好き」とは言いますが、「愛してる」はほぼ言いません。

そういったことを考えると悲しく、悔しい気持ちになります。
今まで一度も会ったことがない金一家には、数えられないほど愛の言葉を贈りました。一方で育てくれた両親にはそういった言葉を伝えられないまま、二人の故郷である日本で私だけが暮らしています。

そして、私もまた親になりました。

日本でも家族に対しては、「愛する」という言葉をあまり使わないような気がします。
私の気のせいでしょうか。

「アイ ラブ ユー」は簡単に言えるし、韓流ファンの方は「サランヘヨ」に馴染みがあるかもしれませんが、日本語で「愛してる」はあまり言わないのではないでしょうか。

日本では何の制約もなくタダで言えるので、一度一番近くにいる人に言ってみるのもよろしいかと。

フォロワーさんを含め、いつも読んでくださる方々へ心から

❤️❤️❤️「愛してます」❤️❤️❤️

少し照れますね🤭

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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