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オフィスは女性活躍対策として改造できる余地が多くある。

皆さんにお勧めしたい一冊の本について書きます。人生で大きな後悔はありませんが、もし早くこの本のような仕組みを知っていたら、もっと楽しく働けたのではないかと強く感じました。この本は女性に焦点を当てていますが、私たちはもっと快適で楽しい働き方を追求すべきだと思います。
もっと手軽にロールモデルを見つけられたら、仕事とプライベートのバランスに関する悩みも、自分だけで解決するよりも、会社が支援してくれた方が解決が早いです。何とかなるとはいえ、ただ何とかするのではなく、楽しく働ける社会が実現されれば素晴らしいと思います。

前置きが長くなりましたが、お勧めする一冊は、ゴールドマンサックスの元副会長、キャシー松井さんが書いた「ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます-励まし方、評価方法、伝え方 10ケ条」です。


グローバル企業であり、合理性を求め続ける投資会社でさえ、このような取り組みをしていることから、私たちもその意識を持ち、考え方を見直す必要があると思いました。
また、女性の脳の特性を理解し、男性が優位とされるビジネス環境でどのように生き残り、発展していくかを自覚し、考えていくべきだと感じました。

この本を読んで、もっとオフィスでの働き方を考え直すべきではないかと思います。サラリーマンという働き方が現代的である一方で、オフィスビルなどの環境改革が必要かもしれません。子育てや介護と密接な場所であることも重要です。

子育てとオフィスが密接している例として、パタゴニアがあります。アメリカ本社のすぐ隣には1983年から託児所があり、これは乳幼児のいる親にとって効果的に働いているそうです。職場復帰を目指す母親の気持ちを想像してみましょう。自身のキャリアのために一日も早く復帰したいけど、幼児は突然高熱になったり体調不良を起こすから、誰か目を離さず見てくれる人が必要!という状況になり、仕事に復帰する前に信頼できる託児所探しをしなければなりません。この託児所も空きがないと空きが出るまで待たなければならず気が遠くなります。この状況が仕事への復帰のしにくさ、ひいては退職につながります。
しかし、パタゴニアでは会社が託児所を設置し保育予算を取って子供を持つ親に優しい環境を作ることで、通常産後の母親の20~35%は復職しないところを、95%にしています。しかも、保育予算は従業員の定着率、生産性によって回収しており、その他にも士気の向上、医者精神の向上、上層部の指導的立場にある女性の増加などの二次効果も見られたそうです。

パタゴニアのようなオフィスもしくは近隣に託児所を抱える会社はいまだアメリカにおいても珍しい存在で、全体の6%にも及びません。しかし、まだ大きく普及していない取り組みだからこそ、企業のPRポイントとして成り立ちます。

なぜ女性が働く環境を整えなければいけないのか、それは下駄をはかせているだけではないのか、という意見も存在します。しかし、女性活躍が進む企業ほど純利益が増えるという分析結果が既に得られています。取締役の女性比率が高い企業ほど株価で優位に立ち、それだけでなく、企業の管理を行うガバナンスの視点から見ても不正や違反が少ない傾向にあることが判明しています。もうこのような話は世界の共通認識になっています。

子育てに関連したものでなくても、働く人に取って魅力的な環境は作ることができます。最近のオフィスにはマッサージ等は導入されていますが、例えば多くの女性が定期的に通っている美容サロン(ネイル、ヘア、まつげ等)がオフィスに隣接していたらどうでしょうか。平日は夜遅いし疲れてわざわざ美容サロンへ行く気が起きない… 。休日にヘア・ネイル・まつげ全部済ませようとしても全て違う場所にあるため何軒もサロンをあわただしくはしごする…。もし美容サロンがオフィスに隣接していたらこの2つの問題が一気に解決されて時短かつ便利になりますね。
 
制度を整えることは手っ取り早く行える施策ですが、視覚的な変化ではないため即効性のある効果にはなりにくいです。一方で、建築や環境から変えていくと、新たに取り入れたい文化が根付きやすく、かつ問題の解決スピードがはやいです。思い切って物理的な環境変化をもたらしてみることが女性活躍の手助けになると思います。
 
健康な体を持つ働き手が集まる場所で生まれるビジネスは、マイノリティーへの改善が無意識に欠けがちです。例えば、赤ちゃんからお年寄りまでが使う商品やサービスに関するビジネスは、そういう環境で考えることで、より多くのアイディアが生まれるかもしれません。その視点を加えるだけで、面白い商品が生まれる可能性があります。私たちはその可能性を捨ててはいけないと思います。
また、私たちが作るチームワークの構成も非常に重要です。Googleのマーケティングチームも多様なバックグラウンドを持つグループを作ることを推奨しています。Googleの対外資料には、従業員の人種比率や男女比が載せられています。2021年と2022年の1年の間に女性の社員は全体の33%から37%へとアップし、人種の面でも白人が4%減少した一方でアジア系、ラテン系、黒人の割合が増えました。
このような公平性を最優先した採用活動を行うため、採用に関わる人が個人的な偏見を識別して排除した考え方持てるよう、トレーニングが行われています。
根幹にあるのは、均質なバックグラウンドで構成されたチームは均質な結果を生む一方で、異なる視点・経験・スキルで構築されたチームは革新的な結果を生むことが可能になるという考えです。
つまり、ダイバーシティなチームを組めば組むほど、新しいアイディアが生まれる可能性が高まります。専門技術を活かしつつ、新しい視点をどう持つかが重要だと思います。

参考資料
Google Inclusive Marketing
Building Inclusive Teams - Google All In (all-in.withgoogle.com)
Google Belonging
https://about.google/belonging/diversity-annual-report/2022/hiring/
Outside
On-Site Childcare Is a Win for Everyone. Just Ask Patagonia. (outsideonline.com)
Forbes
https://www.forbes.com/sites/blakemorgan/2023/05/08/companies-need-working-moms-and-moms-need-more-support-than-ever/?sh=23a0f2f928d6
McKinsey & Company
https://www.mckinsey.com/featured-insights/sustainable-inclusive-growth/future-of-america/the-childcare-conundrum-how-can-companies-ease-working-parents-return-to-the-office

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