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なつやすみの原体験。(ポケットモンスター 赤・緑)

『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されたのは、1996年2月27日。今日で28周年だ。……28周年! もうそんなに経つのか。

ムスメもポケモンが大好きで、保育園でもみんなでポケモンの話をしているみたいだ。親子二代で楽しめるようになったコンテンツは、子供により手をかけるようになったいまの時代、じつに強いよなあ……と思う。

ポケモンの生みの親である田尻智氏。ポケモンシリーズの原点が、氏の昆虫採集体験にあるのは有名なエピソードだ。

初代のポケモンが爆発的に流行したのは、当時の小学生にとって昆虫採集が身近な体験だったから、という理由もあるのだろう。なにしろ、僕自身が当時小学生だったのだ。自分の実感とも一致する。

中学生のとき、夏休みの自由研究で『赤・緑』の攻略本を作った。自由研究なんてめんどくさいなあ、と毎年思っていたけれど、今年は自分の研究したいものをとことん研究してやれ、と考えたのだ。

それに、田尻氏が『ゲームフリーク』という同人誌を作っていたことも知っていた。自分も、ゲームの本を作ってみようと思い立ったわけだ。

ストーリー攻略をベースに、バージョン別の出現率、メジャーポケモンの育成論、通信交換&バグなしのRTA(早解き)指南などなど、50ページ以上。Windows95が出たばかりの時代。まだPCを扱えるはずもなく、ぜんぶ手書きでつくった。

イラストもいくつか描いたっけ。あのころが人生で一番、絵がうまかったように思う。ちなみに攻略本の名前は『ポケ本』。そのまんますぎる。

やりたいことをめいっぱい詰め込んで、本のデキには自信があったけれど……学校に提出する前は、そりゃあ緊張した。だって、ゲームなのだ。「遊んでないで勉強しなさい!」って怒られる、先生たちにとっての悪の元凶なのだ。

「けしからん! やり直してこい」って言われるかもしれないし、女子からは「ポケモンで自由研究って……(笑) 」ってな感じでウワサされてしまうかもしれない。でも、できてしまったのだからしょうがない。それでもいいさと思って提出した。

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そのときの感動を、僕はいまでも忘れることができない。みんなやれ先にと、取り合って読んでくれている。細かく調べたRTA指南や、頭を抱えながら描いたイラストを、真剣な目で追ってくれている。

「これ、すげえじゃん!」「よく作ったねえ」「サンダースのわざは、かみなりもアリだよね」。クラスのみんなといろんな話をする。とてもとても楽しい。気になるあのコも、しっかり手に取ってくれてたりしてね。

そして、先生からもなんだかえらくほめられて、クラスの最優秀賞をとってしまった。本当に好きだという気持ちが伝わったのだろう。いい先生だったなと思う。

大変だったし時間もかかったけど、あの夏休みはめちゃくちゃ楽しかった。これを仕事にできたらどれだけ楽しいだろう。そんなふうにも思った。昆虫採集が田尻さんの原体験であるように、この夏休みこそが、僕にとっての原体験なのだな。

自分の好きなものは、堂々と好きでいよう。そして、すばらしさを伝えていこう。そう学んだ夏だった。

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