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それまでの物語を一新した『プロジェクトX』だった!?雅なイメージが変わった源氏物語の話

『源氏物語』の作者は?と聞かれたら、紫式部!って答えますよね。でもそうやって作者がわかっていること自体がすごいことだとは知りませんでした!

こんにちは、鉄の女、サッチーです。18回目、配信開始からちょうど半年を迎えた音声コンテンツ『和樂webの日本文化はロックだぜ!ベイベ』。今回のテーマは『誰も教えてくれなかった源氏物語本当の面白さ』です。

源氏物語を文学として読むだけではなく、その背景を知るともっと面白い!ということで12年前に『源氏物語』の世界にどっぷり浸かっていたというセバスチャンが語ります。noteでは、私が驚いたことを3つご紹介します。

実は世界最古の長編小説!

日本文学者のドナルド・キーン先生も書いていらっしゃるのですが、『源氏物語』は世界最初の長編小説と言われています。諸説ありますが、ヨーロッパの近代小説に比べると明らかに数百年早いそう!

改めて考えると、1000年も前の長編小説が今に伝わっていて、かつ、与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴など色んな作家が現代語訳に挑戦しているという状況もすごいなぁ。ちなみに、ノーベル賞作家川端康成は戦時中、爆撃に苦しめられる中、『源氏物語』に慰めと安らぎを得たそうです......!皆さんはどんなイメージをもっているんだろう。

コンテンツで出てくる江戸時代の大ベストセラー!『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』。下敷きは『源氏物語』で、右ページの貝に段の名前と源氏香が描かれていてかわいい...! 大奥の女性たちも夢中になったこの作品、いつか読んでみたいです。

大衆向けエンターテイメントだった物語が日本の文学というジャンルに

当時の上流階級の中で格が高いとたしなまれていたのは漢詩や和歌。『源氏物語』が誕生するまで、当時の物語といえば大衆向けエンターテイメントとも言えない、言葉を悪くいうと子どもだましのようなものだったそうです。

それが『源氏物語』の登場により、貴族や天皇の后、はては天皇自身まで楽しむ芸術として、上流貴族たちがこぞって写本を求める存在に!ちなみに当時最高の絵師たちが手がけた絵巻物にもなっています。

この大革命のきっかけとなったのが紫式部というひとりの人物が創造した作品だと思うと、彼女自身への興味も増しました。なお、紫式部の略歴や、『源氏物語』執筆の背景については音声コンテンツでお話しています。

『源氏物語絵巻』 伝海北友雪筆 17世紀

実は藤原道長の摂関政治とも結びつきが!

受領と呼ばれる中流階級の女性が書いた物語『源氏物語』。上流階級と中流階級の差は激しく、また、物語の作者も名前が残らないほど軽視されていた時代になぜ、紫式部の名は後世に残ったのでしょうか。

もちろん、すぐれた文学作品ということもありますが、そこには「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」の和歌が有名な藤原道長の摂関政治と関係があったのです!

くわしくは音声コンテンツを聞いていただきたいのですが、天皇の関心を引けるようにとつくられた女性たちの知のサロン(すなわち摂関政治の土台作りの場)に、源氏物語の評判を聞きつけた藤原道長が紫式部をスカウト。パトロンとして支えたことによって彼女の名も後世に残ったと考えられるそうです。そこにはいろんな偶然が重なっていました。

そのほか、政治の重責も担う絶対的エース藤原公任との痛烈なやり取りや、『源氏物語』が平安時代どのような存在だったかを知る30分。文学として楽しむだけではもったいない!『源氏物語』の印象が変わる内容です。

視聴はこちらから!(無料)

https://open.spotify.com/episode/38AArt14cAbYLPY3rgzku6?si=734htwE2RQKLeRdbTqTMMA

なお、今回のテーマにもなった書籍はこちら。すらすらと、とても読みやすく、源氏物語の理解がぐっと深まります。


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