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「二人の嘘」読了

「二人の嘘」一雫ライオン著(幻冬舎文庫)

この本は、孤独な女性裁判官の片陵礼子が「門前の人」であった蛭間隆也元受刑者と恋に堕ちる、いわゆる「不倫もの」だ。
ミステリーということもあり、詳細な内容説明は控える。

蛭間が自殺する所で話は終わっているが、私はその続きをこう空想する。

礼子の身に何かあったのではないかと、必死に礼子を探した夫で弁護士の貴志は、礼子をこれまでの結婚生活で傷つけていた事に遅ればせながら気づき、詫びる。
スキャンダルで裁判官を失職した礼子は、匿われるように貴志の弁護士事務所で働き始める。一緒に仕事をしていくうちに、貴志が実は真摯に弁護士業務に向き合っている事に気づく。
不器用ながらも、彼なりに「最善の道」を模索する様子は、礼子の氷のような心を少しずつ溶かしていく。

蛇足ではあるが、「人間は自分が思っているほど孤独ではない」というメッセージを自分なりに添えたかったのだ。

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