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45 いよいよの境

酸素マスクが届いたのは夜中3時頃だったか。

夜中でも手配してくださることが本当に有り難くて。

口にマスクをしたが、違和感からか
勝手に外してしまうので

私は隣で夜通し、ずれたマスクを戻していた。

外していたら血中酸素濃度が低下して死んでしまう
と思っていた。

多分、そう。
マスクをしていないと苦しいはずだから
私はせっせと戻していたけど……本当にそうだったのかな。

本当に専門知識のない人が自宅で看取るのは
難しいことだなぁと思う。

ケアが行き届かないし、どんな対応が正しいのかわからない。

その代わり、ずっとそばにいれる。それが私たちに出来ること。
母が望んでいたことだしね。


まぁなんともいつもの夜勤以上に対応していた私はフラフラだったが

翌朝来たお医者さんがマスクから鼻のチューブに替えてくれたことで
マスクずれ直しからは解放されたのだった。


酸素をしてから、母はもう何も食べなくなった。

この日から、いよいよだと家族全員が感じていた。


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