１、最初に

　推理が好きな人はいますか？

　シャーロックホームズでも、コナン君でも、金田一少年でも、鞍馬六郎でも、迷探偵デュダでも・・・

　何でも良いのですが、好きな人はいますか？

　今回は実際に鑑識を教育する場で出題されることのある質問を２問掲載します。

　貴方は解けますか？

２、熟練泥棒はどっち？

　次の二つの絵を見て慣れている泥棒はどっちだと思いますか？

　その理由も考えて下さい。

　なお、この絵は泥棒が荒らした後の状態とします。

　イラストはフリー素材を拾ってきているだけなので、画調や大きさが違うのはご了承下さい。

　その部分に関しては推理に関係ありません。

＜正解＞

　いかがですか？

　正解は上の絵が慣れている泥棒です。

　実際に自分で引き出しを開けてみればわかりますが、上の絵は下から上へ順番に開けています。

　そのため、全ての引き出しが出た状態のままになっています。

　この物色方法だと、出した引き出しを毎回戻さないで、全ての引き出し内を物色できます。

　引き出したらそのままで、戻す必要がないため、最終的には全ての引き出しが出た状態になっているんですね。

　下の絵の物色は上から下へ順番に物色しています。

　そのため下の引き出しを物色するためには、今引き出した引き出しが邪魔になるため、戻さないといけません。

　だから、最終的には一番下の引き出しだけが出た状態になっているんですね。

　これではとても手間と時間がかかります。

　一刻も早く逃げたい泥棒としてはこの差は大きいようです。

　これは案外多くの人が普通に答えます。

　実はこの問題は鑑識を育てる場では出ません。

　交番の人に口頭で教える程度の準備運動です。

　次が本番ですよ！

３、事故？殺人？

　今から例に出す２つの事案。

　それらは殺人事件でしょうか？事故でしょうか？

　自然な考えで答えて下さい。

　一つだけ殺人？一つだけ事故？

　それとも両方殺人？両方事故？

　様々な可能性を考えて下さい！

　そして、そのように思う理由も考えて下さい。

＜事案１＞

　とある人気のない崖下に車が転落しているのが発見されました。

　崖の途中に、木に引っ掛かり白骨死体が１体発見されました。

　長年発見されていなかったらしく、既に完全白骨となっています。

　既に白骨化しているためか、頭蓋骨は体から離れていましたが、白骨体の下の方で上アゴと、下アゴとキチンと重なった状態で発見されました。

　特に見つからなかった骨はありませんでした。

＜事案２＞

　とある人気のない崖下に車が転落しているのが発見されました。

　崖の途中に、木に引っ掛かり白骨死体が１体発見されました。

　長年発見されていなかったらしく、既に完全白骨となっています。

　この白骨体の近くに頭蓋骨はなく、体から離れ崖下の車の近くに上アゴと下アゴもバラバラになった状態で発見されました。

　特に見つからなかった骨はありませんでした。

　【正解】

　どうですか？

　似た事案ですので、お互いの違い等を見比べて考えるのも一つの方法かもしれませんね！

　実際の現場ではそんなことは出来ませんけどね。

　それはともかく、早速正解を言います。

＜事案１＞

　殺人事件。

　理由は頭蓋骨の上アゴと下アゴが重なった状態で発見されているから。

　上アゴと下アゴの骨は骨同士は繋がっていません。

　そのため、繋げている腱や肉がない完全白骨状態では重なっている方が不自然です。

　体から欠落しているわけですから、白骨化してから欠落すれば上下バラバラになっているハズです。

　それが重なっていると言うことは、何者かが首を切断してそこに置いた可能性が高いわけです。

　そのため、事故と解釈するのは不自然であり、殺人である疑いが高いと解釈できます。

＜事案２＞

　事故の可能性が高いです。

　理由は特に不自然な部分がないからです。

　先ほども言ったように、上アゴと下アゴはバラバラになっている方が自然です。

　事案２はバラバラに発見されています。

　白骨化する前にこの形を作ろうとすると、腱や肉から上下アゴを切り離さなければなりません。

　そのため、これだけで絶対に事故と言い切ることは出来ませんが、事故死と解釈する方がより自然です。

　そのため事故の可能性が高く、殺人と解釈するより自然と言えます。

　問題は「自然に考えて」としていますからね！

　実際の現場ではもちろん、その状況だけで判断しませんからね！

　あくまでも、問題としての話ですので、そこは割り切って下さい。

４、最後に

　いかがでしたか？

　推理好きな人は少しは楽しんでもらえましたか？

　トリックを解くのではなく、観察力と知識による問題ですので、少し趣向が違ったかもしれませんね。

　少しでも楽しんでもらえたなら幸いです！

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