見出し画像

読書記録18 『日本人の神』

大野晋『日本人の神』
(河出文庫 2013年)

読んでみたかった人の書籍。
またしても分からないことが増える。

当たり前としてもっている観念や思考、言葉について遡り検討をしてみる。目からウロコ的な内容だった。

言語学についてはもっと読み進めるとして。
気になったところやおもしろいと思ったことを抜粋。自身の備忘録。


1、古代の社会では、シンプルな物と技術のみの移転や導入が行われない。それを用いる単語を一緒に引きつれる。

渡来人は技術をもってきただけのように思ってしまうけど、それに付随する諸々があったはず。当たり前だ。伝わったそれが、目に見えない言葉や考え方、思想哲学だっておかしくはない。むしろ、自然だ。


2、古代日本語は、南インドのタミル語系統であるという仮説。

史学を学んできた弊害がまたここに出ている。日本語や文字で記された歴史には多少敏感なくせに、諸説ありそうな日本語の起源については全く興味がなかった。(←もっとこだわって生きてこいよと言いたい)さまざまな共通する事例をあげ、この仮説を鮮かに記述し、興味深かった。

しかし、素人目からみた疑問がいくつか…。

比較言語学的には批判も多い=歴史学への網野善彦的に風当たりが強かったのか?それとも研究の進め方に重大な穴があるのか?そもそも言語学って何かがわからないので、要検討である。

タミル語と共通する他の言語はどうなっているのか?タミル語と日本語の共通する言葉のピックアップが大野晋さんの言いたいことを強化する目的。つまりはゴールありきの共通性のみを拾っているのではないか?ということ。読んでいて事例をバンバン上げていくが強引さを感じてしまった。(色んな本を読んでみよう。ちょっと時間が足りない)


日本人は八百万の神々を持っている。
一神教の人にとっては、なんて節操がないと思われるのかもしれないが環境も大きく関係していることを知り、納得した。
砂漠に住んでいる人は環境と戦う。
温暖湿潤な豊かな環境に生かされている人は、環境に感謝して敬うのが当然の流れだ。

環境が思考に影響する。
近代化して環境が変わった、変わりつつある。
こんなに短いスパンでなにも変わりはしないだろうが、『日本らしさや日本の良さが無くなってる』と言われる昨今。

四季も感じにくくなっているほど日本の気候の変化が激しい。環境に適応していこうというよりも、環境を適応させてやるという方向性は『日本人らしさがなくなる』と無関係ではないんだろうな。

最後に、
『日本人は雨とともに生きている』
そうだよなと思う。
なんとなく、雨の日が好きだ。
憂いがある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?