見出し画像

「本のよもやま」つぶやき選《1》小説3冊

「本のよもやま」と題して、本にまつわる四方山話を不定期でつぶやいています。ここでは、つぶやきから小説3冊をご紹介します。

2023/3/9  川上弘美著「神様2011」


短編小説「神様」と「神様2011」とを収載。「神様」は著者のデビュー作。「神様2011」は「神様」をベースに3.11原発事故の後に新たに書かれた作品。

※補足※
川上弘美さんの小説家デビューは1994年です。
子育てをしながら小説を書いていたそうです。
この本の感想文はこちら↓↓↓



2023/3/12  南原詠著「特許やぶりの女王 弁理弁理士・大鳳未来」


どちらが凄腕の弁理士でしょう?
①大鳥小夜 ②大鳳未来

2022年・第20回”このミステリーがすごい! 大賞”大賞受賞作 「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」

主人公の名前は、応募時は①、出版時は②です。

※補足※
便利屋ではありません。弁理士です!弁理士というのは、特許や商標などの知的財産権の専門家で、国家資格です。私は以前、10年ほど弁理士のもとで働いていましたが、実際の弁理士でこの小説の主人公のように派手な方にお会いしたことはありません。比較的地味で知名度の低いお仕事という印象です。でも、弁理士は産業の発展において重要な役割を果たしていると私は思います。資源の乏しい日本では、アイデアやブランドを特許権や商標権などで保護することがビジネス上とても重要だからです。

出版時に変更になったのは、主人公の名前だけでなく、タイトルもです。
元は、「バーチャリティ・フォール」というタイトルでした。出版時の「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」とは、随分印象が違います。私は横文字は苦手なので、出版時のタイトルの方が目を引きます。逆に、「特許」という単語に、難しそうと敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。

特許制度については、作中で易しく説明されているので、門外漢の読者も楽しめるかと思います。ただ、香山二三郎氏の選評「個性的な作品は揃ったが、本命は不在か」では、”専門的過ぎてよく分からなかった「から」ダメではなく、「けど」面白いというご意見の方が懐深いよなあ。”と評されています。出版にあたり、特許制度をより易しく説明することに、著者のご苦労があったかもしれません。



2023/3/21,22  夏目漱石著「こころ」


夏目漱石「こころ」(新潮文庫)の注解によると、”玉突きだのアイスクリームだの”は、幕末維新の頃に西洋人が持ち込み、徐々に普及した「ハイカラなもの」だそうだす。ものがたりを読む前に、まずは注解を読むのも面白いです。

”人間の心を研究する者はこの小説を読め”
「こころ」は、東京と大阪の朝日新聞に連載らせました。漱石は、広告として自筆でこう書きました。文豪も初出時は、広告を書いたのですね。
―夏目漱石「こころ」新潮文庫の解説(『こころ』について 三好行雄)を読んで

※補足※
「こころ」は、1914年(大正3年)、夏目漱石が47歳のときに、朝日新聞で「心 先生の遺書」として連載されました。夏目漱石の代表作のひとつで、既読の方も多いかと思いますが、”人間の心を研究する者はこの小説を読め”という著者のことばを気にとめながら読み返してみてはいかがでしょうか?ちなみに、1914年は、第一次世界大戦がはじまった年です。


最後までお読みくださり、ありがとうございました。これからも、ジャンルを限定せず、本について色々な切り口でご紹介していきたいと思っています。

それでは、また。




サポートいただいたら・・・栗きんとんを食べたいです!