曇り時々雨。海も空もどんよりとした灰色の世界だった。

気温も低く、波もないので、いつもなら人でにぎわう海も今日は静か。海を独り占めできるような贅沢な時間だった。

ポイントで来るメローな波を楽しむロングサーファーを横目に、同じように楽しみたいところだけれどなかなかできない。どうしても乗り切れなくて、追いて行かれる。それに加えて、なかなか波も来ないので、待つことも飽きてしまう。そういう時は、ボードから降りて、足で砂を掘って遊ぶのだ。掘っていれば何かみつかる。冷たい砂や枝や貝。5㎝はあるハマグリはお店で買えばまあまあいい値段になりそうだけど、持って帰ってしまうと密漁になってしまうので、人がいないところに投げて遊ぶ。こうして待っているといつのまにか波はやってくる。気を張っていると長く感じることも、気ままにいれば短くなるようだ。

そしてチャンスは逃してはいけない。

すぐに体勢を作って、パドリング。次はこそは波に乗りたい!という気持ちでパドリングをするけれどまた失敗。その繰り返しの中で、今日は1度だけ、メローな感じで波に乗ることが出来た。この1回がとても嬉しくて楽しくて、これが何回もできたらもっと最高だろうなと思いながら、体が冷え切ってしまったので練習を終えることにした。