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自分自身の、『過去』と『未来』をつなぐもの。

 先日、所属しているキャリアカウンセラーの協会から、新しい会員証が届きました。資格を取得したらずっとそのままということではなくて、活動や研修受講などに応じてポイントが付与されて、5年に1回、更新を申請することになります。今回で2回目の更新。資格の取得から約10年が経過したことになります。

 そんなキャリアカウンセラーの養成講座に通っていたころ、講座の終盤の方で、先生が授業の最後にこんなことをおっしゃっていました。「キャリアカウンセラーを目指す皆さんは、ぜひ、多くの本、特に小説などを意識して読むようにしてください」と。夕日の差し込む教室でポツリとお話しされていた光景を、この本のページをめくりながら、思い出す私自身がいました。

 古賀史健さんの、noteやXは時々読ませていただいていて、文章のテンポ感などが素敵だなぁと思っています。その古賀さんが書かれた小説ということで気になって、ちょっと前に買ってはいましたが、ページを開いたのはつい最近のこと。先生からはあのように言われたものの、ついつい仕事などに役立ちそうな本ばかりが目に付いて手に取っってしまう私。そんな中で、この本はずっと読みたいと思っていた本です。もっと早く開けばよかった気もしますし、今のタイミングがベストだったような気もします。

 設定としては、なかなか不思議な設定ではありましたが、学生時代に誰しもが目にしたような場面がギュッと凝縮されている感じ。私も自分自身の学生時代のことを思い出して重ねてみながら、読み進めていきました。学校の課題などで提出する作文などの文章。たしかに私自身も大嫌いだった記憶があります。仕事をしながら書く文章の大半も、つまらない文章であることが多いです。そして、その共通点は、この本の中でも表現されていたような『自分に嘘をつく』ような文章だということなのではないかと思います。ただ、自分の思ったことや考えたことを、どのように表現していくのかということを、学校の授業などではあまり学んだ記憶がありませんし、作文などの先生のコメントなどを思い出そうと思っても、思い出すことすらできません。それくらいに、学生生活と『書く』ということは、今につながっていないと、個人的には感じたりもします。

 この本の中で、主人公が『日記をまずは10日間書いてみる』ということを実践していくという部分がありますが、書いている文章がどんどん変化していく様子を感じられられました。書いたものが少ないうちは、あまり感じませんが、書いたものが増えていくと、過去に自分自身が書いた文章を読みながら、自分自身のことを振り返ったり、これから先について考えたりするきっかけになることがあるなぁと、私自身も感じます。あらためて今まで書いてきたこのnote、読み返してみようかな。

 この本の最後の方のストーリーにひっかけて、終わりの方のページに、袋とじのページがあります。まだ、私自身は開いていません。このページを開く時がいつか、来るのでしょうか。そんなことも思いながら、本棚にしまいました。

 主人公の日記の部分は、キャリアカウンセラーや、キャリアコンサルタントの方に、ぜひ読んでいただきたいような内容だと感じます。人に向き合うということは、その人の言葉や考えを通して、その人の中に入らせてもらう行為でもあると思います。だからこそ、自己研鑽を継続していくことが求められているわけですね。

 協会の資格更新は終わりましたが、国家資格の更新は来年。それに向けて、あらためて気合いを入れなおすきっかけになった、そんな素敵な本に出会えました。

さみしい夜にはペンを持て
古賀 史健 著 ポプラ社発行 を読んでの感想

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