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見方を少し変えて見ると

いつも、素敵な写真を見せてくださるひらさんが、先日こんな投稿をされていました。

幾つになっても新たな挑戦をする…

すがすがしいメッセージを読みながら、私もひらさんとほぼ同時に、ひさしぶりに絵を描いてみた、という記事を投稿をしたことに少し驚きました。
好きなnote クリエイターさんとシンクロしたようで、ちょっと嬉しくなってしまったり。

ボールペンだけで古事記の世界を描いた「ぼおるぺん古事記」という作品を読んで、学生時代に絵を描くのが好きだったことを思い出し、まずは毎日なにか絵を描いてみよう、と小さく決心。
でも毎日画材をだすのは大変なので、iPadにインストールしてあるお絵描きソフトibisPaintを使って、好きなnoteの写真や絵をお手本に描き始めました。

ところが、描いても描いてもストレスがたまるばかり。
なんでこんなに描けないんだろう。
私、こんなに下手だったっけ。
いや、もともと上手くはないけれど‥。

だんだん疲れてきて、とうとう描くのをやめてしまいました。


大型連休の前半が終り、中日の出勤日。3日ぶりに電車に乗りながら、デジタルではなくて、ひさしぶりに紙に描いてみようかな、と思い立ちました。

昼休みにオフィスを抜け出し、近くの林試の森公園へ。
道具も何もなかったので、持って行ったのは、片手に収まるくらいの小さなメモ帳とボールペン1本、そして撮影用のiPad。

ここなら、人通りも少なそうだし、目立たずに済みそう、と、ひとけの少ない小径にもぐり込みました。花を撮影するために入ってくる人もたまにいますが、この日は少し前まで咲いていたキョウチクトウも終わっていました。

複雑なものを描く自信がなかったのと、実の色に惹かれ、クサイチゴを描くことに決めました。

まず構図を決めるために撮影。

道端にしゃがみこみ、辛くなったら終わり、とタイムアタックのノリでスケッチ開始。

ところが、誰も来ないと思っていた道に、結構人が来るのです。
背を向けているので、どんな人が通っているのかわからないのですが、足音が近づいてきては、どうやら私がしゃがみこんでいるのに気を遣ってくださるようで、足音をしのばせながら後ろを通りすぎていきます。

そんなこんなで、出来上がったボールペン画がこちら。

苦笑いしたくなるような出来ですが‥。
それはさておき、撮ってきた写真と見比べているうちに、写真と絵とでは主役が変わっていることに気づきました。

写真を撮った時には、実を中心に描くつもりでした。
ですが、描いていくうちに茎の曲がり具合や、鋭くとがったガクに関心が移り、意識の中で、実や葉はおまけの扱いになっていました。
同じものを対象にしていても、写真に撮るのと絵に描くのとでは、注意の向け方が全然違うということに、今さらながら気づいた次第です。

そして、写真ではなく実物をみながら描くと、上から見たり、近づいてみたりしながら、見たいところをじっくり観察することができました。
当たり前といえば当たり前。
それでも、お絵描きソフトを相手に、写真をお手本に描いたときとは、まったく違う手応えを感じました。

もう一度絵を楽しんでみようかな。
最近、文体も固まってきてしまっているし。
文章と絵と写真の3つが揃えば、表現の幅が少し広がるかもしれない。
学生時代に閉めた、好きなものを入れた引き出しの一つを、また開けることができるかもしれない。


仕事が終わり、家に帰ってnoteを開いたら、ひらさんが新しい記事を投稿されていました。

可愛らしく並ぶチューリップも…
視点を変えると又別の表情を見せる

チューリップの表情

写真と一緒に書かれたコメントを読みながら、またシンクロしましたねと、noteの向こうに住むひらさんに話しかけました。


おまけの話

スケッチをしている間、随分たくさんの人が通り過ぎた気がします。
足音を聞いただけでしたが、10分かそこらの間に、10人くらいは通り過ぎたような。

一度だけ、すぐ近くで足音がしなくなったことがありました。
あら、立ち止まった、どうぞ通り過ぎてください、と頭のどこかで考えながらスケッチを続けました。
ほどなくスケッチが終わり、さっきの人はまだ近くにいるかなと、周囲を見回しましたが、誰もいませんでした。引き返す足音も遠ざかる音も聞こえませんでした。いったいどこへ行ったのでしょうか。

それに、いつも静かなこの道に、あんなに人が通ったのも少し不思議。みんな何かとシンクロしたのかもしれませんね。


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