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「ホテルジューシー」読了

「ホテルジューシー」坂木司著(角川文庫)

この本は、大学2年生のヒロちゃんが主人公で、卒業旅行の費用を稼ぎに沖縄でリゾートバイトをする所から話が始まっている。
しっかり者のヒロちゃんが、那覇の「ホテルジューシー」でバイトをするのだが、様々な宿泊客や地元の人との人間模様が面白い。

この本を読んでいて「緻密な取材がされているな」と思ったのは、沖縄に在住歴のある主人の話す事と小説に書かれている事がよく似ているからだ。
さすがに、こんなに適当なオーナー代理はいないと思うが、沖縄には沖縄流の人付き合いが存在する。

ほんの一ヶ月半くらいのリゾートバイトっ、ヒロちゃんは何を得たのか。
私は、色々な出来事を受け止める「懐の深さ」を身につけたのではないかと思っている。

人間の付き合いは、一筋縄では行かない。学生時代は、自分だけしっかりしていれば何とかなるが、一旦社会に出ると、色々な振り幅の人が色々な出来事と共にやって来る。
当然、それらに巻き込まれるし「私さえしっかりしていれば」は通用しなくなる。
そんな時に助けになってくれるのは、心のしなやかさ、「懐の深さ」だと思う。

この本は、ヒロちゃんの成長の記録でもあるのではないか。

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