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健康だけが取り柄だったボクが、‘’あ、これガチであかんやつ‘’におちいった、てんやわんやの話

日曜日、
午前5時

ボクはじっと便座に座り込み、
念入りに用を足した。

‘’おおぅ、今日は昨日までとは大便の感触が違う。出走できる………のか…‘’

この壮絶だった一週間を振り返りながら、
ボクは忘れかけていたノスタルジックな大便の感触に思いをせ、
入念に時間をかけながら、ウォシュレットの水圧をアナルで受け止めていた。

うぉぉぉぉおん♡
シンプルに気持ち良かった。

排泄行為をしながら快楽を得ようとしている
‘’欲張りアナルオジさん‘’
もはや人間としての末期な症状。

振り返ると初体験はほんの一ヶ月前のことだった。大腸内視鏡検査からのウォシュレット、初体験。アナルおじさんになるまでの最終到達地点まで、

ボクは最速できてしまった。

しばらくして
水圧による快楽に一息ついたボクは、

ウォシュレットにより濡れてしまったアナルを入念にきとると、

まずは、
パンツをそそくさと上げ、
次に、
太ももを窮屈きゅうくつめつけるスパッツを上げ、
最後に、
ランニングトランクスを履いて

イキり倒した顔した戦闘モードで
トイレを出た。

そう、今日は地元開催のマラソン大会。
42.195kmを走るフルマラソンへの参加は、

約3年ぶりである。

壮絶だったマラソン一週間前

さかのぼることマラソン大会6日前。
月曜日。

ボクは出張で、九州の‘’とある地‘’にいた。

到着した訪問先の最寄り駅は、
殺風景の片田舎で、駅前には食事をする場所が見あたらない。もちろんコンビニなんて優雅でハイカラなモノはない。

正直、仕事中のリーマン野郎の昼食なんて
‘’なんだって良い‘’
そんな日が大半である。
いちいち考えるのも面倒くさい。
空腹を乗り越えられたらそれでいい。

そんなもんだ。

その日のボクもまさにそのモードであったが、しかしそれだけハードルを下げてもないものはない。ないのだ。

食べる場所がない……

と、思ったとき…

駅から遠い先、
200mくらい先を目をらして見てみると

‘’ランチやってます‘’

店先に置かれた2本のノボリの
デカデカとした文字が目に入った。

あぁ、あそこになんかある。

ん?
あれは喫茶店…か?
スナック…か?

とても小ぢんまりとしている。
ボクは一瞬の迷いがありながらも、
空腹の虫は、ノボリの誘導をされるがままに。

料理のディテール細かいことは気にしない。
飢餓に身を任せ、脳の迷いをパパッと振り切って、足早あしばやで喫茶店へと向かった。


喫茶店に入ると
50代と思われる女性が1人、テレビをつけてお昼の情報番組を椅子に座って退屈そうに見ていた。おそらく一人で切り盛りしているオーナーであろう。

店内にはボク以外の客はおらず、
ランチを注文すると、作り置きしていたものをササッと加熱して、もののわずか5分で出してきた。急いでいたから、とてもありがたかった。

注文した日替わりランチは、
チキン南蛮、サラダ、ライス、コンソメスープ、コーヒー

味は可もなく不可もなく。
しかし空腹はしっかりと満たされたので、それで満足だった。遠路えんろはるばるではあるが、仕事で来たので名産物やらなんやらの思い入れもなければ、希望もない。

代金600円を現金で支払い、トイレを借りて、そそくさと店を出た。いつもと変わり映えのない、いつも通りの昼食のひとときだった。


その日の仕事を終え、
宿泊先に戻り、軽く夕食をすませ、
温泉を入り終えてから座椅子ざいすに座り
熱くて苦い抹茶まっちゃをチビチビ飲んだ。ボクは、いついかなるときも和室派である。

そしてスマホでダラダラと株価のチェックをしながら過ごす。ここまでは、いつもの出張先でのルーティン。

しかし、、、

ん?
あれ?

微妙にダルい。寒い。腰が痛いぞ。

コロナ再流行の情報が
チラチラと頭をかすめてきて気が重くなる。

会社から常時携帯を命じられている体温計で、間隔をあけて何度か測った。

36.2、36.5、36.3

むむむ?熱はない。
となると、まったく原因が分からない。
どうしたものだろう。早朝からの出張で疲れていたのだろうか。

よし、今日はとにかく早く寝よう。
これでもかというほどに身体を休めることを優先し、布団をひいて19時半には就寝した。


翌朝。火曜日。

目覚めると、やっぱりなんだか
ダルい。寒い。腰が痛い。
症状としては昨日よりもヒドい。
しかしやっぱり熱はなくて、食欲はモリモリとある。

なんなんだこれ?内臓系か?
「平熱 寒気 腰痛 気にしすぎ 癌じゃない」
でググると、‘’季節の変わり目に注意‘’とあった。心配する必要もないという都合のいい情報だけを思いっきり詰め込んでみたものの

家族がコロナに感染してもボクだけはナニもなかったほどに元気だけが取り柄だった自分にとって、

何年かぶりに訪れた体調不良に
一抹いちまつの不安を覚える。

しかし出張先の地元病院に立ち寄る時間的余裕はなく、商談中も昼食中も違和感は消えることはなかったが、

その日は普通に仕事をやり遂げ、
そして帰路についた。

自宅に到着したのが20時頃。
とにかく身体が寒い。コートを着ていても鳥肌がたつ。

すぐに風呂に入って、そしてゆっくりと湯船にかってから出た……
まさにそのタイミングだった。

鳴りをひそめていた “やつ” が、突如として、雄叫おたけびをあげた。

みなさんは、自分の胃腸付近を、
「ボブ・サップだ」
と思ったことはあるだろうか。ないだろう。というか、若い子はボブ・サップって誰?と思っているだろう。

一世を風靡ふうびしたK1戦士、
ムッキムキのデッカデカの外国人である。

で、そいつが胃の中に突如として現れ、
ハッハッハッハッハー
と大笑いながら大暴れをし始めたのだ。
‘’ダルマさんが転んだ‘’ばりに、サップに見つからないように、気に触られないように、そ〜っと痛くない体勢にしてみても、ムキムキは何も言わずにゆっくりと立ち上がって悠然ゆうぜんと接近し、「フン」と言って筋肉任せに全力で胃腸の壁をブン殴ってくるのだ。

何を言ってるのかわからねーと思うだろうが、ボクも何があったのかわからなかった。

「腹が痛い」では済まされない。
そういう生易なまやさしい単語では言い表すことの出来ない危機的な痛さがやってきたのだ。

あわせて常軌を逸した便意が押し寄せてくる。

‘’あ、これガチであかんヤツ‘’

ボクは久々に思った。
懐かしすぎるあの感情だった。

サップは‘’普通のあかんヤツ‘’との境界線を不敵な笑みをしながら悠然ゆうぜんと超えてきたのだ。

真っ裸で急いでトイレに入り、
便座に座った。

…その瞬間。

蛇口か?
ダムの防波堤が決壊したのか?

まさにアナルから出てくるもの。
それは大災害時にテレビでよくみる‘’激流げきりゅう‘’の‘’濁流だくりゅう‘’であった。

ヴォぉぉぉんおおぉぉぉぅ…

ボクはかすれ声であえいだ。
ボクのかすれ喘ぎ声を聞いて、妻はどう思っただろうか。「風呂から出たばかりの変態がオーガズムに達したのか?」
と思ったに違いない。

大腸内視鏡検査の下剤のときよりも1ランク上の激流。正露丸の効く通常の食あたりじゃない。単なる下痢じゃない。

それだけはボクのような素人でも一瞬で判別ができた。

その夜は、胃腸が痛すぎて
布団の上でエビの格好で
のたうち回りながら
ロクに眠ることすらできなかった。

むかえた翌日、水曜日。
仕事に行くか、行かないかの迷いはもはやない。そんな選択肢が残ったレベルじゃない。
ぐったりとして、変な汗もジワリ、ジワリと出てきている。

胃腸が破裂して死ぬんじゃね。
本気でそう思った。

しかしなんやかんや死なずに顔を洗って、なんやかんや死なずに歯を磨く。

そしてなんやかんや死なずに服を着替えて、なんやかんや死なずに家を出る。結局、一度も死ぬこともなかったが、瀕死ひんしの状態で、命からがらタクシーで病院に行った。

イロイロと問診されて、点滴で栄養注入。
超音波診断に血液検査。
そして便のPCR検査。

総合的に判断して、
夕方には確定診断が出るとのことだった。


少しだけ症状が落ち着いてきた夕方。
指定された時間に
診断結果を聞きに行った。

もう、わかってた…

ノロウイルスだった。

原因は、‘’現段階では推測の域を出ない‘’
とのことであったが、
土日を一緒に過ごした家族に感染者がいない、
初期症状の現れ始めた時間帯、
そして潜伏期間等を考えると、
出張初日の午前中から14時頃までに、もらったことが確実な様相であり、

公共交通機関、
そして昼食場所

断定はできないが、
その可能性が非常に高いんじゃないか、
ってことだった。

………
あ、3700文字通過。
これ、すでにクソ長いよね。
ボブ・サップのくだりがなげえよ、ばか。
それいらねえよ、ばか。

とか、なんとか言いながら来週の宿題を早々にやった感じでなんだか得した気分になるから、ここで一旦切って

‘’後編へ続く‘’としよう笑

サッカーの話をしたいなぁ。
ボジョレーヌーボー解禁で部下と飲みに行った話をしたいなぁ。
旅行先の絵描えかきさんの話をしたいなぁ。
今日のUSJの話をしたくなるだろうなぁ。

とりあえずチマチマ年末にかけて、小出しにしていこう。
お世辞かどうかは分からないけど、いつも楽しみにしてくれているという読者さんにはありがたくまた申し訳ないのですが…

少しサボります笑

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